7.4 南北共同声明 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎7.4 南北共同声明


 韓国と北朝鮮は厳しい対立を続けており、対話の糸口すら掴めない状況が続いていたが、1970年代に入ってアメリカと中国の接近や、アメリカとソ連との間にデタントが進行するなど国際情勢の緊張が緩和されつつある中、1971年8月より韓国と北朝鮮の赤十字社の接触が開始された。
 続いて1972年5月に韓国の李厚洛中央情報部長が平壌を極秘訪問(5月2~5日)し、金日成の実弟である金英柱朝鮮労働党組織部長並びに金日成首相と会談し、続いて金英柱の代理として朴成哲第二副首相がソウルを極秘訪問(5月29日~6月1日)し、李厚洛や朴正煕大統領と会談を行い、その結果、合意文章として南北共同声明が発表されることとなった。

 

◎南北共同声明全文(1972年7月4日 ソウルおよび平壌において)
 最近平壌とソウルで南北関係を改善し,分断された祖国を統一する諸問題を協議するための会談が開かれた。ソウルの李厚洛中央情報部長が1972年5月2日から5日まで,平壌を訪問して,平壌の金英柱組織指導部長と会談し,金英柱部長の代理として朴成哲第二副首相が72年5月29日から6月1日の間ソウルを訪問して李厚洛部長と会談した
 これらの会談で,双方は祖国の平和的統一を一日も早くもたらさねばならないという共通の念願をいだいて虚心たん懐に意見を交換し,双方の理解を増進させるうえで多大な成果を収めた。
 この過程において,双方は互いに長らく会えなかつつために生じた南北間の誤解,不信を解き,緊張を緩和させ,ひいては祖国統一を促進するため,次の問題に関して完全な意見の一致に到達した。
1. 双方は次のような祖国統一に関する原則で合意した。
(あ)統一は外国勢力に依存するかまたは干渉を受けることなく自主的に解決すべきである,(い)統一はお互に武力行使によらず,平和的方法で実現すべきである, (う)思想と理念,制度の差違を超越してまず単一民族としての民族的大団結をはかるべきである。
1. 双方は南北間の緊張状態を緩和し信頼の雰囲気を醸成するためにお互に相手を中傷,ひぼうせず,大小を問わず武装挑発をせず,不意の軍事的衝突事件を防止するために積極的な措置をとることに合意した。
1. 双方は断たれた民族的連係を回復し,互いの理解を増進させ,自主的平和統一を促進させるために南北間の多方面的な諸交渉を実施することに合意した。
1. 双方は現在,民族の至大な期待のうちに進行されている南北赤十字会談が一日も早く成功するよう積極的に協調することに合意した。
1. 双方は突発的軍事事故を防止し,南北間で提起される諸問題を直接・敏速・正確に処理するためにソウルと平壌間にホットライン(常設直通電話)を設けることに合意した。
1. 双方は以上の合意事項を推進するとともに南北間の諸問題を改善・解決することで合意した。双方はまた祖国統一原則に基づいて統一問題を解決する目的で李厚洛部長と金英柱部長を共同委員長とする南北調節委員会を構成運営することに合意した。
1. 双方は以上の合意事項は祖国統一を渇望する民族全体の念願に符合すると確信し,この合意事項を誠実に履行することを民族の前に厳粛に約束する。
互いに上司の意を体して
   李 厚 洛
   金 英 柱
   1972年7月4日