中国は台湾巡り戦えるのか-ウクライナの戦争長期化が習氏に警告 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎中国は台湾巡り戦えるのか-ウクライナの戦争長期化が習氏に警告
 人民解放軍の海軍戦力は世界1位、空軍3位-米国防総省
 ここ数十年、人民解放軍には大きな実戦経験がなく腐敗も続いている
 2027年。台湾を巡る戦いが始まろうとしている。

 

 

 中国が台湾周辺の海上を封鎖し、サイバー攻撃で台湾の金融システムをまひ状態に陥らせた。パラシュート部隊は沿岸の飛行場に集結。日本からは戦闘機F35を搭載した米空母「ジョン・F・ケネディ」が全速力で南に向かっている。
 これは米中台の首脳が想定している多くのシナリオの一つだ。台湾の今後を巡り緊張が高まる中、それぞれの軍隊がさまざまな事態を想定し日夜訓練に励んでいる。
 中国は最新兵器や軍の近代化に巨額の予算をつぎ込んできた。だが習近平国家主席ら政府や軍の最高幹部は、人民解放軍には実戦の準備ができておらず、数年先になっても準備が整わないのではないかとの疑念を拭い去れていない。
 中国指導部のこうした懸念は、ロシアが2022年2月にウクライナで始めた戦争の長期化でさらに強まった。ロシアのプーチン大統領や軍部に加えて、欧米の多くのアナリストや各政府も短期間での戦争終了を見込んでいた。
 中国共産党の総書記でもある習氏の下、中国は紛争となった場合に必ず勝利できるよう取り組んできた。現役兵210万人超の人民解放軍は世界最大の軍隊であり、ロケット部隊の規模も世界トップクラスだ。
 米国防総省によれば、中国軍は艦船400隻強と軍用機3100機余りを保有し、海軍の戦力は世界1位、空軍は世界3位だ。
 中国の核弾頭保有数は21年に400発を突破し、35年には米国とロシアが常時配備している数とほぼ並ぶ1500発に達する見込みだ。


 中国外務省はサンフランシスコ近郊で15日に行われた米中首脳会談後に出した声明で台湾問題について、中国は祖国統一を実現するとし、これを「止めることはできない」と主張した。
〇大きな弱点
 しかし、米中両国の現職および元高官へのインタビューや人民解放軍の発表資料、そして習氏の発言を分析すると、人民解放軍の実像が浮かび上がってくる。
 中国は空母から極超音速ミサイルに至るまで軍備面では急速な進歩を遂げたが、それを活用して効果的な戦闘行動を展開する能力という点でなお大きな弱点がある。
  米中央情報局(CIA)で35年間、中国軍専門のアナリストを務め、現在は大西洋評議会の非常勤シニアフェローのジョン・カルバー氏は「中国には固有の高い殺傷能力がある。それは否定し難い」とした上で、「中国自らの評価から判断すると、進歩はしたものの、望む水準にはまだ至っていないとみているようだ」と指摘した。
 台湾を巡る米中戦争が近く勃発する可能性は低いが、世界経済に壊滅的な打撃を与えることになる戦争の可能性は、軍の調達から投資決定に至るまで、すでにあらゆるものに影響を及ぼしている。
 資産家で著名投資家のウォーレン・バフェット氏は今年、地政学的リスクを理由に半導体受託生産最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の米国預託証券(ADR)を売却し、同社への投資から手を引いた。
 日本は防衛費を増額し、米国は台湾への武器供与を加速させている。バイデン大統領は中国が台湾に侵攻すれば米国は介入すると繰り返し述べてきた。 
 イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争は、米政権の軍事的コミットメントが行き過ぎることへの懸念を高めているが、バイデン政権は米国が全ての脅威に同時に立ち向かうことができると同盟国や競合国にあらためて保証している。
 共和党議員の多くは米国のウクライナ支援に疑問を呈しているが、イスラエルと台湾への支援については民主、共和両党とも強く支持している。
 中国の戦力は強大であり、米国が参戦した場合は多くの人命と費用が失われるのは確実だ。シンガポールのリー・シェンロン首相は今月8日、第2次世界大戦末期に旧日本軍と米軍との間で行われた硫黄島の戦いに触れ、「台湾への攻撃は硫黄島の戦いのようなものではない。硫黄島でも十分多くの血が流れた」と述べた。
 中国軍が最終的に勝利できるかどうかは、長期戦を効果的に戦うことができるかどうかにかかっている。しかしここ数十年、軍が大きな紛争を経験していないことや、腐敗が続いてきたこと、軍内部の連携に難があることなど、中国に不利なことを示す要因は多い。