鳴神(外苑前)
テニスに全く興味のない人生だった。
しかしそんなテニスの試合を生まれて初めて最初から最後までちゃんと見た。
錦織圭の全米オープン決勝。
それに間に合うよう、前日から、再放送してた他の試合を見て、
実況に出て来る謎の言葉や、
スコア表示の意味を調べ、理解できるようになった。
今まで知らなかったのだが、「ここでチャレンジを使う」とは、ライン上きわどいときに、
ビデオ判定してもらうことだったのね。
あの、15、30、40、と増えていくスコアの意味も、6じゃなくて7の枠があることも、
セットとかゲームの意味や、ADという記号も、何がどういうことなのか、
全て理解した上で、錦織の決勝を見れた。
やっと、世間と同じドキドキ感で、決勝を見ることが出来たのは良かった。
そんな今日この頃。
鳴神シェフの新店である。
鳴神さんといえば、フランスの三ツ星、「メゾン・ド・トロワグロ」で腕をふるい、
帰国後、銀座NARUKAMIを開店。
2009年に西麻布へ移転後、青山でこの度オープン。
青山3丁目から、フロラシオン通りに入ってすぐの右の奥。
建物が新しく、
白木に「鳴神」と掲げられた表札が、やけに目に飛び込む。
割烹か鮨屋のようなカウンター。
ガラス張りの内装は、実にスタイリッシュなのだが、
白木のぬくもりが妙に落ち着く。
料理は3コースあり、今日は真ん中のコースにしてみた。
脂ののった新サンマか始まる鳴神さんのストーリーには、
さりげない起承転結を感じる。
長崎の白イカを、いか飯のように輪切りにして中にパエリアが詰めてあるのだが、
そのアルデンテ感と、すだちの香りがたまらない。
赤むつフランのトリュフのせ。
佐島のタコ。
続いて出て来た茶色いケーキのようなもの。
食べるとフォアグラがサンドされた、パン・デピス。
ワインの産地、ブルゴーニュやアルザスでは有名らしい。
確かにワインと合う。
お魚のメインは、写真の金目鯛ムース。
甘鯛と海老の出汁のムースを詰めて蒸し、ホワイトポルト酒のソースで仕上げてある。
これがめちゃくちゃ美味い。
どこか懐かしい和の風味を感じながら、結果、フランス料理(我々日本人好みな)。
聞けば鳴神さん、
コースの料理を、和からだんだんフレンチにしていく構成にしてるのだという。
なるほど、最後のメインの肉は、コードデュローヌの赤ワインと合う。
完全にフレンチになっている。
仙台牛のいちぼと、山形牛のすね。
前菜は日本酒と合い、白ワインへ行って、赤へと流れて行くのだが、
お店がお寿司やさんのカウンターのようなので、
今自分が何屋さんにいるのか忘れ、不思議な気分になる。
鳴神、という表札を見ながら入るが、出るときは背中に、La Narukamiを感じる、そんなお店。
勝負デートにおすすめ。