日米韓首脳が会談 「キャンプデービッド原則」発表 | すずくるのお国のまもり

すずくるのお国のまもり

お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎日米韓首脳が会談 「キャンプデービッド原則」発表

 

 

 日米韓3カ国の首脳は、アメリカ大統領専用の別荘で会談しました。先ほど、そろって共同会見を行い、新たに「キャンプデービッド原則」を打ち出しました。
 岸田総理大臣:「(キャンプデービッドの)歴史に新たな1ページを刻むことを大変光栄に思っています。本日、ここに我々3人は、日米韓パートナーシップの新時代を開いていく決意を示します」
 3カ国の首脳は「キャンプ・デービッド原則」として、仮に政権が代わろうとも安全保障分野での協力関係を長期的に継続する方針を打ち出しました。
 また、3カ国の枠組みをインド太平洋地域に広げ、これまで中心的なテーマだった北朝鮮問題に加えて、名指しは避けつつも中国などを念頭に安全保障上の脅威があれば迅速に協議するとしています。
 経済安全保障も推進し、「サプライチェーンの早期警戒システム」を試験的に運用開始する考えを示しました。

100541769.pdf (mofa.go.jp)

キャップデービッド精神

100541771.pdf (mofa.go.jp)

 

 

 

<韓日米首脳会談>防御訓練を毎年実施…「域内外の安保脅威に3カ国即時協議」

 

 

 

 韓日米3カ国の首脳が18日(現地時間)、米キャンプデービッドでの首脳会談で、域内外の危機状況が発生したり3カ国のうち1国でも安保上の脅威を受ける場合、直ちに協議すると宣言した。外交関係者の間では北朝鮮の核・ミサイル挑発のほか、韓半島(朝鮮半島)を越えてインド太平洋地域内に広がりかねない武力衝突状況までも念頭に置いた措置という評価が出ている。
 特に3カ国首脳が韓日米協議の強化に関する政治的公約を盛り込んだ文書「3者協議に関する公約」を採択した点が注目される。これに関連し3カ国当局者間の実務議論段階では「義務(Duty)」と明記することも議論されたが、最終的に「公約(Commitment)」という言葉が採択されたという。中国が「NATO(北大西洋条約機構)式軍事同盟をつくろうとしている」と批判するなど反発が少なくない状況を考慮し、程度を調節したと分析される。
 大統領室の関係者は「前例がないうえ、これまで3カ国の協力問題を消極的に処理してきたため、今後はより緊密に議論して必要なことを解決していこうという趣旨」としながらも「新しい文書が従来の日米同盟や韓米同盟を侵害したり妨害したりはしない」と説明した。同盟に準ずる宣言ではないが、域内外の脅威への共同対応案を別途の文書で強調することだけでも、北朝鮮をはじめとする周辺国に強いシグナルを与えるという計算が反映されている。
 実際、3カ国安保協力のターゲットは北朝鮮に合わされている。3カ国首脳は昨年11月にカンボジア・プノンペンで開催された韓日米首脳会談で進めることにした北朝鮮ミサイル警報情報の即時共有体系を年内に構築して稼働することにした。外交筋によると、首脳会談の前日からすでに試験稼働が進行中という。また韓日米防御訓練を毎年実施すると同時に、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源となっている違法サイバー活動も共同で監視するため韓日米サイバー協力実務グループも新設することにした。
 キャンプデービッド原則では韓半島問題に関連し「北朝鮮の完全な非核化公約を堅持する」と明記した。韓半島の代わりに北朝鮮を明示したのが従来の文書との違いだ。また尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨年の光復節(解放記念日)演説で提案した対北朝鮮基調に基づき、北朝鮮が非核化交渉に出てくる場合には段階的に大規模な食料供給と医療インフラ支援などをするという「大胆な構想」への支持と同時に、韓日両国に対する米国の拡大抑止公約も再確認した。また共同声明では「8月中旬に北朝鮮のミサイル情報即時共有のための海上弾道ミサイル防衛警報点検を実施した」と明らかにした。続いて「核兵器がない世界の達成が国際社会の共通の目標という点を再確認した」と明示した。
 3カ国首脳は北朝鮮の核・ミサイル脅威に効果的に対応するため韓日米防御訓練を毎年実施することにも合意した。複数年の訓練計画を立てて体系的な共同対応を用意するというものであり、特に在韓米軍と韓国軍の共同訓練を「チームスピリット」と名付けたように3カ国の共同訓練にも名称を付けることにした。ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)もこの日、「米韓日共同軍事訓練には陸海空と潜水艦、サイバー分野が網羅されるだろう」と明らかにした。
 3カ国首脳はさらに一歩進んで北朝鮮人権改善のための協力を強化すると同時に、拉致被害者・拘束者・国軍捕虜問題の解決意志も再確認した。自由な統一韓半島の推進に対する共通の認識も繰り返し確認した。金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長は「3カ国首脳が共に韓国の国軍捕虜問題と自由統一韓半島問題に共感し、公式的にこれに言及したのは今回が初めて」と意味付けした。

 今回の会議の結果、文書に南シナ海が言及されたのも注目される部分だ。政府関係者が「韓日米はインド太平洋地域の自由・平和・繁栄を追求するのに求心的な役割を遂行していく」とし「韓日米の協力は米国・インド・日本・オーストラリアのクアッド(Quad)や米国・英国・オーストラリアのオーカス(AUKUS)など共に域内外の平和と繁栄を増進するための強力な協議体として機能すると期待される」と述べたが、これと軌を一にする。
 実際、米国政府は韓日両国が安保協力レベルを一段階高めれば、中国の強圧的行為に効果的に対応できると期待してきた。しかし韓国の立場では日本との2国間軍事協力は難しい選択肢だ。国民感情上これを受け入れにくく、政治的に「反日」という批判を呼んで、むしろ韓日協力の本質を阻害するという懸念のためだ。
 当初、米政府関係者はこれを「危機時の協議義務(duty to consult)を誓うもの(take a pledge)」と説明した。しかし半日後、韓国大統領室の関係者は「義務(duty)という言葉は入らない。公約(commitment)だ」と明らかにした。
「義務」が明示される場合、危機発生時の軍事的自動介入など不必要な解釈を招きかねないため韓国側は慎重な立場を堅持した可能性が高い。こうした状況で終盤まで続いた文案調整作業で、米国も結局、韓国側の意見を受け入れて「公約」で最終合意したと推測される。大統領室の関係者は「脅威が発生しても一国が『これは脅威と見ない』とすれば協議に出なくてもよい」と説明した。米政府関係者も「今回の合意文書は同盟間の公約でなく、各国の自衛的防御権も阻害しない」と強調した。
 3カ国首脳は今回の首脳会談を機に各国のインド太平洋戦略に基づく「インド太平洋対話」を発足させ、3カ国とASEAN(東南アジア諸国連合)、太平洋島嶼国などと関連政策を緊密に調整していくことにした。また「韓日米開発政策対話」を稼働し、人道的支援案も論議していくことにした。

 

◎日本が「韓半島統一」を文書で支持したのは初めてだ【寄稿】

 


 キャンプ・デービッド首脳会談で合意、「自由で平和な統一韓半島」 韓米日3カ国協力を順調に進めるためには韓日関係の突出を防ぐべき 独島問題での摩擦を軽減させるため、両国間の海洋境界協定を急ぐべき
 8月18日のキャンプ・デービッド韓米日首脳会談は、東アジアの戦略的構図と力学関係を再編する世紀の事件だ。ここで3カ国協力のビジョンと原則、目標、履行体制などを明示した三つの文書が採択されたのは、わずか1年前の時点では想像し得なかった外交的異変だ。
 こうした異変は、東アジアの時代的要求と、これに応えようとした3カ国首脳の絶妙な意気投合が作り出した作品だ。特に、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が国内の政治的な負担を押し切って韓日関係の改善のため無謀かつ果敢な賭けに出たことが、キャンプ・デービッドに向かう道を開いた-という点に異論はない。歴代の米国政権が20年以上も、3カ国協力体の樹立に向けて至大な力を注いだが、韓日間の過去史を巡る反目と対立が実現を阻んできた。米国のジョー・バイデン大統領は、尹大統領が韓日関係のしこりを解きほぐした成果を3カ国首脳会談につなげるリーダーシップと瞬発力を発揮したことにより、東アジア外交の宿願を達成した。同盟を「寄生虫」と見なすドナルド・トランプが大統領であったなら、到底あり得ないだろう。日本の首相が安倍晋三の追従者でなかったことも幸いだった。
 3カ国間の安全保障協力を可能にする政治的原動力は、3カ国が共有する脅威認識から出てきた。そうした点で、習近平と金正恩(キム・ジョンウン)も主役に劣らぬ助演の役割を果たしたことになる。習近平が「中国の夢」を掲げ、攻勢的な膨張政策で域内の安全保障不安を醸成し、韓国の防衛主権を否定する横暴を働いていなければ、米日の中国けん制戦略に韓国が快く加わることは難しかっただろう。また、金正恩が核ミサイル戦力の増強と技術の高度化に狂ったようにのめりこんでいなかったら、日本との軍事協力拡大と制度化は、韓国の国内政治的に無理な発想だった。
 では、3カ国協力体の発足で何が変わるのだろうか。韓国が得た最大の利益は、中国に対するレバレッジ(leverage、てこの作用)を強化し、覇権的横暴や経済的強圧に振り回されない保険を得たことだ。3カ国協力体は、軍事同盟とは隔たりがあるが、3カ国の利益と安全に対する域内の「挑戦・挑発・脅威」がある場合、対応策を調整するため速やかに協議をすることとしている。これは、中国が韓国を脅迫しようとしたら3カ国の共同対応を覚悟せねばならないことを意味する。また、中心的な素材・部品の供給網かく乱に対応する体制を整備することで、中国の経済的強圧をけん制するレバレッジも強化された。米国のインド・太平洋政策に対する韓国の発言権も強化された。特に、米国が中国の脅威を誇張して過剰対応を試みる場合、韓日両国が共同でこれを緩和する枠組みを提供してくれている。
 一部で「米日との密着が中国の反発を招き、韓国外交独自の空間を制約する」という懸念も提起されているが、中ロ朝3カ国の結束が強化されている状況で、レバレッジを犠牲にして身動きの幅を広げたところで、プラスになることはない。中国を「高い山の峰」として受け入れ、「中国の夢」に追従するのであれば、中国の反発は避けられる。しかし、反発を避けようとしてレバレッジを放棄したら、屈従を自ら招くだけだ。
 北朝鮮も、これまで民生を犠牲にして開発してきた核ミサイルを使うのが一層困難になった。3カ国間のミサイル警報データのリアルタイム共有と共に合同演習を定例化したことによって、北朝鮮が核ミサイル発射を試みても、これを一層効率的に探知・迎撃できるようになったからだ。また、北朝鮮のハッキングと暗号資産窃盗を遮断する実務グループが立ち上げられたことで、北朝鮮の違法な外貨稼ぎはさらに困難になった。キャンプ・デービッド共同声明が「自由で平和な統一韓半島」を支持していることも注目される。統一の方法についての言及はなく、統一の最終状態のみを明示したことも特異で、日本が韓半島統一を共同声明を通して明示的に支持したのも初めてだ。
 だが、3カ国協力体の発足は素晴らしいが、その土台は微弱極まりない。来年11月の米国大統領選挙でトランプが当選する惨事が起きたら、3カ国協力は動力を喪失する。韓国で反日根本主義勢力が政権を取ったら、韓日関係は無事ではあり得ず、韓日関係が破綻したら3カ国協力も終わる。3カ国協力を覆し難いものにしようと思ったら、これを内実化し、韓日関係の潜在的悪材料を除去しなければならない。独島に対する日本の所かまわぬ領有権主張や東海表記問題が、3カ国協力の雰囲気を壊しかねない。従って、独島問題での韓日の摩擦を軽減する案として、韓日間の海洋境界協定の締結を試みる必要がある。2016年の常設仲裁裁判所(PCA)の南シナ海領有権紛争判決を援用すれば、独島が韓国の排他的経済水域(EEZ)に入る解法を見いだすことができる。東海で韓米日間の合同軍事訓練を実施しようとしても、訓練海域の表記問題が本質を色あせさせる突出した悪材料になりかねない。海洋境界協定と東海表記問題を一括妥結させる案も検討する必要がある。
千英宇(チョン・ヨンウ)元韓国大統領府外交安保首席・韓半島未来フォーラム理事長