田村雄次著「飛脚走り」を読みました。

 
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本書は、スマホで見たAmazonに「おすすめ」として表示されて知りました。読んでみて、まさに今の私の興味にドンピシャの本!!と興奮しています。

最近の私が「走り方」やら「日本人の体」やら「はだし」といったテーマの本を購入・検索した履歴から結び付いたのでしょう。私にとって、今年一番の本になるかもしれません。

Amazon先生、ありがとうございます。

 

著者は、ランニングを趣味にされている医師の方。群馬県で田舎暮らしをされています。近隣のマラソン大会に、地下足袋やワラジを履いて出場されているそうです。なによりランニングを楽しんでいて、ストイックにタイムを追求する感じじゃないのが私には心地よく感じます。分厚い本の中では、ときに脱線しながらも「飛脚走り」について、饒舌に語られています。

 

飛脚棒をかつぐ

 

江戸時代の飛脚は、どんなに長い距離であろうと、自分の足で駆け抜けていく健脚商売でした。当時の浮世絵などで描かれる旅人は、風呂敷のようなものを肩や背に括り付けていました。それなのになぜ、飛脚だけ棒をかついだのか。それは「気持ちがいい」から。

 

「にぎりやすさ」「かつぎやすさ」「動きやすさ」を着眼点に、「マイ飛脚棒」を持ってください。肩に担いで気持ちのいい棒。おすすめは矢崎化工の「イレクター」です。120センチや90センチがお手頃かもしれません。

 

「マイ飛脚棒」を持って、気持ちのいいように担いでみてください。

 

飛脚棒をかついで、気持ちよさを味わったら、つぎに「エア飛脚かつぎのポーズ」。実際に棒をかつがないで、かついでいるような感覚を求めます。これなら、人ごみやレース中でもできます。

当然のことですが、「エア飛脚かつぎのポーズ」は、必ず実際の飛脚棒かつぎの経験があってこそのことです。

 

【私の感想】

私もやってみたくなり、「マイ飛脚棒」を買いに職場近くのホームセンターに行きました。著者おすすめの「イレクター」はなかったのですが、木材で3センチほどの直径の棒を発見。握った感じがしっくりきたので、90センチの長さで購入しました。

 

週末の土日のランニングで試してみて、何となくバランスのいい、「気持ちがいい」ポイントがある感じがありました。よい姿勢になるからなのか?理屈で言い表せませんが、たしかに棒をかつぐ効果がありそうです。

 

「飛脚棒かつぎ」がうむ感覚

 

・胸郭が開いてくる。肩甲骨が、「よせて、さがる」。

・骨盤がひらく。赤ちゃんのハイハイ感覚。

・足裏で、小ユビ山に体重が乗ってくる。

・背筋が自然に伸びる

・「ああ、気持ちいい」。この感覚は体の緊張がほぐれ、本来の自然体に戻っている。

 

本来不安定な2本足の状態で、棒をかつぐ。それで、不安定×不安定になる。かついだ不安定さに意識が向くことにより、自身の姿勢は一番の自然体に収束していく。これは、4本足のハイハイの感覚に落ち着いていく。

 

【私の感想】

ここに書かれていることは、私は実際にやってみるまでピンときませんでした。「棒をかついで、ハイハイの感覚」??でも、やってみて、そんな感じがあることが私にもわかりました。

棒をかついでいると、胸が開いて、いつもより肺を大きく使える感じ。それも走りながら、棒を右に変えたり左に変えたりして、感覚を確かめてみました。

難しく考えるとわからなくなりそうですが、姿勢が良くなって、気持ちよく走れる、というのはしっくりきます。

 

私のランニングは、趣味でやっているのであって、その気持ちよさを味わうのが最も大事なことです。だから、タイムを気にしたり、順位を気にしたりするのでなく、あくまで自分の感覚を味わうという「飛脚走り」のコンセプトが最近の私がランニングに求めていたもので、非常に面白く感じています。

 
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「飛脚走り」は前足重心

 現代のランニング界のトレーニング法の中心は「筋トレ」。それは「後ろ足重心」で、モモ上げを中心とした下肢筋力が必要だから。

 

それに比べて、「前足重心」は脱力。足は体を支えるだけ、という感覚です。小ユビ山からの着地は、そのまま足首からヒザ、股関節にかけての全身性のクッション機能と連動しています。具体的は、キモノとゾウリ姿のイメージです。

飛脚は、前足重心歩きで暮らし、走れば前足重心走りで駆け抜けてゆきました。

 

筋トレよりも野良仕事。歩き・走りは、楽しめればよいのです。鍛えたければ、草むしりでもしていれば十分。草むしりも、和式トイレも、前足重心だから。

 

クンレンなしで、日々の営みの中での体使い。「走る民族」であるタラウマラ族は、「月間走行距離ゼロ」。彼らは、畑の行き来に、履物はゾウリに似た「ワラッチ」。それでレースとなれば、何十キロもトレイルを走り続けられます。

 

著者は今もゲタを履いています。ゲタで歩くときの不安定さは、飛脚走りと同じ、前足重心。だれもが、ゲタを日常に自然と履きこなしていた時代がありました。その時代は、前足重心歩きが当たり前でした。ゲタの歩きには、カラダ全体の疲れが抜けていく気持ちよさがあります。

だまされたと思って、一度ゲタで散歩してみてください。

 

【私の感想】

私が頭の中で、思っていたいくつかのこと。

「走るのは気持ちいけど、筋トレは嫌」。

「タラウマラ族のように山の中を走ってみたい」。

「ゲタで散歩する気持ちよさ」。

これらが、「前足重心」という共通点でつながっていることに感動しています。私がランニングを10年続けてきて、私がランニングに求めること。それが著者の田村氏が実践する「飛脚走り」に詰まっている感じ。

 

私も棒をかついで走ることをもう少し続けてみます。

 

ありがとうございました。