◎「台湾海峡の緊張エスカレート」中国が22年ぶり白書…米国の往来強化を非難
【北京=比嘉清太、台北=鈴木隆弘】中国政府は10日、台湾問題に関する基本的立場をまとめた白書を発表した。白書は、ナンシー・ペロシ米下院議長による訪台を念頭に、中国が反対する台湾との公的往来を米国が強化していると非難し、「このままでは台湾海峡の緊張は必ずエスカレートし続ける」と主張した。
台湾紙・聯合報(電子版)によると、白書は2000年以来22年ぶりで、 習近平シージンピン 政権では初めて。習政権は、台湾周辺での軍事演習による軍事的威嚇の強化に加え、白書も公表し、米台連携をけん制する狙いだ。白書は「台湾独立勢力や外部勢力が挑発し、レッドラインを越えれば断固たる措置を取らざるを得ない」とした。
白書では、平和統一や、一つの国家に異なる制度の存在を認める「一国二制度」の導入が台湾問題での基本方針だとしつつ、「武力行使の放棄は承諾しない」と明記。統一に向けた中台間協議の先送りはできないと台湾側に迫った。
台湾の 蔡英文ツァイインウェン 総統は10日、与党・民進党の会議で「中国は中台の現状を顧みず、独りよがりに白書を出した。目的は台湾へのどう喝だ」と批判した。
中国は1993年にも白書を発表している。
◎「現実無視の希望的観測」 中国白書を非難―台湾総統
【台北時事】台湾の蔡英文総統は10日、中国が発表した台湾統一に関する白書について「ますます両岸(台湾と中国)の現実を無視した希望的観測だ」と非難した。与党・民進党の会合で語った。
台湾統一へ「武力放棄せず」 白書発表、軍事演習は終了―中国
蔡氏は、中国の白書が「一国二制度」を重ねて主張し、台湾に対する武力行使を辞さない姿勢を強調したことに「目的は武力威嚇だ」と反発した。もう一つの目的は「中国を恐れて妥協しようとする、ごく少数の台湾政党や人に手招きすることだ」とも述べ、野党が中国に接近する動きをけん制した。