特定の生化学的経路を介した結腸直腸がんの発症における腸内細菌叢の役割は、次第に明らかになりつつある 。
微生物は毒性代謝産物や発癌性物質を産生する 。
さらに、結腸直腸がん細胞における一般的なエネルギー源である乳酸のように、細菌代謝の他の産物が間接的な影響を与える可能性もある。
同様に、バクテロイデス・フラジリス菌が産生する腸内毒素などの細菌毒素は、β-カテニン・シグナル伝達の活性化、E-カドヘリンの切断、NF-κB経路の誘導など、いくつかのメカニズムを通じて結腸直腸がんの発症に中心的な役割を果たす 。
同様の経路は、フソバクテリウム・ヌクレアートゥム菌や大腸菌によっても活性化される 。
しかし、有害な細菌種と結腸直腸がんの関係はおそらく双方向的である。それは、結腸直腸がん治療後に腸内細菌叢が変化し、正常な結腸の患者の腸内細菌叢に近くなることが最近報告されているからである。
Vernia, Nutrients 13:143, 2021
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33401525/