北朝鮮のICBM、73分飛行…「火星18型、3回目の発射成功の可能性」 | すずくるのお国のまもり

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北朝鮮のICBM、73分飛行…「火星18型、3回目の発射成功の可能性」

 

 


 北朝鮮が18日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は固体燃料を基盤とする火星18型と推定される。今年だけで火星18型を3回も試験発射し、ミサイルの本格的な性能改良と信頼性向上に取り組んでいるとみられる。
◆固体燃料「火星18型」3回目の試験発射か
 この日の大統領室によると、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が出席した中で開かれた国家安全保障会議(NSC)常任委員会で、委員らは「北が国際社会の警告と国連安全保障理事会の決議を正面から無視し、いわゆる軍事偵察衛星を打ち上げたのに続き、固体燃料使用のICBMを発射し、韓半島(朝鮮半島)と国際社会の平和と安全を深刻に脅かしている」と強く非難した。
 NSCが「固体燃料基盤ICBM」と規定したのは、この日に発射したミサイルを「火星18型」とみているという意味と解釈される。現在のところ火星18型は北朝鮮が公開した唯一の固体燃料基盤ICBMだ。今年初めて登場した火星18型はこれまで2回の試験発射が行われていた。
 今年4月13日に北朝鮮が初めて火星18型を試験発射した際、軍当局はミサイルが1000キロ飛行し、頂点高度は3000キロに達しなかったと把握した。基本的な技術レベルをテストしたということだ。
◆事前に兆候探知が難しい固体燃料…推力信頼性の確保に注力
 その後、北朝鮮は性能を大きく高めた。7月12日に行われた火星18型の2回目の試験発射で、北朝鮮は「ミサイルが頂点高度6648.4キロ、飛行距離1001.2キロ、飛行時間4491秒(約75分)を記録した」とし、1回目の発射当時とは違って細部数値を公開した。
 当時の頂点高度と飛行時間は歴代の北朝鮮ICBM発射のうち最高だった。正常角度で発射すれば1万5000キロ飛行し、米全域が射程圏に入るという見方が出てきた。韓日軍当局の発表を総合すると、今回のミサイルも約73分間飛行するなど2回目の発射当時と似た性能で試験発射に成功した可能性が高い。
 韓米が火星18型に注目する理由は、北朝鮮の初の固体燃料ICBMとして持つ脅威のためだ。固体燃料ミサイルは燃料と酸化剤を混ぜて固体化する過程が難しく、液体燃料より開発が難しいが、燃料を入れたまま長期間の保管が可能だ。また地下施設に隠しておき、取り出してから直ちに発射できるため、韓米としては発射兆候の捕捉がそれだけ難しくなるしかない。
◆推力技術確保後に再進入・多弾頭技術に進むのか
 軍の内外では、北朝鮮がICBMの推力を検証するために火星18型などの追加試験発射をした後、近いうちにICBM関連の残りの技術を本格的に確保していくという見方が多い。大気圏再進入技術と多弾頭(MIRV)、ポスト・ブースト・ビークル(PBV)の技術が代表的だ。
 大気圏を抜けたICBMが目標地点を打撃するためには大気圏に再進入する時に発生する摂氏1万度の高温に耐えなければならない。もう一つのICBMに複数の核弾頭または偽装用弾頭を搭載し、目標物付近まで送った後、弾頭を分離・飛行させるにはMIRV・PBV技術が必要だ。北朝鮮はまだこうした技術を確保していないと推定される。
 ミサイル専門家のクォン・ヨンス国防大名誉教授は「ICBMの正確性、生存性と直接関連するMIRV技術の完成に関する多様な試験発射の動きが来年中にあるとみている」とし「火星17・18型などICBMの実質的戦力化が懸念される」と話した。

◆短距離・ICBMを交互に発射…戦略・戦術運営能力を高める
 北朝鮮が弾道ミサイルの作戦能力を発展させる状況も注目される。北朝鮮は前日(17日)午後10時38分に短距離弾道ミサイル1発を発射し、約10時間後にICBMを発射した。これに関し韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長は「短距離弾道ミサイルとICBMを交互に撃って弾道ミサイルの戦略と戦術的運営能力まで高めようとしている」と分析した。有事の際、迅速に目標物に適した弾道ミサイルを取り出し、韓国軍だけでなく本土から来る米軍の増援戦力も遮断するという意図と考えられる。
 北朝鮮が韓米日の連携を念頭に置きながら相次いで挑発を企画したという見方もある。韓米日が今月、ミサイル警報情報随時共有を正式に稼働するのに先立って試しているということだ。
 実際、韓国軍の合同参謀本部はこの日、「韓米日は共同探知および追跡可能な対応態勢を整えていた」とし「発射された北の弾道ミサイル警報情報は韓米日3カ間で緊密に共有された」と強調した。
 また米軍は北朝鮮がICBMを発射する時間に合わせて東海(トンヘ、日本名・日本海)上空に核心偵察機RC-135S「コブラボール」を飛ばした。世界で米軍だけが3機を運用するコブラボールは高性能電子・光学装備があり、弾道ミサイルの電子信号と軌跡を追跡するのに特化している。これと関連し日本を訪問している米インド太平洋軍のアキリーノ司令官はこの日、記者らに対し「北朝鮮のICBM発射の兆候を事前に探知し、米日韓が2日前に艦艇を動かして防御態勢を強化した」と話したと、共同通信が報じた。
 米空軍は核探知偵察機も追加で実戦配備した。米ネブラスカ州オファット空軍基地はこの日、ホームページで、3番目のWC-135R「コンスタントフェニックス」が運用部隊に伝えられたと公開した。この偵察機は大気の放射性物質を収集するなど核活動を追跡する。米国が北朝鮮の7回目の核実験の可能性を念頭においているという声が出ている。