(定款の認証)

第30条
  1. 第26条第1項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
  2. 前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第33条第7項若しくは第9項又は第37条第1項若しくは第2項の規定による場合を除き、これを変更することができない。   

 

 短いけれど、いかにも会社法らしい条文ですね。準用条文がいくつか出てきて複雑にみえますが、これからはもっと複雑怪奇な条文が出てきます。

 

 26条1項、つまり、発起人が皆で作成した定款、これは公証人の認証を受けなければ、効力が生じないと、本条1項は規定していますね。そして、本条2項では、いったん公証人の認証を受けた定款は変更することができないと規定しています。問題は、第33条第7項若しくは第9項又は第37条第1項若しくは第2項の規定による場合は変更することができるということです。だから、この条文は原則として公証人の認証後は定款の変更をできないが、例外もあるということをいっているわけです。

 

 その例外、33条7項の場合とは、後で説明しますが、1項から4項を読んで初めて7項を読める規定になっています。つまり、変態設立事項につき裁判所が不当と判断した場合です。これは、発起人が自らの意思で変更するのではなく、裁判所が勝手に変更するものです。もう一つの例外、33条9項の場合は、7項、8項を読んで読みこなせる規定です。つまり、裁判所が作った?変更定款を発起人全員の同意でその部分を廃止する(廃止も定款変更の一種です)場合を意味します。もう一つの例外、37条1項、2項、これは発行可能株式総数の場合で、もう少しでたどり着けそうなので、そのときに話します。

 

 なお、30条1項で定款は例外規定を除き、会社成立前は変更することができないと規定してあることから、会社成立後は要件を満たせば定款の変更も可能だということになります。要するに、定款は株式会社を設立する際には必ず作成しなければならないが、実際会社が成立して、会社を運営する中で記載内容と現実にずれが生じる、あるいは定款に記載がないと許認可が受けられないといったケースでは、定款の変更が必要になることもあります。そのような場合は、株主総会の特別決議を経る等特別の手続きをして変更するということです。