<独自>海自艦艇「乗組手当」3割増額 処遇改善で隊員確保

 

 

 政府が、自衛官の処遇改善策として護衛艦などで勤務する海上自衛隊員に支給する「乗組手当」を令和6年度から約3割増額する方向で調整していることが30日、分かった。日本周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、海上や海中の閉鎖的な空間で厳しい任務に従事する隊員の処遇を向上させることで人材基盤の強化につなげる。政府関係者が明らかにした。
 政府は昨年12月に閣議決定した国家安全保障戦略など安保3文書で自衛隊の人材基盤強化を掲げ、任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与・手当の実現を打ち出した。
 特に航海が長期間にわたり、任務の緊張度も増している艦艇と、自然環境の過酷な僻地(へきち)で警戒監視にあたるレーダーサイトを特記して「厳しい任務に従事する隊員を引き続き適正に処遇する」と明記した。
 5年度にはレーダーサイト勤務の航空自衛隊員に対し、日額740円を支給する新たな手当を創設。さらに今回、艦艇に乗り組む海自隊員の処遇改善に向け、手当増額の関連経費を6年度予算の概算要求に計上した。
 増額する乗組手当は護衛艦と潜水艦の乗組員に支給されている。現在、護衛艦は俸給月額の33%、潜水艦は同45・5%の手当が支給されているが、いずれも約3割引き上げる。例えば40歳で階級が2尉の場合、護衛艦勤務では現在の手当額は12万2661円だが、6年度以降は約15万9千円に増額される。
 海自の乗組手当のほか、陸自には「特殊作戦隊員手当」、空自には戦闘機操縦士を対象とした「航空手当」がある。
 少子高齢化が進む中、人材確保のためにも、自衛官の処遇向上は大きな課題となっている。防衛省は自衛官の給与を定めた俸給表の見直しを検討しているほか、超過勤務の実態調査や有事対応を想定した。

 

少子化、ハラスメント問題…自衛官、採用に逆風:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)