これから法人についての私の理解を話していこうと思うのですが、どの教科書、テキストをみても、法人とは自然人以外のもので、法律上、権利義務の帰属主体たりうるものであるという風に定義されていますよね。そして、その中には社団法人と財団法人があり、その目的や設立態様によって色々な種類を解説されているわけです。

 

 しかし、この「自然人以外のもので、法律上、権利義務の帰属主体たりうるもの」という定義は一通り学習がすんだ私にあっても本質を完全に理解していないので曖昧なところがある。ましてや学習初期ないし初めて法人の箇所を学んだ時には、女性とは男性以外の人間であるといっているような感じがしたものです。

 

 法人の実質的意義は一定の目的のために結集した人の組織的集団(社団)、または一定の目的のために提供された財産集合体ということになると思います。そして、これらの人の集合ないし財産集合に法が権利能力を付与したものが法人という事になります。

 私が団体というものを理解する基本としている任意団体や人の集合である組合等世の中には色々な団体があるわけです。そういう色々ある団体と法人が違うところは、その設立にはそれを認める法律上の根拠がなけらばならない、つまり法律の規定によって成立したものであるという事になると思います。これを法人法定主義といいます(民法33条1項)。ちなみに後述しますが、権利能力なき社団というのは、法人ではないけれど社団であるという事になるのかな。

 

 法人制度がなぜ必要とされるのか、それはいいでしょう。もし、法人がない場合を想定すれば瞭然の事だからです。

 

 法人はいかなる社会的実体を有するものであるのかについては法人本質論で議論されるところです。確かに法人の存在が当然である現代社会においては、実益に乏しい議論であり、各種試験にもあまり出ないところだと思います。しかし、色々な法人の問題を解くに際してのバックボーンになる事は勿論、法人というものを本当に理解するためには必要なところにも思えます。

 法人否認説、法人擬制説、法人実在説の三者がありますが、法人擬制説と法人実在説の対立を少し考えてみたいと思います。  

 「擬制」というのは実質は違うのに、法律上、同じものとみなすという意味であり、法人というものを自然人に服従するような形で法技術的に捉えるもので、自然人である構成員や機関個人の独立性に注目する事を基本的視点にするものだと思います。これに対して、法人実在説というのは自然人とは別個独立な実在としての団体性に注目し、構成員や機関個人をその中に埋没させるという基本的視点を有するものだと思います。これによって、①機関の捉え方(代理人か代表か)、②法人の行為能力、③法人の活動範囲、等についてアプローチが異なってきます。

 通説である法人実在説は、法人を一つの社会的実在と捉えるわけですが、これはどういう意味なのでしょうか。一言でいえば、法人の構成員や機関個人とは別次元に法人の実在としての団体性を認める事だと思います。構成員も機関個人も、その団体性の中に埋没させる。

 そして、この社会的実在をどのように説明するかについて、①有機体説、②組織体説、③社会的作用説に分かれますが、これらの違いはよく分からないな。ここは、法人を構成する3つの契機(要素)と絡めて理解するしかないのかな。3つの契機(要素)というのは、ⅰ)実体的契機、ⅱ)価値的契機、ⅲ)技術的契機であり、①有機体説がⅰ)の実体的契機を重視するのに対し、②組織体説③社会的作用説がⅰ)の実体的契機とⅱ)の価値的契機の両方を同じ位に重視する。ちなみに、ⅲ)の技術的契機を重視するのが法人擬制説という事になると思います。

 

 

 

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