落合陽一著『落合陽一34歳、「老い」と向き合う』を読みました。

 

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著者は、従来の枠にとらわれないマルチタレントとして大活躍の方。テクノロジーやビジネスに関する著書でも、ベストセラーを連発されているようです。私がSNSでフォローしている方々も続々と、本書についての投稿されていました。

 

私もそんな刺激を受けて、読んでみたいと思いました。地元の図書館で本書をリクエストしたら、すぐに採用!ありがたく、借りることができました。

 

情報テクノロジーが専門で年齢も30代の著者。彼が「高齢者」や「介護」をテーマにして何を語ったのか。私も介護業界に従事する者として、興味津々です。

 

必ずしも「人の手」がベストとは限らない

 

介護の定義を読むと、必ずしも人の手で行われるわけではないことがわかります。介護には、介護職やテクノロジーが老人や障害者の補助となり、不十分な「身体の機能を補完」すると

いう面が多分にあると考えています。

 

僕たち人類は、テクノロジーによって多くの身体機能を補完してきました。代表的なものが「メガネ」です。視力の悪い人も、生活に不自由しなくなり、それまで従事するのが難しかった仕事もできるようになりました。

 

僕が介護現場でのデジタルテクノロジー実装の話をすると、必ず起こること。それは「人の手による温もりを重視すべき」という反応です。たしかに得体のしれない機械に世話をしてもらう恐怖心から、「人間に介護してもらいたい」と考える人は多いでしょう。

 

しかし、少し発想を変えてみると、必ずしもそうとは言えないことがわかります。たとえば「温水洗浄便座と、他人にお尻をふいてもらうのはどちらがいいですか?」と聞けば、「温水洗浄便座」と答えます。生活に即した具体例を挙げると、必ずしも「人の手」がベストとは限らないと気づくのです。

 

【私の感想】

「テクノロジーで介護」というと、AIやロボットに体を持ち上げられるようなイメージで考えてしまいますが、たしかにメガネやウォシュレットを考えれば、使わない手はないし、「人の手で手伝ってもらうより良い!」と思えます。落合さん、分かりやすいです。テレビのリモコンみたいなものでを使って自分で調節できて、気持ちよく使える。そうなったら、いいなと思うし、できそうな気がしてきます。入浴も、食事も、移動も。

 

外見の老いは、テクノロジーでコントロールできるようになる

 

僕は、老いはいずれ「パラメータ」に近いものになっていくと思っています。たとえば、白髪染めや植毛、ボトックス注射、更には遺伝子治療まで、現代社会はさまざまな”若返り“テクノロジーがあふれています。もはや外見上の老いは、テクノロジーである程度コントロール可能になりつつあるということです。

 

つまり、外見上、機能上の老いは、髪型や体型、服装のように、ある程度コントロール可能なパラメータのようなものになっているんです。

「今年は信頼感を醸成するため、老いて見せよう」「フレッシュな印象を生み出すために、しばらくは若くみせよう」といった選択が可能になる世界はすぐそこにせまっています。

 

精神的な若さも維持しやすい社会になりつつあるのではないでしょうか。身体機能が衰えて外出しにくくなっても、デジタルツールを駆使すれば、人と人とのつながりや学びの機会、能動的に刺激を受けられる機会はある程度担保できます。

 

【私の感想】

わたしは郷ひろみさんが思いうかびましたが、最新の技術を駆使すれば昔では考えられなかったような65歳の姿がありえます。メガネや補聴器だけではなくて、様々な身体の補完ができるテクノロジーの具体例も紹介されていて、納得できました。老いとある程度切り離された生活をしながら、「ある日突然」不可避な老いと死がやってくるという感じ。人生を満喫するには、そんなテクノロジーに興味をもって、取り入れるべきです。

 

介護産業は「テクノロジーで代替」の先駆になる

 

少子高齢化をチャンスに変えるためのメッセージを伝えたいというのが本書の目的。その技術的変化の先駆となるのが介護産業だと僕は考えます。介護現場は、社会に先んじて「省人化」「生涯現役」「身体拡張」といった次世代にキーワードへのニーズが高く、新しい技術を実験的に実践する土壌が揃っています。

 

多くの介護現場では、寝たきりの人でも入浴できるような入浴リフトが導入されています。しかし、このテクノロジーはあまり現場で活用されていません。装着に手間がかかったり、必ずしも作業を効率化しないからです。

 

実際は、世の中に受け入れられてきたテクノロジーは人間の日常作業を「少し楽にするもの」でした。たとえば電気炊飯器。「お米を炊く」という行為が簡単になりました。

介護におけるテクノロジーの活用を浸透させるため、現在僕が取り組んでいるのは、わかりやすくてシンプルな問題解決です。

 

介護の現場で僕が特に気になっているのが、介護現場に根強く残る「根性論」。「やりたくないのにやらなきゃいけない」と思わせている現状は健全ではありません。実際、テクノロジーの活用が進んでいる介護施設では従業員のモチベーションが改善していることを示すデータもあります。

 

【私の感想】

介護業界でこれから急速なテクノロジーの進歩が進んでくる気がしてワクワクして読ませてもらいました。その時の状況で、急速な技術の普及ってあると思います。実際、このコロナ禍で、リモート会議などあたり前になったし、外出しなくてもかなりのことができるようになりました。私の勤務先でも、少子高齢化、人手不足は実感していて、そのなかで介護施設を運営し続けようとすれば、進歩するテクノロジーを駆使していくことは必須です。そのきたるべき未来。それを楽しみにさせてくれる本でした。

 

ありがとうございました。