「習近平主席は両岸戦争を楽観」…米NSC元高官が警告 | すずくるのお国のまもり

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◎「習近平主席は両岸戦争を楽観」…米NSC元高官が警告

 

 

 中国の習近平国家主席が台湾との戦争を過度に楽観しているという警告があった。「中国通」のポッティンジャー元米国家安全保障会議(NSC)副補佐官が8日に開かれた「2023台北安全対話」でこのような見方を示した。この日、ポッティンジャー氏は、台湾が同盟と協力しながら習近平主席の両岸(中国・台湾)戦争に対する過信と台湾侵攻意志を抑止すべきだ、と促した。
 台湾政府系シンクタンクの国防安全研究院(INDSR)が主催した「2023台北安全対話」は台湾ハンブルハウス台北ホテルで開かれた。この日、画像を通じて行事に参加したポッティンジャー氏は「ロシア-ウクライナ戦争が両岸関係に示唆する点」セッションで、「習近平主席は両岸戦争の効用性と戦争所要期間を過度に楽観的に見ている」と主張した。
 その根拠は習近平主席の「メッセージ」にある。習主席は、現在の世界的な「混乱」がしばらく続くはずで、この「混乱」は中国に非常に有利だ、と明らかにした。また習主席は危険よりも機会が大きいと公然と話している。これを見ると、習主席の戦争に対する楽観的な心理が反映されているのが分かるという分析だ。
 ポッティンジャー氏は「戦争は怒りや判断の誤りでなく、侵略者の過度な楽観主義のために生じる」とし「朝鮮戦争、ベトナム戦争、ウクライナ侵攻ともに戦争が短期間で終わるという独裁者の過信のために起きた」と強調した。また「我々は独裁者の『言葉』に注目する必要がある」とし「習主席が提示した中国の夢は台湾と統一してこそ実現するが、習近平は台湾問題を後の世代で渡さないと公言した」と指摘した。
 台湾の対処について、ポッティンジャー氏は「戦争も辞さないという決心を見せてこそ実質的な抑止が可能だ」とし「抑止は武器や戦艦よりはるかに費用が少なくなる」と述べた。続いて「台湾は米国、日本、オーストラリアなど同盟国との協力を強化し、集団の力で戦争に対する習主席の過信と台湾侵攻意志を挫くべきだ」と主張した。
 具体的な戦略について「独裁者は敵国の報復が自国の経済に及ぼす被害や国民の犠牲を気にしない」とし、台湾に対して「報復的抑止(punishment deterrence)」よりは「拒否的抑止(denial deterrence)」に集中するのがよいと強調した。
 この日、習主席を繰り返し「独裁者」と呼ぶなど対中国強硬派のポッティンジャー氏はロイター通信の記者、ウォールストリートジャーナル(WSJ)北京特派員を経験し、トランプ前政権でホワイトハウスNSC副補佐官を務めた。在任当時、国務省東アジア太平洋次官補、国防総省アジア太平洋次官補と共に朝鮮半島政策を担当する「三角軸」と呼ばれるなど東アジア専門家に挙げられる。
 8日の行事には台湾の蔡英文総統、台湾国防安全研究院国家安保研究所の沈明室所長らが出席し、ミシェル・フロノイ元米国防次官は画像を通じて参加した。米国、英国、ドイツ、フランス、日本、オーストラリア、インドなどから訪問した学者や専門家はこの日、台湾の学者と共に世界秩序と民主主義に対する中国の挑戦を分析し、熱を帯びた討論をした。