中国に台湾軍の機密漏洩、退役大佐に懲役20年 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎中国に台湾軍の機密漏洩、退役大佐に懲役20年 将校6人抱き込む 台湾の最高裁

 

 

【台北=西見由章】台湾空軍の退役大佐が将校6人を抱き込んで軍の機密情報を中国側に売り渡したとして国家機密保護法違反などの罪に問われた事件で、最高法院(最高裁)は13日、退役大佐の上訴を棄却し、懲役20年の判決が確定した。台湾の中央通信社などが14日報じた。
 台湾統一を掲げる中国の習近平政権が軍事的圧力を強める中、台湾軍内部への浸透工作にいかに対処するかが頼清徳政権の大きな課題となっている。
 報道によると、大佐は退役した2013年以降、中国に渡ってビジネスに従事していた際に中国の情報機関に取り込まれた。その後、台湾に戻って軍内部の人脈を利用し現役将校に接触。ギャンブルで借金を抱えていた空軍中佐(その後退役)やその妻の少佐らに軍の機密文書などを集めさせ、中国側に渡して報酬を得ていた。
 大佐に抱き込まれ情報を漏洩(ろうえい)したとして起訴された将校6人の中には、総統専用機を管轄する台北の空軍松山基地所属の現役少佐も含まれている。
 一方、今回の最高法院の判決により、別の少佐1人の無罪判決が確定した。

◎台湾の元将校ら中国に機密漏洩 軍配置など 7人立件

 

 

【台北=矢板明夫】台湾高等検察署(高検に相当)の高雄分署は5日までに、「国家機密保護法」違反などの容疑で台湾軍の元大佐と現役将校の計4人を拘束した。中国情報機関の依頼で台湾軍の部隊配置や軍機の性能に関する情報を中国側に漏洩(ろうえい)した疑い。検察当局は既に保釈された3人を含む計7人が機密流出に関与したとして立件した。5日付の台湾紙、自由時報などが報じた。
 台湾の軍幹部が中国情報機関の協力者となったスパイ事件は毎年のように発覚している。昨年夏には元空軍少将と元陸軍中佐が検挙された。ただ、退役軍人に加えて現役将校6人が立件され、防衛の要とされる軍配置状況と軍機や軍艦の性能が漏れたことは珍しい。
 報道によると、拘束されたのは台湾空軍の元大佐1人と海軍や空軍の現役将校の3人。調べでは元大佐は退役後の2013年ごろから中国に渡り、中台間の貿易ビジネスに従事。その際に中国の情報機関関係者と接触し、協力者となった。
 台湾に戻った後は実体がない会社を立ち上げ、中国側から定期的に活動資金を受領。軍の元部下らを勧誘して中国側に渡すための情報を収集し、情報の重要度に応じて報酬を払っていたとされている。
 元大佐は中国側への1回の情報のやりとりで、報酬として20万~70万台湾元(約85万~約300万円)を受け取っていたという。
 中国側に伝えた情報には台湾軍の部隊配置や軍機、軍艦の性能など重要な機密が含まれていたという。台湾当局は5日までに元大佐の自宅と複数の空、海軍の拠点を捜索した。
 台湾国防部(国防省)の孫立方報道官は5日、記者会見し、「現場教育を徹底させ、再発防止に努める」とのコメントを発表した。
 軍事評論家の黄澎孝氏は事件を巡り、中国側が情報収集活動を活発させているとして、「事態は極めて深刻で、法律改正を含めた抜本改革が必要だ」と指摘している。