その公園には、
石でできたうさぎが何匹かいた。


けっこうリアルだけど、

てろんとしていてかわいかった。



そこで遊んだことが、
何十年も経った今日、

鮮明に頭に浮かんだ。



インターネットで目にした木彫りのうさぎ、

かわいいなあ。

ああ、今年はうさぎ年かあ。


そんなことを、ぼんやりと考えていたら、

連想ゲームのように

急に公園の景色が現れたのだ。



私が3歳のとき。



母と二人で、

大きなこども病院に行った帰りに寄った、

「うさぎ公園」と呼んでいた公園だ。



3歳からの記憶がはっきりとあることに

驚かれるけど、



記憶や夜見た夢は、

いつもフルカラーの立体映像で、

時には匂いや手触り付きで

思い浮かぶ。



印象深いものだけだけど、

幼いときの、写真にもない日の出来事を

「お母さん、あの時、ざらざらした手触りの

 白いサマーセーター着てたよね」

などと話すと、

「覚えてるの?」

と、母がよく驚いていた。



うさぎ公園のことをこんなに覚えているのは、

母と二人だけで出かけることが珍しくて

うれしかったからだと思う。



それともう一つ。


いつもにこにこ、

はっはっは!と笑う

肝っ玉母さんキャラの母が、

公園のベンチで、

見たこともないまじめな顔を

していたのを目にしたからかもしれない。




つづく


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