「ノンちゃん雲に乗る」
石井桃子著





巻末に従兄のお兄ちゃんのサインと
巻頭に〝○○文庫〟という蔵書印がついています。
で、
お兄ちゃんの名前の横に、
〝三西 ○○○○〟と姉のサインがあります。
小学校三年生西組の時に
姉が
もう大学生だったお兄ちゃんからもらったのだと思います。

で、
店主、
物語は忘れながら、
平家物語の節回しと、
それを目を向いてかっこつけて読む坊主頭は本を見た瞬間に浮かびました。






ちょうどシドニアの騎士の騎士行進曲で、
〝集わんと〟の〝わんと〟⇒〝わんこ〟と同じですね。
意味わかんないけどおもしろい!


けれど、
にいちゃんは、
読みかたはできるようにならないで、
「なむはちまんだいぼさつ!」だの、
「よつぴいてひようとはなつ」だのというような、
妙なことばばかりおぼえてしまい、
それをふだんの日に、
やたらにふりまわすのです。
「海にさつとぞ散つたりける!」ということばも、
にいちゃんの口ぐせです。


脳とは便利なもので、
お兄ちゃんは雲に乗っていませんのに、
上の弁慶のイメージと
下の雲を泳ぐイメージとが合体し、


さらに
おじいさんが
女の子を熊手で掬い上げる場面と
長吉が熊手を預かる場面がごっちゃになり、



お兄ちゃんが
元気に
雲を漕いで女の子を助けにいく冒険みたいな図に
結晶していました。


店主、
フツーの女の子がわんわん泣くという始まりに向かない小学生だったらしゅうございます。

 これ読め!と渡された本だった可能性大。
 本は好きでした。
 好きでしたが、
 児童文学に類する本が
 例の少年少女世界の名作文学以外
 見事に残っていませんし、
 読んだ覚えもない。
 この一冊だけです。
 
挿絵のマジック、
音感のマジックで、
読後感を作ってしまったのかもしれません。


懐かしい。
挿絵の一つ一つは
イメージごっちゃにしたくせに
開くと思い出します。

 そうだ そうだ こうだった



つんつんしてる………って思ったの思い出します。


挿絵は桂ユキ子さん。
教科書にある絵や絵本にある絵と
ぜんぜんちがって感じました。


 那須与一の段、
 読んで楽しい段でございます。
 お話のお母さんがお兄ちゃんに読んであげたように、
 小さなお子さんに読んであげたら
 楽しいかと思います。

 えっと実際楽しいです。
 コツは恥をかなぐり捨てて
 ノンちゃんのお兄ちゃんにでもなった気分で
 見栄を切ること。
 
 




画像はお借りしました。
ありがとうございます。





人気ブログランキング