週末のテレビ番組、渓流釣りでのシーン。釣りの専門家がアメマスについて解説していた。
アメマスとはイワナの降海型。イワナは一般的に川の最上流部に生息し一生を終えるが、一部のイワナは湖や海に降って巨大化する。この巨大化したものをアメマスと呼ぶ。
同様にヤマメの降海型がサクラマスでアマゴはサツキマスと呼ばれる。ニジマスの降海型はスチールヘッド。
これら降海型と一生を渓流で暮らす陸封型の違いは亜種の関係だと考えられてきた。またはより強いものが大きくなるために川を下っていくとだとも。現在もそれらの学説は有力と思われる。
しかし、その専門家は渓流での生存競争に負けたものが仕方なく川を下っていくと考えているらしい。
川を下って湖や海に出ると餌は豊富にあるが天敵も多い。多くは他の魚や鳥たちの餌食となるがごく一部はしぶとく生き抜く。こうして生き残ったものたちは餌の量が多いことから陸封型よりも巨大化する。そして産卵時期に合わせ川を遡上して陸封型たちと顔を合わす。彼らは低水温の淡水でしか産卵孵化できないから。
彼の説を聞いているとしっくりくる。何故なら私自身も進化は弱者の歴史だと考えているから。
元いた川で生存競争に負けたものがリスクを冒し必死で生き抜き 、やがて川を追い出したものより立派になって元いた場所に帰ってくる。生命の奥深さや壮大さがそこにある。
元はいじめられっ子だったボクシングチャンピオンや小児喘息で自律呼吸さえ苦しかった幼少期の経験をもつスピードスケートの金メダリスト、そんなのと同じに見えてくる。
尤も、淡水性の鮭鱒属などが陸封されたのは氷河期が原因と言われているがそれすらも怪しいかも知れない。
まあその辺りは専門家に任せるとして、弱者の私自身は海で大きく育てたのか、それ以前に海に降りる勇気があったのか、今一度振り返ってみないと。