川原愼一著「先輩!お金の相談に乗ってください!」を読みました。

 

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読書量が多いほうの私は、毎月の本代もばかにならないと思い立ち、地元の図書館に行ってみました。私がこれから読みたいと思っている本がなかったなかで、本書が目に留まり借りてみました。

 

著者の川原氏は、ITベンチャー起業から経営破綻。抱えた2億円以上の債務を自力で解決された経験を持っています。その経験から、事業や個人の再生コンサルタントとして活動されている方だそうです。本書では、ビジネスや家計のディフェンスを身につけること、失敗からのリカバリーの方法を教えてくれています。

 

 

財務状況を把握して、失敗から身を守る

 

人は働いてお金を稼ぎ、その範囲内で生活していかないと破綻(企業の場合には倒産)をしてしまいます。あなたは、一刻も早く自分自身の正しい財務状況を把握して、その失敗から身を守るようにリスク管理をしないといけません。企業の場合は、「財務3表」と呼ばれる3つの視点で、常に監視します。

 

1 貸借対照表(B/S):自分が持っている資産の時価総額や債務の総額が示されている。

2 損益計算書(P/L):家計簿は「損益計算書」の簡易版。一定期間の収入と支出が示されている

3 キャッシュフロー表(C/F):「この瞬間の財布の状況」を示す。例えば給料日の前日、親戚の不幸があって香典を包まなければならないとなったとき、足りるのか。財布の中の現金で払えなくなっているとしたら、企業としては「倒産」になる。

 

損益計算書では黒字なのに、なぜか企業が倒産に追い込まれてしまう。それは、キャッシュフローがある瞬間に、「支出」のほうが「収入」を上回ってしまった結果です。

家計もまたしかり。「25日になればお父さんの給料が入るから」と言っても、どうしてもその日までまってくれない支出が嵩むと、家計は破綻します。

 

【私の感想】

私の家計の「貸借対照表」を作るとすると、借りた住宅ローンに対して、土地と家の実勢価格の方が低いと見るのが当然。預貯金やほかに資産としてお金に変えることができるものをほとんどもっていないわけですから、「債務超過者」ということになってしまいます。

損益計算書(=家計簿)は、黒字にすべく固定費を削るよう努力をしているところ。種乳と支出をまめに計算し、把握できるようにしてきています。

そして、私の家計に大事なのは「お金の流れをつかむ」キャッシュフローです。毎月の出費を銀行口座の収入の合計と支出の合計とを比較して見ていましたが、「おこづかい帳」の要領で、日付をつけて把握し、給料日前にも資金がショートしないようにしていくことだと理解しました。

B/Sは長期の視点、P/Lは1ヶ月などの短期の視点、C/Fは、その瞬間の財務状況を把握すること、と整理ができました。私の家計は長期の経済状況がまずいと自覚して、立て直しを図ります。

 

あの時決断していれば・・・

 

ベンチャー起業家の登場人物が失敗の経過を語ります。

・目の前の現実を直視しようとしなかった。

・相談することが恥ずかしいと思っていた。再生のための知恵を絞らなかった。

・金融機関がどう出てくるかわからなかった。

・肝心なことを決断できなかった。「あのとき決断していれば」

・なんとか元のいい状態に戻ろうとしてしまった。

 

返済が厳しくなったときに、消費者金融でお金を借りて返済したりした。振り返れば、もっと早く銀行の担当者に連絡してリスケジュールしてくれ」と交渉すればよかったのに。

 

妻から「このままじゃ会社が危ないんじゃない?」と指摘されたとき、もっと本当のことを語っていればよかったが、「いやいや今は苦しいけど、新しい取引先ができたから大丈夫」とうそを言い、見栄を張って裏切ってしまった。

 

失敗したかなと意識したら、まずは自分が失敗から目を背けていないか確認してください。失敗は、早め早めに手を打てば、必ずリカバリーの道は開けます。多くの場合、失敗を認めない気持ちがリカバリーの選択肢を狭め、逆にリカバリーの難易度を高める結果となります。

 

【私の感想】

おそらく著者の経験から語られる登場人物の状況が、私のハートに突き刺さります。今の私は、住宅ローンが始まり、払えなくなる恐怖と向き合っています。ですから、上記に抜き出した文章の内容が、自分の現状を改善しようという行動につながってきました。見栄をはるより、「どうにもならない」状況になる前に、改善することだと決意をさらに強くしました。今まで、見栄を気にして、クレジットカードを頼っていた自分が重なりました。

 

資金繰りの大原則は「人→物→金」

 

経営者だったら、人件費(人)が最優先。そして次に取引先の買掛金(物)。本業の信用、挽回に必要です。支払いの最後が金融(金)。支払い原資がストップしたら、金融機関への返済はストップするべきです。

 

家計においては、まず第一に「生きていくお金」。食費や水道光熱費などです。次に、「教育費・社会性のあるお金」。最後に、「家賃や住宅ローン」です。住宅ローンの返済については、いよいよ家計が厳しくなったら、金融機関と返済猶予の話し合いをします。

 

このように優先順位をはっきりし、その中で無駄なもの、余計なもの、優先順位の低い物を見つけてコストカットを図るのです。

 

金融機関以外の相手、友人や親・兄弟にお金を借りている場合は、優先するのが鉄則。自分の信用を損なわないように、個人的な借金を優先するのが、失敗のリカバリーの要諦です。

 

住宅ローンが払えなくなったら、返済をストップした上でリスケジュール交渉を開始します。そのときの原則は、「人→物→金」で、返済原資が足りなくなることを説明します。その上で、どのくらいの返済額なら可能なのか。何か月金利支払いだけにしたら家計が再生できるかを説明します。もちろん、夫婦ふたりで働くこと、無駄な出費を減らすこと、自動車などの動産を可能な限り売却することなど、できる限りの再建計画を提示することが大切です。

 

【私の感想】

本書では、上記に抜き出したところより、さらに詳細に金融機関がその後どういうふうに対応してくるかが書かれておりました。私は怖くて、そこを熟読するにはいたりません。信用を失わないよう、家族にしっかり説明すること。そして万一「住宅ローンを払えない」といい状況になる前に、余計なもの、優先順位の低いところを削っていこう、という動機付けには十分でした。「あのとき、もっとこうしておけば」と後悔しないような日常を作っていきます。

 

馬鹿ポジティブに「なんとかなる」と思ったり、神社に願い事をするのではなくて、現実を直視して、知恵を絞る。それが私の今すべきことです。

 

ありがとうございました。