理学療法士の大先輩、Sさんの告別式に参列してきました。

 

 

Sさんは、私が理学療法士になった20数年前からお世話になってきた方で、

埼玉県内での高齢者のリハビリにおいて先駆けの存在です。

 

私が理学療法士になった頃、「介護力強化病院」といって介護職員が配置された病棟が制度に位置づけられて、いわゆる老人病院の改革が始まったところでした。

私が就職した秩父第一病院も「介護力強化病院」として勝負をかけているときで、私が初めての理学療法士として採用され、「寝たきり老人を車椅子に乗せて起こそう」という活気に満ちていました。

 その頃にお手本にしていた病院にリハビリのトップとしていらっしゃったのがSさん。Sさんも一緒の「介護力強化病院連絡協議会リハビリ部会」の集まりが一人職場の私にとっての心の支えで、毎度にこやかな笑顔で元気づけてくれました。

秩父で行った泊りがけの合宿で、Sさんが軽快なバク転を見せてくたのも楽しい思い出です。

 

 私が就職6年目、職場で老健を立ち上げるため、老健うららに異動になりました。ちょうどその頃、Sさんも職場を老健に変えられて活躍されていました。老健に常勤で腰を据えて働いている理学療法士が県内でも少ない頃でしたので、そこでもSさんが先輩になり、現場を見学させてもらい、研修会に一緒に参加させてもらい、大いに参考にさせていただきました。自分がやっている仕事への不安がありましたから、大先輩の存在がとても大きかったです。埼老健協会の研修委員の活動も、Sさんがいてくれて私のことを気にかけてくれたから、楽しく入っていけたのでした。埼老健協会の活動からの学びは、今でも私の仕事の基礎になっています

 

 Sさんは定年になったのち、大学の教員になられました。「高齢者のリハビリ」、「介護保険分野でのリハビリ」はこの20年で大きく発展し、理学療法士の活躍する大きな分野に成長しました。その現場で培った経験を学生さんに伝えられるSさんを格好良く思いました。せっかくですから、私もSさんと繋がりを持ちたいと思い、その大学の臨床実習を受け入れることにしました。今月の始めに臨床実習指導者会議の懇親会で久しぶりにSさんにお会いでき、昔話に花が咲いて、とても楽しくお話させて頂きました。Sさんが、私のことを自らの経験に重ねて励まして下さるのがとても嬉しくて、これからの「S教授」との関わりを楽しみしていました。

 

 そんな矢先、あまりにも突然の訃報でした。見頃になった曼珠沙華までのジョギング中、心臓発作を起こされて亡くなったそうです。

 

 告別式に参列させていただき、涙が止まりませんでした。まだ、あの良く通る声で、にこやかに話しかけてくれそうな感じがしました。

 

 Sさん、ありがとうございました。ご冥福を心よりお祈りいたします。