◎北朝鮮のミサイル等関連情報
防衛省・自衛隊:北朝鮮のミサイル等関連情報 (mod.go.jp)

 北朝鮮は昨日22時43分頃、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里(トンチャンリ)地区から、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行しました。発射された1発は複数に分離し、
・1つ目は、22時50分頃、朝鮮半島の西約350kmの東シナ海上の予告落下区域外に落下、
・2つ目は、22時55分頃、沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、22時57分頃、沖ノ鳥島の南西約1200kmの太平 洋上、我が国EEZ外である予告落下区域内に落下したものと推定されます。
 これ以上の詳細については現在分析中ですが、現時点では地球周回軌道への衛星の投入は確認されていません。
 総理には、本件について直ちに報告を行い、
① 情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと
② 航空機、船舶等の安全確認を徹底すること
③ 不測の事態に備え、万全の態勢をとること
の3点について指示がありました。
 また、上空を通過させる形での発射を受け、
① 上空を通過したと判断される地域に重点を置き、落下物等による被害がないか、速やかに確認すること
② 北朝鮮の今後の動向を含め、引き続き、情報収集・分析を徹底すること
③ 米国や韓国等、関係諸国と連携し、引き続き、必要な対応を適時適切に行うこと
の3点について指示がありました。
 政府においては、今般の発射情報と通過情報についてJアラート等により伝達するとともに、付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところ、現時点において被害報告等の情報は確認されていません。
 また、官邸危機管理センターに設置している「北朝鮮情勢に関する官邸対策室」において、関係省庁からの情報を集約するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行いました。また、本日0時15分頃から国家安全保障会議を開催し、情報の集約及び対応について協議を行いました。
 防衛省においては、防衛大臣が総理指示を受け、
① 我が国領域及び同周辺海域における被害の有無の確認を徹底すること
② 米国、韓国等と緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析に全力を挙げること
③ 不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すこと
の3点について指示を出しました。
 これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものです。特に、今般北朝鮮が行った日本列島上空を通過する形での発射は、航空機や船舶はもとより、付近の住民の安全確保の観点からも極めて問題のある行為です。また、このような発射は、衛星打ち上げを目的としたものであったとしても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も禁止としている、関連する国連安保理決議に違反するものであり、国民の安全に関わる重大な問題です。我が国としては、北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い表現で非難しました。
 国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、米国や韓国等の関係国とも緊密に連携し、情報の収集・分析及び警戒監視に全力をあげるとともに、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとします。

 

◎北朝鮮がミサイル発射、沖縄付近を通過・軌道投入は確認されず…「人工衛星」予告期間直前に

 

 

 政府は21日、北朝鮮が同日午後10時43分頃、同国北西部・ 東倉里トンチャンリ から南方向に弾道ミサイル技術を使用した発射を行ったと発表した。人工衛星の発射とみられ、沖縄本島と宮古島の間の上空を太平洋へ通過した。ミサイルは分離し、一つは同57分頃、日本の排他的経済水域(EEZ)外の予告落下区域内に落下した。防衛省は22日未明、地球周回軌道への衛星投入は確認されていないと発表した。
 政府は21日午後10時46分頃、沖縄県を対象に、全国瞬時警報システム「Jアラート」を発令した。建物の中や地下への避難を一時呼びかけたが、その後、「ミサイルは午後10時55分ごろ、太平洋へと通過したものとみられる」と通知し、避難の呼びかけを解除した。自衛隊の迎撃ミサイルによる破壊措置は実施しなかった。海上保安庁によると、日本国内での被害は確認されていない。
 北朝鮮は日本政府に対し、22日午前0時から12月1日午前0時の間に「人工衛星」を打ち上げると通告しており、発射は予告期間が始まる直前だった。韓国気象庁によると、東倉里のある北朝鮮・ 平安北道ピョンアンプクト の22日未明の天気は曇りの予報で、気象条件を考慮したとの指摘も出ている。
 岸田首相は21日、今回の発射について、首相官邸で記者団に、「人工衛星と称したとしても、弾道ミサイル技術を使用した発射は明らかに関連する国連安全保障理事会決議違反だ」と述べ、北朝鮮を強く非難した。

 人工衛星を打ち上げるロケットと弾道ミサイルに使われる基本的な技術は同じで、これまで北朝鮮は衛星打ち上げと称し、ミサイル技術の向上を図ってきた。5月と8月に「軍事偵察衛星」を搭載したと主張するロケットを打ち上げたが、2回とも失敗に終わった。9月に 金正恩キムジョンウン 朝鮮労働党総書記が訪露するなど「宇宙大国」を自任するロシアに接近しており、ロシアの技術支援で問題点を解消したとの見方もある。
 5月の打ち上げに備えて浜田防衛相(当時)が自衛隊に発令した「破壊措置命令」は継続。迎撃ミサイル「SM3」を搭載したイージス艦が東シナ海に展開しているほか、地対空誘導弾「PAC3」部隊が沖縄本島など4か所に配置されている。