岡田慎一郎著「あたりまえのカラダ」を読みました。
 
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最近の私の休日の楽しみは、「下駄歩き」と「飛脚走り」。そのヒントになる本を地元の秩父市立図書館で探していて、本書に巡り合いました。

 

著者の岡田氏は、理学療法士で介護福祉士。「古武術介護」で有名で、体の使い方をわかりやすく教えてくれる方です。本書では、古武術という言葉を使わずに、「あたりまえのカラダ」の使い方を教えています。著者は自ら、子供の頃から体育の成績は悪く、「文系で運動苦手」と明言されたうえで、体の使い方の見つめなおしをされています。

 

私(鈴木)も小中学校ずっと、通信簿の体育は「2」でした。運動は30代後半でランニングを始めるまで嫌いでした。今も筋トレは嫌いで、腹筋をシックスパックに割るなんてできません。だから著者に強く共感します。本書のなかに、私の体を知るヒントがありそうです。

 

日本人のあたりまえ

 

人間の体というのは不思議なもので、それぞれの国の文化や生活様式と密接な関係を持っています。もともと日本人でいえば、その体は筋肉が発達して骨太な欧米人よりも、だいたいにおいて小づくり。骨は細く、筋力は決して強くはありません。

 

欧米流の体の動かし方は、ガッチリついた筋力が中心になりがちです。日本人はそれまで自然であった体の使い方が徐々に忘れられていきました。

 

日本人の歩き方(ナンバ歩き)

 ・腰をひねらず、股関節から脚を前に振り出す。

 ・両腕は大きく振らず、脚の運びに自然に添えるだけ。

 ・足裏はふみしめず、体重を分散するように、ふんわりと。

着物を着ていると、帯をしめることで腰がきまり、体をひねらないようになる。

 

欧米人の歩き方

 ・つま先で地面を蹴って前進

 ・大きく腕を振る。腕と脚は交互にクロスして前に出す。

 ・かかとから地面に着地する

洋服を着ると、着崩れの心配がなくなるので、腰をひねる歩き方が始まる。筋力的に恵まれない日本人には、実は疲れやすい歩き方なのだ。

 

【私の感想】

私が何冊も本を読んで探求してきた、革靴での歩き方と、草履や下駄での歩き方。ここに最もわかりやすく書かれていて、スッキリしました。日本人の着物の暮らしが「ナンバ歩き」を作り、それが日本人の「当たり前のカラダ」に合っていたというわけ。

 

 私も仕事では革靴で歩き、休日は草履(ルナサンダル)や足袋などで走り、下駄で散歩しています。仕事のときと、休みのときと、歩き方を変えればいいのだ。そうすれば、それぞれの疲れがとれて、仕事にも、遊び(休日のランニング)にも、よいパフォーマンスを発揮できます。わたしは、そう解釈しました。

 

忍者のように坂道を駆け上がる

 

日本古来のナンバ歩きは、長距離でも疲れにくい。上半身を捻らないので呼吸が楽です。江戸時代、忍者や飛脚などは、これを応用した「ナンバ走り」でマラソン選手顔負けの距離をスイスイ走ったそうです。

 

「ナンバ走り」のポイントは、全身をリラックスさせたまま体を前に倒していき、倒れそうになった瞬間、同じ側の腕と脚を同時に出すという点。このとき、手の小指を外から顔のほうに巻き上げるようにすると、腕の振りでバランスがとられて、倒れようとする体を前へ前へ上手に進めることができる。

 

ひじとひざが見えない糸でつながっているイメージを持つと、ますますスピードアップ。ナンバの走り方と同じく、かかとやつま先で地面を蹴らないし、体に余計な力を入れない分、早く走ることができる。

 

慣れれば、階段も坂道も疲れずにスイスイ駆け上がれる。山登りにもおすすめだ。

 

【私の感想】

ここにも、最近の私が探求してきたことの答えがわかりやすい言葉で書いてありました。

かつて学んだ「チーランニング」でも「体を前に倒していき、倒れそうになったところで足を出す」という動きを教えてくれていました。

そこに、「小指を巻き上げる」というのがわかりやすいです。自分でやってみても、しっくりくる気がします。

 

先日「飛脚走り」に実践として、棒をかついで走ってみました。そのときに、いつもより上り坂を登りやすい感覚があったのです。棒を担いでいることで腕を振らずに走る動きが「ナンバ走り」に近い感じになっていたのだと思います。

 

「弱い」が「強い」を連れてくる

 

重い荷物を持ちあげようとするとき、両手を「キツネさんの手」にすると持ちがりやすくなります。「キツネさんの手」とは両手の中指と薬指を内側に巻き込むようにすることです。

 

それは、腕の筋肉に頼らずに、一番力がある背中のパワーがしっかり引き出されるから。

「キツネさんの手」は腕の力をあえて出しにくくすることで、全身のより大きな力を引き出します。

 

ボディビルダーのように筋肉を鍛えずとも、ちょっとした手先の変化で、一瞬にして「力持ち」に変身できます。

 

【私の感想】

筋力に頼らずに、「体の使い方」によって効率的な動きができる、それをわかりやすく教えてくれています。

 

「飛脚走り」の田村雄次先生も本の中で、「不安定×不安定」が安定を生むと書いていました。棒を担ぐことでその不安定さによって、体が自然体になる、と。

 

私は、「日本人の効率的な体の使い方」の可能性にワクワクし始めました。武道を本格的に習わなくても、岡田氏のようにわかりやすい言葉で教えてくれる本から、実践に落とし込んでいきます。実際に着物を着て動いてみるのも良さそうです。

 

ありがとうございました。