「中国・中央アジアサミット」2年に1度の定期開催が決定 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎「中国・中央アジアサミット」2年に1度の定期開催が決定 アフガニスタンにも影響力を行使する考え示す

 

 

 G7サミットと同時期に19日まで開かれていた中国・中央アジアサミットで、「西安宣言」が採択され、サミットを定期的に開催することが決まりました。
 2年に1度のサミットの定期開催が決まったことで、中央アジアにおける中国の影響力はさらに増すとみられます。
 「西安宣言」では、中国と中央アジアは「運命共同体」を作っていくとして、経済や文化の領域から国家安全の領域まで、幅広く協力するとしています。また、習主席が10年前に提唱した中国主導の経済圏「一帯一路」についても「新たな出発点」として、協力を強化するとしています。
 さらに、中央アジアに隣接するアフガニスタンについても「平和と安定を守ることを助ける」として、影響力を行使する考えを示しました。広島のG7サミットと同じ時期に開かれた今回の会議で、中国は西側主導とは違った枠組み作りをまた一歩進めたと言えます。(ANNニュース)

 

◎「ロシアの裏庭」中央アジアで影響力拡大狙いか G7に対抗?中国版サミット開幕

 

 

 【北京=石井宏樹】中国が中央アジア5カ国の首脳を招いた会議が18日、陝西省西安で始まった。対面での首脳会議は初めてで、19日に共同文書に署名する見通しだ。巨大経済圏構想「一帯一路」の提唱から10年になるのを機に「ロシアの裏庭」といわれる中央アジアへの影響力を一層拡大させる思惑がある。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、対中抑止を強める日米欧に対抗する狙いもありそうだ。
 習近平しゅうきんぺい国家主席は18日、キルギスのジャパロフ大統領、トルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領らと相次いで会談。17日にカザフスタンのトカエフ大統領と会談した習氏は「今回の会議は大きな節目になる。協力関係を新たな段階に進めたい」と語った。全体会合では「一帯一路」の具体的な事業内容やイスラム過激派への対応についても議論を交わす。
 インド太平洋地域で米国による対中包囲網が強まる中、中国にとって中央アジアの重要性は高まっている。中央アジアは石油・天然ガスの供給元で、ガスパイプラインで中国とつながる。ウランや金、レアアース(希土類)などの資源も豊富で、エネルギー安全保障の側面からも安定的な関係構築が欠かせない。
 「一帯一路」構想は習氏が2013年9月、カザフで初めて提唱。この10年で中国と欧州を中央アジア経由で結ぶ国際貨物列車の運行は急増。新路線の建設やカスピ海を通る海上輸送路の共同開発も進めている。
 中央アジアにとっても貿易相手国としての中国の存在感は高まる一方だ。22年の貿易総額は700億ドル(約9兆6000億円)を突破して過去最高を記録。カザフは中国と査証(ビザ)なしの渡航実施で合意する見通しで、経済交流の活発化に期待を寄せている。
 旧ソ連圏の中央アジアもウクライナ侵攻を受けてロシアとの距離感は広がる。カザフはロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東部の承認を拒否した。
 一方、米国のブリンケン国務長官は今年2月、中央アジアを訪問して5カ国の外相と会談。ロシアの影響力が低下する中、経済協力や領土保全への支援を約束するなど取り込みに躍起で、中国と激しい綱引きを繰り広げている。
 米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は「ロシアは中国のやり方を喜んでいない」との見方を伝えた。ロシア紙イズベスチヤは「ロシアと中国は(中央アジアで)補完し合っている」との専門家の分析を報じた。

 

◎中国、中央アジア5か国と首脳会議…ウクライナ問題で「12項目の提案」支持取り付け狙う

 

 

 【西安(中国陝西省)=川瀬大介】中国と中央アジア5か国による首脳会議が18日、西安で開幕した。中国の 習近平シージンピン 国家主席は先進7か国首脳会議(G7サミット)開催をにらみ、中央アジア各国との連携を誇示しつつ、ウクライナ情勢を巡る国際世論にも影響力を及ぼそうとしている。
 対面での開催は初めてとなる。習氏は19日に各国首脳との共同記者会見に臨む。中央アジアとの関係強化に関する演説も行い、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた経済協力や投資の強化を提唱する。ロシアによるウクライナ侵略が主要議題となるG7サミットに対抗する形でウクライナ問題も議論する。中国が掲げる「12項目の提案」への支持取り付けを図る見通しだ。
 中国外務省によると、習氏は17、18の両日、各国首脳との個別会談もこなした。強権的手法が指摘されるカザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領には「カザフが国情にかなった発展の道を歩むことを支持する」と述べた。中国が「内政に干渉している」と批判の矛先を向ける米欧を意識した発言となる。
 ロシアとのつながりが深い中央アジアには日米欧が取り込もうと動き、中国側は「地政学的な駆け引きの戦場にしてはならない」( 秦剛チンガン 国務委員兼外相)と警戒する。中央アジアは習氏が重視する一帯一路の起点でもあり、鉱物資源も豊富で、経済面での要衝でもある。
 ロシアは中国との連携を重視する一方、「勢力圏」と位置づけてきた中央アジアで中国の影響力が強まることを警戒している。プーチン露大統領は9日、モスクワでの旧ソ連による対ドイツ戦勝記念日の式典に中央アジア5か国の首脳全員を招待。演説で「ソ連の人々すべてが共通の勝利に貢献した」と一体感を強調した。しかし、中央アジア各国には、ウクライナ侵略を受けて、ロシアと政治的に距離を置く動きも見られる。