大河ドラマ「軍師官兵衛」、DVDレンタルで最終回まで見終わりました。このドラマも、特に中盤から後半には思い入れが強くなっていきました。

 

「NHK大河ドラマストーリー軍師官兵衛」の「後編」と「完結編」から、振り返ってみます。

 

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黒田家の絆の原点は、夫婦円満!

 

黒田官兵衛役の岡田准一さんと妻・光(てる)役の中谷美紀さんの対談より。

 

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岡田:官兵衛は側室を持たなかったし、言うなれば純愛を貫いた人。夫婦のシーンも、大人の純愛を美しく詩的に伝えることができたら最高ですね

 

中谷:黒田夫妻の子育ても見どころですよね?

 

岡田:そうですね。官兵衛と光は、実子の他にも多くの人の子を育てました。多くの武将たちと違い、血縁にこだわらないところが官兵衛らしさと言えるかもしれません。

 

中谷:中でも又兵衛と玉松は優秀な武将に育ちます。

 

岡田:そこには、光の貢献が大いにあったと思います。

 

(中略)

 

中谷:世間では「夫より子どものほうが大事」というような方も多いようですが(笑)、光はあくまで夫を立てたはず。子育てにおいても夫婦の絆を見せていきたいですね。

 

岡田:黒田家の絆の原点は、「夫婦円満!」ですからね。

 

【私の感想】

「軍師官兵衛」のドラマのなかでは、夫婦や子育てについても丁寧に描かれていました。松壽丸を人質に出すときの夫婦の衝突もありました。有岡城幽閉では官兵衛を信じて待つ光がいました。

子育てでは、松壽丸(のちの長政)だけでなく、又兵衛らにもしっかり愛情を注いで育てる光が思い起こされました。そのベースには岡田さんと中谷さんが語っているように、夫婦円満があってこそ、です。夫婦の強い結びつきがあったから、実子以外の子も受け入れて家族の絆を強くしていけたと思います。黒田家の団結が強いから、波乱万丈な戦国を生き残れたのです。家族の大事さを改めて感じさせてくれました。

 

黒田家は息子が父を超える家

 

官兵衛役の岡田さんと、息子の黒田長政役の松坂桃李さんの対談より。

 

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岡田:まじめな話、実際はドラマ以上のシビアな親子関係があったと思う。戦国期の黒田家は、息子が父親を「超える」家で、父・職隆は祖父・重隆を超えて小寺家の家老につき、官兵衛は職隆を超えて12万石の大名になり、長政は官兵衛を超えて52万石の大名になった。乱世を生き抜くために厳しく鍛えられたからこそ息子は賢将に育ったのだろうし、だから父親は黒田家の未来を委ねた。そこがうまく伝わればいいなと思います。

 

松坂:演じていて、父親への尊敬が「超える」原動力になったと感じます。尊敬する父の志を受け継ぐという目的があればこそ、頑張れたのだと。

 

(中略)

 

岡田:僕は長政への信頼を終盤のキーにしています。というのも、官兵衛は家督を譲ったあとも軍師として重要な任務にあたっていて、関ケ原の際には九州で自軍も率いる。長政を信頼していたからこそ我が道を行けて、天下を狙えたと思うので。

 

松坂:僕も親子の信頼関係はぜひ表現していきたい。あと、史実でネガティブに捉えられている長政の行動にも、根拠や理由を見せていけたらと思います。官兵衛の跡を継ぐものとしての生き様を大事に演じたいです。

 

【私の感想】

  官兵衛と長政の父子関係は、私も息子がいますので参考にしたくなります。

・厳しく伝えるべきことを父親として伝えること。

・軽く褒めたりしないけど、信頼して思い切って任せること。

 

又兵衛に比べて長政には、官兵衛が特に厳しく叱るのは期待があってのことでした。未熟でまっすぐな長政を諌めて、先を読むということを教えています。その知略を見せてきたから、長政が関ケ原に挑んだときに大いに発揮されたのだと理解できました。

思い返せば、「軍師官兵衛」は「成功する子育て」のドラマでもあったようです。

 

堕ちゆくヒーローの終末

 

豊臣秀吉役の竹中直人さんのインタビューより

 

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天下統一以降の秀吉は、官兵衛が止めるのも聞かず朝鮮に兵を送る。利休や甥の秀次など、近しい人を抹殺する。ある種狂気の世界に入っていきます。

 

そのダークな部分は秀吉のコンプレックスの表れではないかと想像しています。「みんながわしを百姓あがりだと侮っておる」と繰り返し言うように、自分が天下人となり、周囲の人間たちへの異常なほどの猜疑心が強くなっていったのではないでしょうか。

 

だから、自分の地位を顕示するためにあらゆる手を打った。黄金の茶室なんてまさにその象徴です。

 

茶々に執着したのも、劣等感のある自分に、信長様の血をつなげたかったからだと思います。子どもがいないというコンプレックスともあいまって、茶々との間にできた子には尋常ではない思いをかけました。

 

【私の感想】

 竹中さんは、晩年に狂ってくる秀吉のことを理解しやすい言葉で表現してくれています。これを読むと、秀吉の思いが理解できるような気がします。三成の悪役ぶりもあいまって、困った上司に仕える官兵衛は、苦労続きでした。

官兵衛との思いのぶつかり合いもありました。秀吉に対して、強く出るときや、あきらめて引くとき、距離をおくとき。納得のいかない方針であっても、忠義を尽くします。苦しいなかでも、最善の策を考える官兵衛は、組織で働く者としての共感を覚えることもありました。

 

秀吉に惚れて天下に担ぎ出した官兵衛でしたが、晩年は大いに振り回されました。「すまなかった、おぬしが思うような立派な天下人になれなかった」と言って秀吉が亡くなります。官兵衛の号泣は忘れられません。抜群の理性と、人間らしい感情。官兵衛には両方があるから、惹きつけられるかもしれません。

 

ありがとうございました。