この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





これ、なあに?
2015-11-21 23:08:17
テーマ:クロネコ物語




「これ、なあに?」

自力で着替えをした仔猫が
自分の体についた薔薇色のあざに
ようやく気付いた。




『俺が付けた跡だ。』

サガさんは落ち着いて応える。




仔猫も理解したみたい。
じっと
その跡を見詰めている。




お風呂 お風呂と騒ぐので、
サガさんが張り付いて
お風呂に入ることになる。




朝風呂かあ。
まあ、
気力が戻ったら
身だしなみは気になるわよね。




水音と嬌声。
プールじゃないんだから。

「ねえ、どうしたら紅くなるの?」

パチャパチャ

「ここにキスしたの?」

バチャバチャ

「僕、どうなってたの?」

バッシャーン

「サガさんは感じないの?」

ガチャッ!!





サガさんが
タオルにくるんだ彼を
居間に運んできた。

「居間で食べたい。」

ということになったようだ。




パジャマを着ながら
問う。

「僕、
   よく覚えてないんだ。
  どうして覚えてないんだろう。」




髪を拭いてやりながら応える。

『もう充分だ。 

    お前は正気を取り戻した。
    必要ないことだ。』




バジャマ姿で
ソファに寝かされ
確認する。

「僕が頼めばしてくれるよね。」





朝食をセットしながら
終了宣言

『もう必要ない。』




彼はしっかり食べた。
心って
本当に大切ね。




そして、寝室。
サガさんはシーツを取り替えた。
真新しい濃い青。
彼を寝かせてベッドを整える。




「サガさん、

   ねえ、
   すぐ寝るから
   もう少しいてね。」



サガさんは黙ってベッドに座る。
彼はサガさんを見上げてる。



「僕、
   サガさんに救われた。
    嘘みたいに気持ちが楽になった。

   家族のこと
   まだ
    話せないけど
   …………いつか話せる気がする。」



『お前は、
   もうだいじょうぶだ。

   悪夢は見るかもしれないが、
   戻ってこれる。』




彼が手を伸ばし
サガさんは
そっと体を重ねた。



彼が唇を開き求めれば
サガさんも応じる。





唇を離すと
豹は囁く。

「…………僕、お風呂に入ったよ。」



狼は落ち着いて応える。

『かなり回復したな。』




豹は抗議する。

「違うよ!
   印がついたところは
   ちゃんとキレイにしたよってこと。」



狼は動じない。

『今は食べることと寝ることだ。
   ついていてやる。』




このドタバタは
いつまで続くのかしら。



傷は塞がってるから
体力だけよね。
待ちきれないんじゃないの?
サガさん。



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