(設立時役員等の選任)
第38条
発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。
2 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項の規定による設立時取締役の選任は、設立時監査等委員(株式会社の設立に際して監査等委員(監査等委員会の委員をいう。以下同じ。)となる者をいう。以下同じ。)である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別してしなければならない。
3 次の各号に掲げる場合には、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、当該各号に定める者を選任しなければならない。
一 設立しようとする株式会社が会計参与設置会社である場合 設立時会計参与(株式会社の設立に際して会計参与となる者をいう。以下同じ。)
二 設立しようとする株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 設立時監査役(株式会社の設立に際して監査役となる者をいう。以下同じ。)
三 設立しようとする株式会社が会計監査人設置会社である場合 設立時会計監査人(株式会社の設立に際して会計監査人となる者をいう。以下同じ。)
4 定款で設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役。以下この項において同じ。)、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人に選任されたものとみなす。
第39条
設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合には、設立時取締役は、3人以上でなければならない。
2 設立しようとする株式会社が監査役会設置会社である場合には、設立時監査役は、3人以上でなければならない。
3 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、三人以上でなければならない。
4 第331条第1項(第335条第1項において準用する場合を含む。)、第333条第1項若しくは第3項又は第337条第1項若しくは第3項の規定により成立後の株式会社の取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役又は会計監査人となることができない者は、それぞれ設立時取締役(成立後の株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人(以下この節において「設立時役員等」という。)となることができない。
これらの条文は、出資の完了後、発起人は遅滞なく設立時役員等を決めなければならない旨規定したものです。基本的に発起設立において発起人が設立時役員等を選任することを規定し、募集設立の場合は創立総会の決議によって行われます(88条)。発起設立の場合は、発起人の議決権の過半数で設立時役員等を選任します。募集設立の場合は、創立総会で設立時役員等を選任するのですが、設立時等役員とは何か。これは会社成立後の役員とは違います。要するに設立時役員が行う職務というは、会社が成立するまでの間、設立に関する手続きの調査や設立登記の申請等に限定されます。また「設立時の役員等」と「等」が付いているのは、会社法329条1項で役員を取締役・会計参与・監査役と定義し、会計監査人を概念上区別しているからです。つまり会計監査人も含むということです。機関構造的には成立後の株式会社と同じ仕組みですが、名称が異なるのと、設立時には、まだ株主がいないので発起人だけで役員等を決めるという点が異なります。
実務上も、成立後と設立時で手続きが異なるのではやりにくいでしょうね。立法者はその点に配慮してこれらの場合には簡易性を認めているような気がします。
取締役とか会計参与等といったコトバが出てきますが、これは後に機関のところで説明するので、今はとばします。
ただ、試験対策等で、39条の「3人以上」という人数については覚えておいた方がよいかと思います。設立時取締役は3人以上(設立しようとする会社が取締役会設置会社である場合及び監査等委員会設置会社である場合)。設立時会計参与は人数の制限がありません。設立時監査役は3人以上(設立しようとする会社が監査役会設置会社である場合)。設立時会計監査人は人数に制限がありません。
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