好天に恵まれた令和5年5月5日「こどもの日」、近所の公園の池の上に沢山の鯉のぼりが強い風を受けて泳いでいました。

周りの田植え作業が始まった水田に水を供給する小川では、魚を狙うコサギに出会いました。

見られるのが嬉しくないような顔です。

 

 

さて、当ブログでしばしば取り上げている大作曲家 Johan Sebastian Bachの姓の日本語訳は、「小川」でも間違いではありませんが、英語のStream、「流れ、連続」が的確らしいです。

 

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スズキ・メソードのヴァイオリン指導曲集や同チェロ指導曲集の学習曲に「バッハ作曲ミュゼット」があります。

ピアノを学ぶ方にとって「バッハ作曲ミュゼット」とは別な曲であり、次のアコーディオンによる編曲演奏をお聴きください。

 

<Gavotte ou la Musette / Esperanza>

 

 

聴いていて体が動き出すような楽しい演奏ですね。

 

タイトルの"Gavotte ou la Musette "の意味は「ガヴォットまたはミュゼット」です。

原曲はバッハが鍵盤楽曲として作曲した「イングリッシュ組曲第3番」です。

どうやら一般的には「ガヴォット」と知られているみたいです。

 

先のヴァイオリン指導曲集やチェロ指導曲集の同曲冒頭には、"Andante pastorale (歩くような速さで田舎風に)" との指示があり、曲の最後は”diminuend (だんだん弱く)”と記されています。

 

原曲のパブリックドメインの鍵盤楽器楽譜では、それらが見当たりません!

 

左手のパートにはG音を常に弾くように記載され、これはドローン(英: drone)と言われます。

(次ではありませんよ)

 

ドローンは楽曲の中で音高の変化無しに長く持続される音であり、民族音楽でよく使われ、バグパイプの低音などがその典型的な例です。

きっと親切な楽譜編集者が「田舎風」との解釈から"Andante pastorale”を加えたのですね!

 

そしてこの原曲に”diminuend(だんだん弱く)”が無い理由は、次のバッハの弟子 Johann Friedrich Agricolaによる同曲の写譜から理解できます。

 

 

おわかりでしょうか?

スズキ・メソードのヴァイオリン指導曲集や同チェロ指導曲集の「バッハ作曲ミュゼット」とは、原曲の「イングリッシュ組曲第3番」の「Gavotte 2」あるいは「Gavotte Ⅱ」なのです。

原曲では、これを弾き終えたら「Gavotte Ⅰ」に戻って終結を向かえる楽曲構成でした。

 

したがって「Gavotte 2」の終わりに強い表現は不要であり、弱く演奏して「Gavotte Ⅰ」に戻るのが常識であったと考えられます。

だから"diminuend(だんだん弱く)"は、編曲者の親切心から加えられたのですね。

 

最後に原曲の素晴らしい動画をご紹介します。

<Bach English Suite No 3 in G minor BWV 808 András Schiff>

(Gavotte IIは 53:42頃です)

 

 

「Gavotte Ⅰ」は短調、しかも「Gavotte Ⅱ」とは異なる、歯切れの良い舞曲を表現しています。

 

そして「Gavotte Ⅱ」の最後は、たしかに柔らかく静かに終わりますね!!