在韓米軍のTHAAD基地に対する環境影響評価が終了 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎THAAD電磁波「6年の怪談」…実際は基準値の0.19%=韓国(1)

 

 

 慶尚北道星州(キョンサンブクド・ソンジュ)にある在韓米軍の高高度ミサイル防衛(THAAD)システム基地に対する環境影響評価がついに終わった。2017年のサード配備以来、6年ぶりのことだ。環境影響評価の結果、THAADの電磁波は測定最大値が0.018870W/㎡(ワット毎平方メートル)で、人体保護基準(10W/㎡)の530分の1水準(0.189%)にとどまった。携帯電話基地局より電磁波が出ないということだ。
 2017年導入当時、一部の政党、進歩市民団体、マスコミなどは「THAADによる電磁波が星州産マクワウリに染み込んで腐らせる」「星州産マクワウリが『電子レンジマクワウリ』になるだろう」などの各種「THAAD怪談」を広めた。全国のマクワウリ栽培面積の70%以上を占める最大産地である星州の農民は一時数百億ウォン台の売り上げの打撃を受けたりもした。さらに、一部の共に民主党議員は当時反対集会に参加し「強力な電磁波の下で私の体が揚がりそうで嫌だ」という歌まで作り怪談拡大の先頭に立った。しかし、いざ科学的検査結果は人体に無害だということだった。
 国防部と環境部は21日、「先月11日、国防部国防施設本部が受け付けた星州THAAD基地の環境影響評価書に対する協議を完了し、環境影響評価書を承認した」と明らかにした。環境部は「THAADによる電磁波に関連し、国防部(空軍)と信頼性のある第3の機関である韓国電波振興協会の実測資料を関係専門機関および専門家などとともに総合検討した結果、測定最大値が人体保護基準の0.189%水準であり、人体および周辺環境に及ぼす影響は微々たるものと判断された」と明らかにした。
 軍関係者はこの日「文在寅(ムン・ジェイン)政府当時、後回しにされてきたTHAADの環境影響評価がようやく完了した」として「THAAD基地内のインフラ建設を本格化できるだろう」と話した。 国防部関係者は「基地全体を対象に科学的検証を経ただけに、THAADによる電磁波など星州基地をめぐる住民の不安も払拭できると思う」と明らかにした。
 THAAD基地は2017年3月、大邱(テグ)地方環境庁の小規模環境影響評価を経て、まずレーダー1機とミサイル発射台2基が臨時配備されて作られた。同年9月、ミサイル発射台4基が追加配備され、辛うじて1個の砲台が完成した。
 しかし、THAAD基地の正常な運営は遅々として進まなかった。基地入口が封鎖された状況で基地に勤務中の韓米将兵は飲み水など生活必需品もきちんと供給されずヘリコプターで空輸された。基地内にはかつてにあったゴルフ場のクラブハウスと管理棟を除けば、まだ臨時構造物しかない。このため、将兵たちは依然としてコンテナなどで生活している。

 

 

 このような「臨時基地」状態が6年も続いたもう一つの理由は、文在寅政府時代に変更された環境影響評価方式のためだった。当初2016年末、朴槿恵(パク・クネ)政府は核実験など北朝鮮の高度化した核・ミサイル能力に対抗して一種の略式である小規模の環境影響評価を終えた後、星州基地を正常に運営しようとした。しかし翌年発足した文在寅政府は、住民と市民団体の反発などを理由に通常数年がかかる一般の環境影響評価を実施しなければならないと方針を変えた。
 しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府は発足当初からTHAAD基地の正常化への意志を明らかにした。昨年、基地に対する常時接近措置を通じて物資搬入を円滑にし、次に40万平方メートルの敷地を供与する措置も完了した。今年上半期中に環境影響評価を完了するという計画も今回終了した。
 現在、韓米は来年初めの着工を目標に基地内の新しい施設物に対する設計案を練っている。政府関係者は「来年事業が着手できるように法令改正、予算編成などの措置を年内に終える計画」と説明した。こうすれば、今年3月に在韓米軍が韓米合同演習「フリーダムシールド(自由の盾、FS)」の際にTHAADの発射台を基地外に展開する演習を初めて実施したことに続き、多様な演習ができるものとみられる。
 THAADは迎撃高度40~150キロメートル、最大射程200キロメートルに達する高高度ミサイル防御体系の核心手段であり、発射された弾道ミサイルが目標物に近接して下降する終末段階で撃墜させる。
 ただし、一部ではTHAAD基地の正常化が最近冷え込んだ韓中関係に悪材料になりかねないという懸念の声もある。中国は2017年の配備当時からTHAADの配備を問題視した。中国は外相会議など主な節目のごとに韓国に「THAAD3不」(THAAD追加配備・米国ミサイル防衛参加・日米韓軍事同盟参加の三つを行わない)を要求した。前任の文在寅政府では、中国の懸念に共感した。中国は現在までも韓国のコンテンツと韓国人出演の広告の中国内送出を禁止する「限韓令」など報復措置を取っている。
 これを受け、韓国政府高官はこの日「THAADの正常化は安保主権事案に過ぎず、中国が介入したり評価したりできる事案ではない」とし「THAAD基地に関連し、今後このような大原則に従って対応していく」と述べた。