櫻田毅著「管理職3年目の教科書」を読みました。

 
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私は施設の事務長を任されて5年目になります。管理職としてスキルアップしていく心構えを学ぶのにちょうどいい本と思って、本書を読んでみることにしました。

 

著者の櫻田毅さんとは、過去に直接お会いしてお話させて頂く機会もありました。そのせいか、前書「管理職1年目の教科書」を読んだ際に、櫻田さんの表情や声が浮かんでくるようで、とても読みやすく、内容を理解しやすく感じました。

 

本書は更にマネージャーとして、成長していくヒントが書かれていて、今の私にピッタリと思いました。

 

櫻田さんは、深海調査船の開発→証券会社のマネジメント→外資系企業のCOO(最高執行責任者)→独立して人材開発の講演・研修、というキャリアを歩んできたそうです。

違う分野に挑戦し、どの仕事にもやりがいを持ち、自分の能力を柔軟に進化させてきた。だからこそ、のキャリア開発に対する説得力があります。

 

「面白そうだ」と思ったら、人より先に動く

 

私が証券投資分野で当時として数少ないクオンツ分析の専門家として仕事ができたのは、人より少しだけ早くその世界に飛び込んだことで、自動的に希少人材となったためです。資産運用コンサルティングも、コーチングも同じパターンです。

 

私の経験から、その仕事の将来性を分析しつつ機が熟すのを待っているような秀才タイプよりも、面白そうだという直感を信じて勢いで飛び込む凡人のほうが、よほどチャンスをつかむ可能性が高いのではないかと思います。

 

「面白そうだ」と思ったら、詳しく調べてみたり、その仕事をしている人から話を聞いてみればよいでしょう。

 

【私の感想】

私は理学療法士をしているときに、「面白そうだ」と思って、他施設の方々と交流を持ったり、自分たちで研修会を運営したり、研究会を立ち上げたりしていました。そこで、施設の管理者や経営者の方ともお会いする機会があって、マネジメント業務に関心が広がって、今の役目に結び付いています。

「機が熟す」のを待っていたら、叶わなかったダイナミックな仕事も任せてもらえるようになってきて、私も、櫻田さんの言う「直感を信じて勢いで飛び込む凡人」でありたいと思いました。人より先に動いて、チャンスをつかむ。それを心に持ち続けようと思いました。

 

不良債権化したスキルは迷わず捨てる勇気を持つ

 

専門性のスクラップ&ビルドは、不要になったスキルを捨てて、必要なスキルを学習することで、自分の人財価値を高めようとする行為です。ただ、ここで躊躇してしまうのが、不要になったスキルを捨てるということ。

 

新しい分野へ仕事を変えていくときは、知識や情報に対する関心のアンテナを新しい分野の方角に固定しなければなりません。特にこれまでの分野は慣れているだけに受信感度が高くなっています。そちらへ向けたアンテナを残したままにしていると、これからやろうとしていることに対して余計なノイズが入ってきて本当に必要なことを受信する妨げになります。

 

新しい時代のスペシャリストは、「専門バカ」では生き残れません。テクノロジーの進化と商品サイクルの短期化により、一芸に秀でた専門バカ人財であっても、自分のピースの形を変えていく必要があります。専門性を柔軟に変えながら、自ら価値をデザインする「自律型スペシャリスト」への進化が必要です。

 

【私の感想】

私の専門分野であった「老健のリハビリ」は現場から遠ざかって、自らの実践能力は完全に衰えております。そこに未練を残すよりも、今の役割を担う中で、次々に出てくる新しいテーマに挑む方へ太いアンテナを立てた方がいい。私は櫻田さんのメッセージを、そう理解しました。私たち介護施設の経営にあたっても、日々時代に合わせた変化が当然。「不要になったスキルは潔く捨てる」「自らの専門性を柔軟に変えていく」。そこは、私の背中を押してくれる言葉になりました。

 

即断、即行動、即修正

 

実際に、管理職のみなさんが、どうすべきか。

管理職はマネジメント偏重で、管理職自身の専門性は希薄化していきます。

 

自らプレーヤーとしての仕事ができないなかで、意思決定の軸となる判断基準を持ち、「即断、即行動、即修正」を実践してマネージャーとしての生産性を高める。マネジメントの機会を、「戦略・戦術策定」「組織間交渉」「組織マネジメント」「コーチング」などのスキルを身につける絶好のチャンスと前向きに捉える。

 

どのような状況であっても、「即断、即行動、即修正」のスタンスでマネージャーとしての生産性を高めること。それができれば、必ずプレーヤーとして使える時間をつくりだすことができます。

 

深い専門性がない異分野に管理職として異動した場合、その職場を最後に退職となると、60代の場合、ゼネラリストが手にすることができる仕事は限られてしまいます。

「ゼネラリスト落ち」とならないように、やはり必死で勉強して、少しでもその分野の専門要素を吸収すること。

マネージャーとしてのヒューマンスキルを磨くとともに、コアとなる専門要素を増やしておくことで、個人名で勝負できる組織人となれます。

 

【私の感想】

私の中に、専門職でいた方が60歳定年以降に仕事を得やすい、という考えも浮かんだりします。そこを櫻田さんは書いてくれていました。プレーヤーとしての仕事ができない中で、マネージャーとしての生産性を高めつつ、新しくプレーヤーとしての専門要素を学んでいくこと。それは私にとっては、「リハビリの現場」よりはこれから新たに出てくる「面白そうだ」と思う未来の新しい価値を見つけていくことだと、思えてきました。

 

ありがとうございました。