令和3年度日米共同指揮演習(ヤマサクラ)で領域横断作戦と米陸軍のMDOの連携 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎日米共同方面隊指揮所演習(YS-81)(陸上幕僚長より皆様へ)

 次に、12月1日から13日の間実施中の日米共同方面隊指揮所演習、YS-81についてです。
 本日午前中、朝霞駐屯地において、陸上総隊司令部と米陸軍第1軍団司令部との戦略レベルでの日米の調整状況を現場に赴き確認しました。また、この演習の焦点である、陸上自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションの連携が、着実に深まっていることを直接確認して参りました。
 今後とも陸上自衛隊は、我が国防衛に係る日米共同作戦の指揮幕僚活動の能力向上を図り、我が国の安全及びインド太平洋地域の平和と安定に寄与して参る所存です。

陸上幕僚長より皆さまへ (mod.go.jp)

◎有事の日米指揮所演習開始式 離島防衛、電子戦も想定―陸自

(陸上自衛隊と米陸軍第1軍団などとの指揮所演習「ヤマサクラ」の開始式に参加した第1軍団のブランソン司令官(右から5人目)ら=2日午後、神奈川県の陸自座間駐屯地)

 有事を想定した陸上自衛隊と米陸軍第1軍団(米ワシントン州)などとの指揮所演習「ヤマサクラ」の開始式が2日、陸自座間駐屯地(神奈川県)で行われた。

 米陸軍や海兵隊との総合的な演習は伊丹駐屯地(兵庫県)を中心に座間、相浦(長崎県)などの各駐屯地で行われ、自衛隊が約3500人、米側は陸軍・海兵隊約1500人が参加する。離島防衛などを想定し、電子戦サイバー攻撃への対処も含めた図上演習を行う。

有事の日米指揮所演習開始式 離島防衛、電子戦も想定―陸自:時事ドットコム (jiji.com)

◎「互いの考え理解」 日米共同指揮所訓練を単独取材

(日米共同方面隊指揮所訓練(YS―81)に臨む陸上自衛隊員と米陸軍兵士ら=11日午後、座間駐屯地(納冨康撮影)) 

 陸上自衛隊は11日、米陸軍との連携向上のため、日米共同の指揮所訓練「YS(ヤマサクラ)-81」を中部方面隊などの各駐屯地で行った。このうち陸上総隊司令部日米共同部のある座間駐屯地(相模原市など)で行われた訓練を産経新聞が単独取材した。戦闘地域の共同復旧作業を想定した訓練が行われた。

 陸自側は中部方面隊が、米軍側は第25歩兵師団が参加。座間駐屯地では双方の後方支援部隊が集まり、戦闘終末段階での避難所運営や物資輸送について、互いの能力や状況を報告。日米共同作戦の効率化に向け、日米間での手順などを確認した。

 訓練に参加した米陸軍のレビ少佐は「日米は兵站(へいたん)のプロセスが違う。コミュニケーションの進化に挑戦していきたい」と話した。  日米共同部の栗田昌彦1等陸佐は「連携へ向けて互いの考え方や能力、背景を理解していくことが重要だ」と述べた。

 日米双方は陸海空にサイバー、電磁波などを加えた統合作戦の運用をそれぞれ目指している。YS-81は1日から始まり、13日まで行われる。YSは昭和56年度から年2回ずつ日米交互に行われる。

◎【防衛最前線】日米共同訓練、前線へ物資を運搬せよ - 産経ニュース

 陸上自衛隊が米陸軍との連携向上のため行っている日米共同の指揮所訓練「YS(ヤマサクラ)-81」が12月前半に中部方面隊などの各駐屯地で行われた。このうち陸上総隊司令部日米共同部のある座間駐屯地(相模原市など)の訓練を単独取材した。戦闘後の復旧作業を想定した訓練で、双方の後方支援部隊が互いの輸送能力などについて報告し合い、効果的な運用方法を確認した。

 最前線に民間企業

 座間駐屯地に隣接する在日米陸軍のキャンプ座間。その建物の一室で実戦でも使われるという会議室は事務用の棚で仕切られ、ホワイトボードと椅子が並べられた意外と簡素な空間だ。そこで日米双方の男女十数人が真剣な表情で議論を交わしている。米軍兵士の女性が英語で話し始めた。(以下有料記事)

日米共同方面隊指揮所訓練(YS―81)に臨む陸上自衛隊員と米陸軍兵士ら=11日午後、座間駐屯地

https://www.sankei.com/article/20211230-66KBDA4B6RPK3J7LGEOF4XDBTY/

◎令和3年度日米共同方面隊指揮所演習(日本)(YS-81) の概要について 

 陸上自衛隊は、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化すべく、以下のとおり令和3年度 日米共同方面隊指揮所演習(日本)(YS-81)を実施しますので、お知らせいたします。 

1 目 的 

 陸上自衛隊及び米陸上部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する 場合における指揮幕僚活動を演練して、同活動に係る能力の維持及び向上を図る。 

2 期 間 

 令和3年12月1日(水)~13日(月) 

3 場 所 

 伊丹駐屯地、朝霞駐屯地、座間駐屯地、相浦駐屯地等 

4 演習実施部隊等 

(1) 自衛隊 

 ア 統裁官 陸上幕僚長 陸 将 吉田圭秀

 イ 演習部隊長 中部方面総監 陸 将 野澤真

 ウ 実施部隊 陸上幕僚監部、陸上総隊、中部方面隊、教育訓練研究本部、 統合幕僚監部、海上自衛隊、航空自衛隊等 

(2) 米 軍 

 ア 統裁官 太平洋陸軍司令官 陸軍大将 チャールズ・A・フリン 

 イ 演習部隊長 第25歩兵師団長 陸軍少将 ジョセフ・A・ライアン 

 ウ 実施部隊 太平洋陸軍司令部、在日米陸軍司令部、第1軍団、第25歩兵師団 第3海兵機動展開旅団等 

5 特 色 

(1) 我が国を取り巻く安全保障環境に適応し得るよう、40年にわたり演習内容を進化さ せつつ発展を遂げてきた陸自最大規模の日米共同演習 

(2) 従来の領域に宇宙、サイバー及び電磁波といった新領域を加えた自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた日米の連携向上のための練成訓練 

(3) これまでの日米共同方面隊指揮所演習(YS:ヤマサクラ)及び本年6~7月に実 施したオリエントシールド21における指揮機関訓練と実動訓練の連接に係る教訓を踏まえ着実に成果を累積

20211118_01 (mod.go.jp)

◎令和3年度「日米共同方面隊指揮所演習(YS81)」

(12月1~13日、伊丹、朝霞、座間、相浦各駐など)実施部隊は、陸上幕僚監部、陸上総隊、中部方面隊、教育訓練研究本部、統合幕僚監部、海自、空自など。米軍は、太平洋陸軍司令部、在日米陸軍司令部、第1軍団、第25歩兵師団、第3海兵機動展開旅団など。

 従来の領域に宇宙、サイバーおよび電磁波といった新領域を加えた自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた日米の連携向上のための練成訓練など。

12月に日米共同で3訓練 相互運用性の向上目指す|陸上自衛隊 - 防衛日報デジタル|自衛隊総合情報メディア (dailydefense.jp)

◎領域横断作戦とマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた連携 ~ヤマサクラ81~
1.はじめに
 令和3年12月1日から同年12月13日の間、令和3年度日米共同方面隊指揮所演習、通称「YS-81(ヤマサクラ81)」が、伊丹駐屯地を始めとして、朝霞駐屯地、座間駐屯地、相浦駐屯地等で実施されました。
 YSは、我が国を取り巻く安全保障環境に適応し得るよう、演習内容を進化させつつ発展を遂げてきた陸自最大規模の日米共同演習であり、40年目の節目となる今回のYS-81においては、陸、海、空という従来の領域に宇宙、サイバー及び電磁波といった新領域を加えた陸上自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた日米の連携向上を焦点として演習を実施しました。
  本演習には、陸上自衛隊から陸上総隊、中部方面隊等の人員約3,500名、米軍から第1軍団、第25歩兵師団、第3海兵機動展開旅団等の人員約1,500名(米国本土での参加者を含む。)が参加しました。コロナ禍で行われた演習ではあったものの、約300名の米軍及びその関係者が来日するとともに、豪軍から約30名がオブザーバーとして参加しました。
2.YSの意義
 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを共有する日米両国は、日米同盟に基づく相互運用性を強化し、我が国への脅威に対する抑止及び対処の実効性を向上することが求められています。
 40年にわたり実施されてきたYSは、強固な日米同盟を象徴する訓練の一つであるとともに、陸上総隊司令部、方面総監部等の上級司令部を主体とした大規模な指揮幕僚活動を日米共同で演練できる貴重な機会です。また、近年においては陸上自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた日米の連携向上に係る絶好の訓練機会であり、日米両国にとって極めて重要な演習です。
3.YSの沿革と進化
 第1回目のYS-1は、冷戦中の1982(昭和57)年2月、東富士演習場に隣接する滝ケ原駐屯地を使用して、約一週間実施されました。YSを開始した当初は、陸軍種単独による本格的な武力紛争状態への対処を念頭においたシナリオを作成し、総合戦闘力の発揮を重視した戦い方に係る訓練を実施していました。
 一方で、2001年に米国で9.11同時多発テロが発生した頃からは、国際情勢や米軍の教義の変化等を踏まえ、対テロ、国民保護、陸・海・空自衛隊による統合運用、サイバー攻撃対処等、様々な要素を訓練に取り込みつつ、訓練内容を毎年進化させています。 近年では、陸上総隊及び教育訓練研究本部が新編されたことから、訓練目的についても、従来の「方面隊の演習」から、陸上総隊司令部及び方面総監部を中心とした「陸上自衛隊の演習」へと発展しています。
4.領域横断作戦とマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた連携
 陸上自衛隊は、我が国の防衛に必要な抑止力・対処力を強化するため、領域横断作戦に必要な能力を強化しており、部隊の新編・改編や装備品の取得・改良に加え、様々な訓練・演習において部隊・隊員の練度を向上させています。

  特に、YSでは、日米共同の指揮所演習という枠組みにおいて、陸上自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた連携向上に係る訓練を実施しており、作戦司令部における指揮幕僚活動を日米が共同で行い、日米の相互理解を促進するとともに、作戦構想やそれに至る調整要領を日米でシンクロナイズさせ、日米の相互運用性を向上させています。
 また、YSと同様に陸上自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた連携向上を狙いとした訓練であるオリエント・シールド21(令和3年6~7月に中部方面隊が担任)を通じて得られた日米共同による敵部隊や敵艦船等に対するターゲティングに係る教訓も本訓練に反映し、着実にその成果を累積しています。
 加えて、時期を同じくして、国内における米海兵隊との実動訓練「レゾリュート・ドラゴン21」や米国における米軍との実動訓練「ライジング・サンダー21」において陸上自衛隊と米陸軍・米海兵隊との連携を強化する中、YSを通じて米軍と更なる連携の強化を図ることにより、日米による抑止力・対処力を一層強化するとともに我が国の安全及びインド太平洋地域の平和と安定にも寄与することができました。
5.「エンドステート」を踏まえたキャンペーン・デザインの設計
 陸上自衛隊の作戦司令部たる陸上総隊司令部や方面総監部の最も重要な指揮幕僚活動は、様々なオペレーションからなる軍事作戦全体(キャンペーン)をデザインすることであり、指揮官は、まず始めに戦略目的を達成するための軍事的な目標、いわゆる「エンドステート」を設定し、その達成に向けて作戦アプローチを組み立てます。
 YSでは、日米の各級指揮官が共同の「エンドステート」を設定して戦略レベルのキャンペーン・デザイン及び作戦レベルのオペレーショナル・デザインを設計するとともに、日米で密接に連携しつつ、作戦の終始を通じて柔軟かつ適時に当初設計したキャンペーン・デザインを見直す等、日米共同の指揮幕僚活動を演練することにより、その能力向上を図ることができました。
6.おわりに
 YS-81は、昨年のYS-79に引き続き、コロナ禍における各種制約がある中での訓練実施となりましたが、VTC等を活用し、日米の関係者の尽力により成功裡に終えることができました。
 陸上自衛隊と米陸軍は日米同盟の実効性や相互運用性を向上させるため、粛々とそして着実に練度を向上させており、こうした弛まぬ努力が我が国の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定を確固たるものにしています。
 本訓練を通して得られた数多くの成果を蓄積し、更に向上させていくことが重要であり、陸上自衛隊は、YS-81で培った日米共同作戦遂行時の連携要領等の成果を他の訓練・演習等に反映しつつ、陸上自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた連携の更なる向上を図っていきます。

領域横断作戦とマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた連携 ~ヤマサクラ81~ (mod.go.jp)