建築主の方の支給品に関する注意及び対応について。・その1 | スズキ建築設計

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スタッフの日頃感じていること

住まい造りは、建築主の思いもこだわりも多く、特に、インターネットによる検索により気に入った者を発見したり、さらには、海外生活経験者も多く、より個性的な家づくりを目指して、お客様は、設計計画中から、ネットで発見した建材や、機器などを自ら提案してくることも多くなってきています。

また、WEBサイトでは、建材や住宅設備機器、照明器具などはもちろん、最近では、ユニットバスのような組み立て工事が関連する設備機器までがネットで取引されています。


どなたでも、より安く、経済的にも、少しでも安くなればと思う気持ちは理解できますが、建築の場合は、多くの部品を組み立てていく作業ですので、下地の必要性や、柱や梁などの構造部材が、邪魔になって、取付かなかったり、電気や給水、排水管が必要になったり、カーテンの取付けが難しくなったりと、全体的なことや他の部材や、部品、機器などとの取合いなども調整をしないと取付かないこともあります。

インターネットで、簡単にしかも安く購入できたと思っても、ネットでは、付属部品を別売としていることも多いのです。

海外で良いものを見つけたので、取付け手ほしいと思っても、日本での規格サイズや、電源の電圧なども異なることも多いのです。

建替えの場合や、移転の場合で、実家や取り壊す英の既存のものがまだ使えるからとか、建材メーカーに勤務しているので、勤務先から優待価格で購入できるので、自社製品を支給したいとか、古いものが好きだから、こだわりがあるから‥等々と、それなりの思いがあり、次の家へ、取付けて欲しい思いもわかります。

このような希望がある場合は、自分の家づくりへの希望を記入する,当事務所であれば、「住まいの設計調書」*1などの、希望欄に、事前に記載しておくことで、計画に組み込んで行くことが出来ます。

しかし、計画の段階から、十分な打合せをしておかないと、トラブルになることもあります。

打合せ不足からのトラブルもありますが、支給品の情報不足からのこともあります。

また、メンテナンスや、商品の不良による責任範囲のこともあります。

思いもよらないことも、工事には発生することもあります。

特に、ネット社会になり、価格だけを比較するサイトなどで高い、安いだけを判断することも多く、さらに、ネット販売する業者は、在庫を持たず、売りっきりのため、そして、メンテやクレームはメーカーにと言う姿勢で、安く売っていると言言う業者がすくなくありません。


テレビや冷蔵庫のように、梱包を開封して、設置して終わりという電化製品はそれでも良いのかもしれませんが、工事が伴い、下地、取合いなど、他の工事と関連性のあるものは、事前の対策が必要です。

そこで、私ども、株式会社スズキ建築設計事務所では支給品に関する注意事項と、対応について、建築主の方で、支給材を考えている方に、失敗や、相互不信を招かないように、申し述べておきますのでよろしくお願いいたします。

1.配送、荷受け等に関して。

建築主の方は、支給品の現場への配送条件を確認してください。

建築資材や、住宅設備は大きく、重量のあるものが多いため、配送条件が、車上渡しや、軒先渡しの場合、荷受け、搬入にかする費用、2階に上げる場合は、レッカー等の手配、費用、梱包材の処置費用などが発生します。

内装材などで、1枚は人力で運べるのですが、量が多い場合は、結束バンドで大きな梱包単位にまとめて配送しますので、ユニック等が必要の場合があります。

WEBサイトでは、別途費用で配送しますと記載されていますが、特に重量物などの場合は、車上渡しや、軒先渡しの場合があります。

これらのことは、素人の方の建築主で、理解している方は少ないと思います。

車上渡しとは、まさに、トラックが工事現場の前に駐車し、荷下ろしには、ユニック車やレッカーなどをお客様が用意し、荷下ろしをしなければならないことです。

困って、すぐにレッカーを手配出来ないかと相談されても、すぐには無理なのです。

次に、軒先渡しとは、運搬車両から荷降ろして、室内には建材や機器を搬入しないということです。

このように、建材や住宅設備機器などの配送にも、注意が必要です。

室内への搬入に関しても、人工が発生します。


また、運送業者の中には、搬入時に枠や、壁に建材を当ててキズを付けたり、重量物を引きずり搬入し、床にキズを付けてしまうことがあります。

建築主の方は、支給される建材や住宅設備機器等により、購入先と十分に打合せが必要です。

*車上渡しの見積の例

車上渡しの見積例02


*見積書上は、安いと思っても、ユニック車やレッカー車を手配しなければならないと、その費用も含めて、考える必要があります。

2.下地、電源、給水、排水に関して。

床材や壁材、天井材などの建材、そして、照明器具、住宅設備機器等も、どこかに固定しなければならないものが大半です。

家具のように、床に置くだけのものは少ないので、下地が必要なことが多いのです。

床材などでも、下地の間隔や接着剤の有無など、壁材、天井材についても同じです。

家具などで、壁に取り付ける場合は、家具や機器の重量などによっては、壁部分に下地補強するだけでなく、柱や梁などからボルトを貫通させて、それらの機器や設備を取り付ける仕様になっている場合、構造の段階からや替え壁などを張る前に取り付けなければならないかも検討が必要です。

タイルや石材などを、内壁に張る場合も、事前にどのような施工方法を行うのか、事前の相談が必要です。

工事が進行した段階では、採用が出来ない場合も多いのです。

電源を必要な住宅設備や機器を、お施主様が機器の支給をされる場合は、電圧、周波数、電気容量も事前に相談が必要です。

電気容量によっては、専用回路にしなければならない場合もあり、専用回路にすることで、分電盤の回路数が足らなくなるときもあります。

あと、支給材ではないのですが、完成後に、大きな本棚や重量物の置物を新築後、2階などに搬入する予定がある場合は、事前に搬入する部屋や置く場所を事前に相談しておく必要があります。

2階は、柱や梁の架構のこともあり、最悪の場合は、梁が想定外の重量で下がり、階下の建具の開閉がきつくなることもあります。

<その1>は、ここまでとします。

<その2>は、

3.納まりや仕上がりについて。

4.故障、メンテナンスについて。

5.歩留まり、不足材について。

6.搬送中のキズ、保管、管理に関して。

7.廃棄物、梱包材等の処理について。


*1:当事務所の「住まいの設計調書」については、機会がありましたときに、ご紹介します。
家族が次の家への希望などを、家族全員で記入していくカルテのようなものです。

株式会社スズキ建築設計事務所
取締役相談役 鈴木 明

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