ヒロソフィー(銀座) | すずきBのブログ「B's Blog」 Powered by アメブロ

ヒロソフィー(銀座)

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8年ぐらい仲良くさせてもらってる優秀なシェフの奥様が、
先日、ご病気でお亡くなりになられた。
その告別式で、喪主であり夫であるシェフが涙ながらにお別れの手紙を読んだ。
号泣した。
「14年の短い結婚生活でしたが……」というフレーズが、今も耳から離れない。
なぜなら、我が家がその数日前に、奇しくも結婚14年目を迎えたばかりだったから。
いろいろ考えさせれた。
心からご冥福をお祈りしたい。

そんな今日この頃。
銀座の交詢ビル、リストランテ・ヒロソフィーである。
とあるお祝いランチ。
ヒロさんにお願いし、お薦め料理をあれこれ出していただいた。

自家製フォカッチャ、めちゃくちゃ美味い。
パンとかフォカッチャは、鮨屋でいうコハダのようなもの。
その店の個性が出る。
心地よく口の中で広がる岩塩やオリーブの味が、
生地と絶妙にからむ。

ちなみにイタリアでは、お祝い事のとき、
普段、料理をしない父親がフォカッチャを焼くらしい。
いつかそんなサプライズをしてみたい(笑)

茶豆の茶碗蒸し。
和の食材も料理も、ヒロシェフの“変換キー”にかかると、
軽妙で立派なイタリアンになる。

ここでヒロさんからの粋な計らいで、キャビアの瓶ごとサービス(笑)。
「これは僕からのお祝いね、スプーンでガバッと好きなだけ食べて!」と笑顔で出してくれる。
こんな贅沢はないね。まるで、ウニを箱食いする感じ。
蕎麦粉のガレットに包んでいただくと、キャビアは口の中でソースとなる。
シュワシュワするお酒と、やはり合うな、このプチプチした魚卵は。

続いて、ガラスのキラキラしたお皿に乗って出てきたのは、
一見、饅頭のような、マシュマロのような見た事ない料理。
聞けば、フレッシュチーズの中のフレッシュチーズと呼ばれる、ブラータ。
モッツァレラのすごいやつ。
入手困難な素材、さすが、ヒロさん。
とろりとあふれ出るチーズ、ジューシーでミルキー。

そして、今日のメインとも言える鮎の春巻きの登場。
これ、知る人ぞ知る鮎料理名人、岐阜「開化亭」古田シェフ直伝のレシピを
ヒロさんらしいイタリアンに昇華させた逸品。
天竜川産の鮎を、一度、部位ごとバラバラにばらし、
骨だけ素揚げしてパリパリにして、身の中に戻し、
鮎そのままの形で皮に包んで揚げて完成を見る。
バリっと噛むと、弾けるように鮎の香り(スイカの香りと言われる)が広がる。
言うなれば、鮎=夏という季節を食べるような料理だ。

その後、蟹のパスタをいただき、
最後は、今日のお目当て、徳次郎の天然氷で作る、かき氷(写真)
綿あめのように口の中でふわふわ溶けていく不思議なかき氷。
オリーブオイルとブドウやベリーの果実がソース。
イタリアンコースの〆にかき氷、という違和感が、
なんともヒロさんらしい。
昭和っぽいレトロな氷かき機を、わざわざ購入し、カウンター越しに
そのパフォーマンスを見せてくれる(笑)

「料理は食べるものでなく体感するもの」とよく言うが、
ヒロさんの料理は、いつも自らが楽しみ、そして見る者を体で楽しませてくれる。
随所にサプライズをちりばめてくれる。
僭越ながら、我が家の“14年目”に相応しい祝宴となった。


★お知らせ★
CHEF-1 のスターシェフたちが、雑誌「美ST」にて、食べてキレイになるレシピを毎月、連載中。
10月号はヒロ山田シェフ、11月号は陳建太郎シェフでした。
12月号(10月17日発売)はポタジエ柿沢安耶シェフです。お楽しみに。