BLの草分け、

comic JUNE(1978創刊)

中島梓さんによる「小説道場」、

竹宮惠子さんによる「けいこたんのお絵かき教室」が掲載され、

プロ作家を多く輩出しました。


この画像は、



栗本薫・中島梓傑作電子全集17巻「JUNEⅠ」から引用させていただきました。




あらためて見返して、
二つ思いました。


一つめは、
“後進育成”って商業誌としては……難しい。
名の知られた作家ではなく、
ほんとうに新人の方中心となりますと、
趣味の同人誌の方が需要と供給のバランスは取れた気がします。

ちなみに上掲の表紙絵すべて見覚えがあり、
現在その内4冊を離れから持ち帰っております。
残りは久掛彦見さんのを切り抜いて残りは廃棄してしまったものが何冊か、
あとは離れ捜索したら出てくるかもというところです。
竹宮惠子さんの表紙絵で即購入していました。
雑誌として持ち帰った創刊号他4冊には、
竹宮惠子さんの「変奏曲」「姫くずし」の掲載があります。



特に漫画は、
画力というものが第一印象を決めますので、
新人ばかりというのは、
商業誌としては、
きびしいものがありました。


そう、絵。


店主、
道場出身の江守備さんも「私説三国志」思いきり填まってましたから、
小説JUNEも購入してました。

そこからの感想なんですが、
挿絵画家の方がお描きになったそれは、
やはりページを開いたとき、
目を楽しませてくれます。

絵ってきびしいものですね。

☆「邪火麗」
 森内影生さん作みずかみゆりさん画



ただ、
小説となると、
また購入意欲のポイントがちがいまして、
「私説三国志」だけ切り抜いたものは残っているのですが、
小説JUNEで
完全体として残っていたのは2冊のみ。

耽美は好きなのですが、
“っぽい”が匂うのは、
好きであるほどつらい。
ようし“っぽい”の書くぞー!という作品が多くなってしまうのは、
デビューに向けて頑張る場では起きがちな現象です。


もう一つの思ったこと、
こちらの方が重要なのですが、
栗本薫さんの目指す少年愛の世界に寄せての編集は、
草分けとしての牽引力には優れていましたが、
次々と産声をあげる多様な作品群の中で、
雑誌として継続するには、
狭すぎたということです。

耽美と背徳をうたった中島梓さんの「少年派宣言」は、
中島さんの宣言ですが、
雑誌そのものの方向性も定めるものでした。
先細りになっていったのは、
その狭さのためではないか。

それに比して同人誌の世界は、
一つ一つは思いきり狭くても、
次々と誕生してくる勢いというものがあります。


 文化って
 走り出したら
 いつのまにか手を離れていくもの


今のBLと、
かつて少年愛と呼ばれたものは違い、
さらに少年愛と呼ばれた中でも
JUNEは耽美と背徳に大きく傾いています。

いろいろと産みの苦しみのある1980年代だったんだなぁと思います。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。