有事の際の沖縄12万人避難計画 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎実現性あやしい「先島諸島から12万人避難計画」 台湾有事を想定 対象住民「島から出ろと言われても」

 

 

 中国の武力攻撃による「台湾有事」を想定し、政府が沖縄県の与那国島や石垣島、多良間島など先島諸島の住民ら計12万人を九州地方に避難させる計画に対し、対象となる住民から批判が出ている。計画には障害者や重病者の避難方法は十分に盛り込まれず、住民への説明機会も足りていない。「有事ありき」で画竜点睛を欠いた計画になりそうだ。(佐藤裕介)
◆12万人を6日間で避難
 政府は2022年末に閣議決定した国家安全保障戦略に、「国民保護のための体制強化」として、台湾有事の影響が及ぶ恐れのある先島諸島などの住民を避難させる計画の「速やかな策定」を盛り込んだ。政府と沖縄県は先島諸島にある5市町村の全住民11万人や観光客ら1万人を、航空機と船舶を使って6日間で避難させる計画を想定。1月30日、国民保護法に基づいて国と県による図上訓練を県庁で行った。訓練は昨年3月に続き2度目となる。
 実際の避難は、日本への攻撃が予測される「武力攻撃予測事態」と政府が認定して初めて実施されるが、認定基準はあいまいだ。政府関係者も「(認定は)容易ではない」と打ち明ける。さらに、一部の自治体では、避難時に配慮が必要な障害者や重病者らの人数把握ができておらず、治療を継続しながら重病者をどのように輸送するかも決まっていない。
◆政府、住民への説明会「開く予定はない」
 避難者の受け入れ先となる福岡や鹿児島、山口など九州・中国地方の9県の準備も進んでいない。昨年10月、松野博一官房長官(当時)は、九州地方知事会の蒲島郁夫会長(熊本県知事)に受け入れ計画の策定を初めて依頼。内閣官房と防衛省は、避難施設や食料の確保など、各県の受け入れの初期計画を24年度中にも取りまとめる方針だが、どれだけ具体化できるかは見通せていない。
 実際に避難するとなれば、事前の住民説明は欠かせない。だが、今月2日現在、自治体主催で開かれた意見交換会は5市町村のうち、与那国町と多良間村で計5回のみ。国主催の説明会は行われておらず、内閣官房の担当者は「(今後も)開く予定はない」と話す。
◆識者「方針ありきで、説明責任も果たしていない」
 有事になれば、避難期間が長期化する恐れもあるが、与那国町の農家小嶺博泉(ひろもと)さん(52)は「意見交換会で納得のいく説明はなく『島から出ろ』と言われても納得できない」と憤る。先島諸島が有事に巻き込まれる前提での避難計画に加えて、自衛隊の配備も進める政府に対し、与那国町の民宿経営狩野史江さん(63)は「『戦争の島』にしないでほしい。故郷を要塞(ようさい)の島にしようとしている」と不満を募らせる。与那国町職員の田島政之さん(52)も「平和外交に力を入れるべきだ」と訴えた。
 日本大学危機管理学部の福田充教授(危機管理学)は「まずは外交努力で紛争を回避することが大前提」と指摘した上で、「攻撃の予測が困難な中での事前避難は難しく、強制力のある全島避難が本当に実施できるか慎重に検討するべきだ。方針ありきで、住民への説明責任を果たしていないのも問題だ」と語った。
 

◎国民保護法 外国などによる「武力攻撃」から国民の生命と財産を保護することを目的として2004年に成立、施行された。首相は、都道府県知事に避難措置の指示を出し、これを受けた知事は市町村長を経由して住民に避難指示を行う。基本指針には、沖縄県の離島などからの避難に向け、国が九州各県との連携体制を整備する必要性を明記している。

「台湾攻撃」に備える日本…「有事の際の沖縄12万人避難計画」

 

 

 台湾が武力攻撃などで危機に置かれる場合を想定して、日本政府は九州や本州西部広域の地方自治体8カ所に対して沖縄地域の住 民・観光客12万人の受け入れを要請し、27日、この要請が完了した。
 日本共同通信によると、内閣官房関係者がこの山口県を訪れ、「離島は地理的に本土から遠い」として「九州と山口県が協力してほしい」という趣旨で説明した。これに先立ち、先月松野博一官房長官が熊本県と鹿児島県を訪れて受け入れを要請していた。
 日本政府は台湾が攻撃を受けると予想される場合、沖縄西部の先島諸島の住民11万人と観光客1万人を鹿児島県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、福岡県、佐賀県など九州7県と本州の山口県など計8県に分散させて避難させる計画だ。
 各広域地方自治体は先島諸島5島の基礎地方自治体と協力関係を結び、衣食住の確保や医療サービス提供などを協議する方針だ。
 沖縄県は航空機や船舶を通じて一日に約2万人を輸送する案を考慮している。ただし、悪天候の場合や自衛隊あるいは米軍が空港と港湾を利用する場合は十分に想定されておらず、今後の調整が求められている。