1. インボイス制度とは?

1-1. インボイス制度の概要

1-1-1. 導入目的

インボイス制度は、適格請求書発行事業者による適格請求書の発行・保存を義務化することで、課税事業者間の取引における消費税の仕入税額控除を適正化することを目的としています。

1-1-2. 制度内容

インボイス制度の主な内容は以下のとおりです。

  • 適格請求書発行事業者のみが仕入税額控除を受けることができる
  • 適格請求書には、適用税率、税率ごとに区分した課税標準額、税額等が記載される
  • 適格請求書は、原則として電子データで保存される

1-1-3. 関係者

インボイス制度は、以下の関係者に影響を与えます。

  • 適格請求書発行事業者:課税売上高1,000万円(簡易課税制度の選択の場合は5,000万円)以上の事業者
  • 免税事業者:課税売上高1,000万円未満の事業者
  • 課税事業者:免税事業者以外の事業者

1-2. インボイス制度導入の背景

1-2-1. 消費税率10%への引き上げ

2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられたことに伴い、課税売上高1,000万円未満の免税事業者の増加が懸念されました。インボイス制度は、免税事業者の増加による税収減を抑制することを目的としています。

1-2-2. 軽減税率導入

2019年10月に軽減税率制度が導入されました。軽減税率制度では、食料品等(8%)と一般物品等(10%)に異なる税率が適用されます。インボイス制度は、軽減税率制度における不正な仕入税額控除を防止することを目的としています。

1-2-3. インボイス制度の必要性

従来の消費税制度では、仕入税額控除を受けるためには、請求書等に記載された課税標準額と税額を確認するだけで十分でした。しかし、免税事業者の増加や軽減税率制度の導入により、仕入税額控除の適正化が必要となりました。

1-3. インボイス制度のメリットとデメリット

1-3-1. 適格請求書発行事業者

  • メリット:仕入税額控除を受けられる
  • デメリット:事務負担が増加する、システム改修が必要になる

1-3-2. 免税事業者

  • メリット:事務負担が少ない
  • デメリット:仕入税額控除を受けられない、販売価格を上げざるを得ない

1-3-3. 課税事業者

  • メリット:適格請求書発行事業者であれば仕入税額控除を受けられる
  • デメリット:取引先が免税事業者になる可能性がある

1-4. 適格請求書(インボイス)とは?

1-4-1. 記載事項

適格請求書には、以下の事項が記載されなければなりません。

  • 発行年月日
  • 適用税率
  • 税率ごとに区分した課税標準額
  • 税額
  • 登録番号(適格請求書発行事業者のみ)

1-4-2. 様式

適格請求書は、国税庁が定める様式で発行する必要があります。紙の請求書だけでなく、電子データでも発行することができます。

1-4-3. 発行・保存義務

適格請求書発行事業者は、取引先に対して適格請求書を発行し、5年間保存する必要があります。

1-5. インボイス制度のスケジュール

1-5-1. 2023年10月

  • 適格請求書発行事業者の登録申請受付開始
  • 課税事業者向けのインボイス制度に関する周知啓発

1-5-2. 2024年1月

  • 適格請求書発行事業者の登録完了
  • 適格請求書の発行・保存義務開始

1-5-3. 2025年10月以降

  • 免税事業者に対する課税事業者からの仕入税額控除制限開始

1-6. インボイス制度に関するQ&A

1-6-1. 適格請求書発行事業者の登録方法

国税庁のホームページからオンラインで申請することができます。

1-6-2. 簡易課税制度の選択

課税売上高が5,000万円以下の事業者は、簡易課税制度を選択することができます。簡易課税制度を選択すると、消費税の納税額を簡易的に計算することができますが、仕入税額控除を受けることができません。

1-6-3. 消費税の納税方法

従来の納税方法に加えて、インボイス制度に基づく納税方法を選択することができます。

1-7. インボイス制度の最新情報

国税庁のホームページなどで最新情報を確認することができます。

2. インボイス制度があなたのビジネスに与える影響

2-1. 売上への影響

2-1-1. 課税売上高の減少

取引先が免税事業者になった場合、課税売上高が減少する可能性があります。

2-1-2. 販売価格への転嫁

仕入税額控除を受けられなくなった分の税額を販売価格に転嫁する可能性があります。

2-2. コストへの影響

2-2-1. 適格請求書発行・保存の事務負担

適格請求書の発行・保存に事務負担がかかります。

2-2-2. システム改修費用

インボイス制度に対応したシステム改修が必要になる場合があります。

2-3. 資金繰りへの影響

2-3-1. 仕入税額控除の減少

仕入税額控除を受けられる金額が減少するため、資金繰りが悪化する可能性があります。

2-3-2. 消費税納税額の増加

免税事業者からの仕入が増えると、消費税納税額が増加する可能性があります。

2-4. 対応策

  • 取引先の免税事業者比率の把握
  • 販売価格の見直し
  • 事務効率化
  • システム改修
  • 資金繰り対策

3. インボイス制度への対応

3-1. 適格請求書発行事業者登録

3-1-1. 登録申請方法

国税庁のホームページからオンラインで申請することができます。

3-1-2. 登録申請期限

2023年12月末日

3-2. 請求書・納品書等の見直し

適格請求書の記載事項に則って、請求書・納品書等を見直す必要があります。

3-3. システム改修

インボイス制度に対応したシステム改修が必要になる場合があります。

3-4. 従業員への教育

従業員にインボイス制度の理解を深め、事務処理を習得させる必要があります。

4. インボイス制度の成功事例

4-1. 業界別成功事例

4-1-1. 製造業

原材料の仕入先を適格請求書発行事業者に変更することで、仕入税額控除を受けられるようにした事例

4-1-2. サービス業

免税事業者向けのサービスを廃止することで、課税売上高の減少を防いだ事例

4-1-3. 小売業

販売価格を改定することで、仕入税額控除の減少を補った事例

4-2. 企業規模別成功事例

4-2-1. 大企業

独自のシステム開発で事務負担を軽減した事例

4-2-2. 中小企業

税理士と連携してインボイス制度への対応を進めた事例

4-3. 成功事例から学ぶポイント

  • 早めに準備を始める
  • 制度内容を理解する
  • 適切な対策を講じる

5. インボイス制度に関する情報収集

5-1. 国税庁ホームページ

インボイス制度に関する最新情報やQ&Aを確認することができます。

5-2. 税務署

インボイス制度に関する個別相談を受けることができます。

5-3. 税理士

インボイス制度への対応について専門的なアドバイスを受けることができます。

5-4. セミナー

インボイス制度に関するセミナーに参加することで、制度内容を理解することができます。

参考資料

 

本記事は、情報提供のみを目的としており、いかなる種類の保証も提供するものではありません。本記事に基づいて行う判断や行動は、すべて自己責任で行ってください。

インボイス制度は、多くの企業にとって大きな負担となる可能性があります。しかし、早めに準備を始めることで、影響を抑えることができます。本記事を参考に、インボイス制度への対応を進めてください。