稲盛和夫(京セラコミュニケーションシステム)編著「稲盛和夫の実践アメーバ経営」を読みました。尊敬する経営者、稲盛和夫さんの考えを私が仕事にする介護施設の運営に活かしたいと思って、本書を地元の図書館で選びました。
 
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「アメーバ経営」をネットで検索すると、稲盛さんが経営した京セラのような製造業に限らず、医療・介護業界においても取り入れている法人、施設もありました。

 

施設で購読している、「日経ヘルスケア」の最新号でも、社会福祉法人慶成会の事例が紹介されておりました。「アメーバ経営」を取り入れて残業時間が減り、時間当たりの採算性が向上されたそうです。

 

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アメーバ経営とは

会社を小さな組織に分け、 それぞれを「アメーバ」と呼ぶ独立採算部門にしていく。 1つ1つのアメーバは 「売上最大、経費最小」という経営の原理原則を全員で実践する。 リーダーは自分のアメーバの目標をメンバーと一緒に立って、その達成を目指す。

 

その結果、社員は仕事を通じて自身の成長を実感し目標を仲間と共に達成する喜びを味わう。

 

アメーバ経営では会社の組織を それぞれ独立して採算を見ることができる単位―明確な収入が存在しその収入を得るために費用を明確に算出できる単位に分割していく。

 

会計のわからない叩き上げの社員たちも経営者として経営の一翼を担ってもらうために 、私は誰にでもわかる損益計算書を作り上げた。それが「時間当たり採算表」である。

 

【私の感想】

全員参加で、「売上最大、経費最小」の方策を考えていく。それには経営状況を部門ごとに、わかりやすく示す必要がある、と思いました。私自身もそうですが、意見を言う場があったり、自分の意見が通ったりする場面があったほうが、結果を求めるようになる気がします。それを考えていく作業は、きっとやりがいのある仕事のはず。まずは小さな部門単位で、収支の状態をわかるようにしていくことだと思いました。

 

JALでの事例

 

日本航空に着任してすぐ、「現在の経営実績はどうなっているのですか」と質問したが、なかなか数字が出てこない。 やっと出てきたのは数ヶ月前の実績データで、しかも極めてマクロなものだった また いったい誰がどの収支に責任を持っているのか、責任体制も明確でない。

 

組織再編において、いくつかの案を検討する過程を経て最終的には、 稲盛の指示もあり、

「1便ごとの路線・路便別採算を見ていくべきだ」との結論に至った。 それが「路線統括本部」である。

 

アメーバ経営によって新たに採算部門が生まれ、より多くの社員が採算を意識することによって、同社の収益性は飛躍的に高まっていった。

 

【私の感想】

本書には、稲盛さんが経営再建に関わったJALでの経験がかなり赤裸々に書かれています。ストーリーとしてもすごく面白く、「半沢直樹」に出てくるような成功ストーリーに思えました。それには、稲盛さんの経験に裏打ちされた理論がありました。それに、トップを引き受けた稲盛さんの覚悟、腹を据えて取り組む姿勢が、JALの社員を変えていったのだと思いました。

 

時間当たり採算表を作る

 

時間当たり採算表は わかりやすく説明できる収支計算表であり次のような特徴を持つ。

 

・家計簿のようにシンプルな構造

・時間当たりという 付加価値を示す指標を用いる

・ 全社統一のフォーマットである。

 

「時間あたり」によって 組織の大きさは売上金額の大小に関係なく、それぞれのアメーバの社員の努力によって生み出された付加価値を数値で表すことができる。

大手夕食チェーンの事例では、時間当たり採算表を用いた業績検討会を行った。

そこにはパート・アルバイト社員の責任者も会議に出席するようにした。 席上で、「売上最大、 経費最小」に向けた意見を募ると、 パート・アルバイト社員からも多様なアイディアが出るようになっていた。

 

【私の感想】

「時間当たり採算表」で、目標が明確になり、日々の仕事の緊張感も高まる気がします。ひとりひとりの動きが数値に現れやすくなるから、好ましい行動も促進されるように思います。私が取り組む仕事についても、各部門のわかりやすい指標を示すこと、意見を募ること、そんなところから、エッセンスを取り入れられると思いました。

 

ありがとうございました。