ブラウブリッツ秋田との第27節は、約1ヶ月ぶりのホーム戦でした。
J2残留にあとがない栃木SCとしては、どうしても勝ちが欲しい試合でしたが、秋田の猛攻に耐える時間も多く、勝点3を奪う試合から、勝点1を何とか手にする展開になってしまい、最後は良くぞ引き分けた……そんな勝点1だったと思います。
特に、ギアを上げて来た秋田の組織力は凄まじく、栃木SCとしては攻撃に転ずることが難しくなり、いつ失点してもおかしくない試合終盤になっています。
そこで、必死に守りに守り、GKの丹野選手の好セーブにも救われて、何とか勝点1を積み上げられていることは、勝ちが欲しい中にあっても、最低限の価値ある結果だったのかもしれません。
それでも、試合数は残り11試合になりました。
勝点1で安堵していられる順位、勝点差ではありませんし、ここから先の対戦相手を考えたとき、不安があるのも事実です。
台風一過となった試合当日は、かなりの暑さがありました。
キックオフ時間が近づくにつれて、空を厚い雲が覆い始め、結局は雨の中での試合になっています。
その影響もあって、ピッチ状態は決して良いとはいえずに、試合中も足を取られる選手が多く見られました。
チャンスになりそうな攻撃の場面でも、守備の場面でも、お互いに足を取られることから、試合結果に大きな影響を出しかねない状況にありました。
それでも、互いに守備は堅く、そこにGKの好セーブがあって、栃木も秋田も、決まったかと思えたシュートが防がれていて、それだけ面白さが大きかった試合でもあります。
最大のチャンスは栃木にありました。
前半、完全に決まったと思えたシュートはクロスバーに弾かれていてますが、試合全体を見ても、ここが試合の分岐点だったのは明らかです。
「たら」「れば」と言い出したら切りがありませんが、このシュートが決まらなかったことが、栃木としては試合を難しくしていますし、秋田としては、相当に救われた試合になりました。
【結果】
栃木SC 0-0 ブラウブリッツ秋田
前半 0-0
後半 0-0
【会場】
カンセキスタジアムとちぎ
【得点】
該当選手なし。
【栃木SC警告】
前45 平松 航(累積1枚目)
【栃木SCスタメン】
GK 丹野研太
DF 平松 航
DF 坂 圭祐
DF ラファエル
MF 森 俊貴 → 大森渚生(前26)
MF 青島太一 → 朴 理吾(後22)
MF 福島隼斗
MF 神戸康輔
FW 奥田晃也 → 小堀 空(後41)
FW 大島康樹 → 川名連介(後22)
FW 宮崎 鴻
【栃木SCリザーブ】
GK 川田修平
DF 藤谷 匠
MF 大森渚生 ← 森 俊貴(前26)
MF 朴 理吾 ← 青島太一(後22)
FW 川名連介 ← 大島康樹(後22)
FW 小堀 空 ← 奥田晃也(後41)
FW 山本桜大
【審判団】
主審 : 椎野大地
副審 : 唐紙学志
副審 : 緒方孝浩
【入場者数】
8,315人
【天候/気温/湿度】
雨一時雷雨/25.8℃/90%
【第27節終了時順位】
18位
この試合は、椎野主審が担当していますが、Jリーグ担当となってから初のJ2での笛でした。
驚くべきことは、今シーズンからJ3を担当しており、僅か10試合という少ない実績ながらもJ2試合に抜擢された主審ということです。
DAZNで振り返った印象としては、無難に裁いたと思います。
平松選手へのイエローカードは妥当でしたし、スタジアムでは秋田寄りの笛に感じていたサポさんも多くいたようですが、DAZNでの印象は、個人的には栃木寄りにも取れるかなと、そう感じました。
アディショナルのエリア内での守備、秋田にPKが与えられても仕方がないと思える場面もあったと思いますよ。
今シーズンの残りもJ2で笛を吹くことになると思います。
また栃木SC戦を担当することもあるでしょうし、その際もよろしくお願いします。
J2デビュー戦としては、なかなか良かったのではないでしょうか。
この秋田戦から、栃木SCはサマーユニフォームでの試合になります。
そのユニは黄色が基調でないことから、審判団が黄色に身を包むという、栃木のホーム戦ではなかなか見られない事態が起きました。
この主審の服の色は、ホームチームが決めることになりますので、栃木SCとしては、なかなか面白いことをするなと思ったのです。
試合に臨む栃木のスタメンは、前節のレノファ山口FC戦から変更は1選手のみ。
大森選手がリザーブに回り、ラファエル選手がスタメンに復帰しています。
このラファエル選手が見事な守備を見せてくれていて、秋田のロングボール主体の攻撃において、決定機を作らせない活躍をしてくれています。
前節にJ2リーグ戦初ゴールを決めている山本選手のスタメンにも期待していたのですが、それは叶わず。
しかし、不思議なことに途中交代での出場もありませんでした。これに至っては大きな疑問が残ります。
本人としては、次の試合でもという気持ちが大きかったでしょうし、良いイメージを持って臨む試合であったはずです。
そんな状況にあって起用されなかったことは残念でなりません。
小林監督としては、防戦に回った時間帯で最後に小堀選手を入れていますが、ここは完全に守備を意識しての選手起用に傾いた選択だったのではと推測しました。
高さが欲しかった守備と、ロングボールを繰り出した際、競り勝てるであろう選手の起用を考えての投入だったのではないでしょうか。
終盤の試合展開が山本選手の起用を見送らせたことになったように感じますが、それでも、個人的には残念な選択に感じました。
秋田は、中盤を介さずに前線にロングボールを送って、少ないパスからゴールを狙う戦術を一貫して貫きました。
一方の栃木は、後方からボールを繋ぎ、決して素早い攻撃とはならぬまでも、ボールの出し入れでチャンスを伺い、クロスを入れてサイドからゴールを狙う戦術だったと思います。
それがお互いに攻撃、守備の時間を繰り返し、見応えがある試合になります。
攻撃は互いにクロス精度がもう少し必要な印象もありましたが、一丸となっての守備はどちらも素晴らしく感じました。
そんな中にあっても、やはり分があったのは秋田の方でした。
栃木の決定機がクロスバーに弾かれるという運も味方に、徐々に主導権を握って行きます。
後半24分の選手交代からの戦術変更が見事でした。
水沼選手、畑選手の中盤の2選手をピッチに送り出すと、ロングボール主体の攻撃から中盤を経由してボールを繋ぐ戦術に一気に舵を切って来ます。
栃木はその対応が遅れました。
完全に秋田の術中に嵌ってしまい、そこから抜け出すことが難しく、攻撃に転ずることができなくなります。
ここから、必死の守備で秋田の攻撃を防ぎ続ける攻防戦が展開されます。
秋田の最終ラインは相当に高い位置をキープし、選手間の距離はとても近くて、そのことから、ボールへの寄せも早く、それでいて強く、栃木としては相当に手を焼かされます。
時折、そんな選手間が短い間を抜く素晴らしパスで秋田ゴールに迫りますが、どうしても守備を崩すには至りません。
秋田の選手間の安定した距離感は、驚くことに最後まで崩れることはありませんでした。
ずっと一定の距離感と高い最終ラインを保持し続け、ずっとボールへの寄せに衰えは感じられず、ピッチ上でその強さを維持していました。
そこに来て、ロングボール主体の攻撃から中盤を経由してパスを繋ぐ攻撃への変更も相まって、試合終盤はセカンドボールが拾えずに、ほとんどの時間を守備に費やすことになっています。
栃木も選手間の距離は良かったと思いますが、相手の寄せの早さに苦戦を強いられていますし、試合終盤は、攻撃に転じたい前線と、秋田の攻撃に失点を懸念する守備陣との間で間延びも出てしまい、ボールが繋がらない状況になってしまいました。
試合全体を観た印象としては、秋田の上手さが目立った90分でしたし、特に、後半最後の展開は圧巻だと言わざるを得ません。
飲水タイム明けの前半26分に、森俊貴選手がピッチを後にして大森選手が起用されています。
これほどに早い時間帯の交代は想定外のはず。
これは、戦術としての交代ではなく、何らかの異常事態が考えられる交代だと容易に推測できます。
噂では、視界に異常があったとか。
これは本当に噂であって確定情報ではありませんので不確かな部分なのですが、そうであるのなら本当に心配になります。どうか、重大案件に繋がりませんように。
早い時間帯に交代投入となった大森選手ですが、無難に試合に入れていますし、攻撃時も守備時も、素晴らしいプレーでチームに貢献していました。
この早めの交代が、後半の選手交代にどう影響したのかは分かりません。
試合の後半、選手交代でチーム状態を向上させたのが秋田であって、栃木はどちらかというと後手に回った印象を受けます。
そこは、上手く栃木を研究し、対策を講じて来た吉田監督の戦術が光ったものだと思いますが、90分の間に、丸で別のチームであるかのように変化をもたらした秋田には脱帽です。
絶対に勝ちたい試合でしたが、あの終盤の状態を見れば、良く勝点1を手にしたとも言えるかもしれません。
超が付く決定機が決まらなかった悔しさもありますが、それを含めて運は秋田にあったようにも感じます。
ただ、そんなところを確実に決め切れないのが今の順位なのかもしれませんけれど。
追い越せる状態にあった水戸ホーリーホックが勝利して一歩、いや、二歩、残留争いから前へ出た今節。
ただ、ロアッソ熊本との勝点差が2と詰まったことから、栃木SCとしての目下の標的はその熊本へと変わりました。
残念なのは、その熊本との直接対決が終わっている点。
つまり、自力残留の芽が今のところは消えているということです。
ここから先は他力本願も必要になります。
第一、実力だけに頼るチームであれば、降格圏内などいないでしょうし、恥などかなぐり捨てて、近い順位チームの敗戦を全力で願う状況になっています。
これだけは断言できます。
残留のためには、綺麗ごとなど少しも言っていられません。
それほどに、J3への降格は避けなければならぬということです。
ゴール裏の前列は、屋根があっても濡れてしまいました。
そのことから、大旗も相当に重くて、ギックリ腰が治りかけていた状況でも、なかなかの厳しさがありました。
寒さは当然になかったことから、雨でも観戦はそこそこしやすかったと思いますが、それでもやっぱり、雨での試合は避けたいものですね。
かなり多くの方が足を運んでくれたカンセキスタジアムとちぎ。
そんな試合で負けはしませんでしたが、ゴールを決める喜びを経験できなかったことは残念です。
試合後、ピッチサイドで観戦したサポ友さんが帰り際にピッチレベルから撮影してくれました。
なかなかないアングルからの写真ですし、とても感謝しています。
次節も栃木SCはホーム戦。
ヴァンフォーレ甲府を迎え撃つ一戦になりますが、第3節で対戦したアウェイ戦では勝てていますので、絶対にダブルを奪い獲り、残留争いを優位に進めましょう。
このホーム2連戦で未勝利は情けないじゃないですか。
甲府に勝つことで勝点4を奪ったホーム戦になりますので、それなら上出来な結果だと思いますよ。
秋田戦の状況を精査して改善し、甲府対策をしったりと取って、勝点3を奪い獲りましょう。
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