◎「イランが無断で核設備変更」 米英独仏が声明、協定順守求める

 

 

 核開発を進めるイランがウランを濃縮する遠心分離機の設備を国際原子力機関(IAEA)に無断で変更したのは、両者が結んだ核施設の査察に関する協定に反するとして、米英独仏4カ国が3日、協定順守を求める声明を出した。核開発を制限する核合意の復活に向けたイランと米国の交渉も停滞し、核開発の行方に不透明感が漂っている。
 声明によると、イランは同国中部フォルドウのウラン濃縮施設で、IAEAに予告しないまま、一部の遠心分離機の構成を大幅に変更したとしている。核兵器に使われるウランは濃縮度90%以上とされるが、今回の遠心分離機は60%までの高濃縮ウランを生産できるといい、声明は「兵器級に近い」と指摘している。
 核不拡散条約(NPT)に基づいてイランとIAEAが結んでいる包括的保障措置協定は、設備などの変更がある場合はIAEAに知らせるよう規定。米英独仏の声明は「通知がないままの変更は、協定におけるイランの義務に反する」としている。声明によると、イラン側はこの変更について、「誤って実施された」と説明しているという。また、イラン政府系タスニム通信は、イラン側がIAEAの検査官に事情を説明し、検査官が自らの誤りを認めたと報じている。