武道でよく使われる心技体という言葉。心技体全てが備わって一人前のように語られる。私たち昭和世代は武道だけでなく全てのスポーツ分野でこの言葉は使われていたように思う。
この考え方は非常に良いものだと自覚しているが、そのコアの部分をあまり深く考えてこなかった。
一般的には心技体の全てをバランスよく鍛えないといけない、というイメージがあるが、最近の私は違う気がしてきた。
水泳でも野球でも、はたまたジャグリングや音楽に至るまで、苦手なことに向き合えば自然に心技体を鍛えられる気がしてきた。
逆説的に心技体のバランスが整っていないが故に苦手が発生するのだと。苦手と向き合い克服していくことで己の弱さに気づく。これを繰り返せば自ずと必要なものが備わる気がする。
極真空手の祖、大山倍達は技は力の中にありと語った。更に力も技も持たずに心だけが育っても無意味だとも。
その大山が最強だと言ったエリオグレイシーをタップした木村正彦は体重40kgほどしかない塩田剛三に腕相撲で勝てなかったのだとか。塩田は合気道の天才、『力なんかいらないんですよ』が口癖。『相手をいたわる優しさが強さです』だとも。
彼らも自身の苦手としっかり向き合い自身に必要な心技体を備え、それが個々の個性に繋がったのかも知れない。
私も目の前の苦手としっかり向き合い心技体に臨みたいと思います。