さてさて、もう南紀まで来ると心は晴れ晴れ、当初は苦行をしてそれをネットに晒そうなんて邪な気持ちもあったが、黒潮の風にすっかり洗われて爽やかな一人旅。
相変わらず荷物は重い。景色のよさそうな回り道をしようか、いや先を急ぐか、始めは道を間違っただけで癇癪を起こしそうになっていたが、急ぐたびでもなし、そもそも目的地もなし、回り道してゆっくりいけばいいや、って簡単に思えるようになっていた。
↑すさみ町見老津辺りと思う。南紀はこんな大自然がいっぱい。トトロが出てきそう。
↑恋人と来るといいかもね
↑写真中央にある岩、どう見ても空中に浮いているように見えませんか?肉眼でもそう見えて、下に下りたいと思ったがいけそうになかった。いったいどうなっているのか?
この日は閉館時間くらいに串本海中公園にたどり着いた。閉館を待って日が暮れたら敷地横くらいにテントを張らせてもらった。水も調達できるし、芝生も気持ちよい。そんな具合で翌朝は朝早く出立、変に疑われても困るしね。
↑串本海中公園、確かどんよりした天気だったようにも思うが、朝5時くらいの出立だったとおもうのでくらーい写真になってしまった。
すさみ町から串本に入るとだんだん町並みが変わってくる。すさみ町は漁師町、港、船、ときおりダイビングの基地、みたいなイメージだったが、串本に入るとダイビングショップやらホテルや宿泊施設など、観光地的な要素が増えてくる。
↑串本駅
↑端食い岩
田辺を発ってからスマホの充電場所がなかったので電池を節約しながら写真を撮ってFBページにアップみたいな状態だったが、ようやく串本のドコモショップで充電。で、充電中は基本店内にいて欲しいように言われたが、もう私の気持ちは決まっていた。充電中に潮岬灯台に行ってやろうと。そして、重い荷物も店の中に忘れて行った風を装って(そんな奴おらんやろとは当時は考えへんかった)。
旅を始めてからどんどん図太くなっていく自分を感じていました。図太くと言うか自分で自分を楽しむ、的な。貴重品は小さなカバンに入れて、重い荷物なんか盗む奴おらんやろ。汗臭い着替えやシュラフや汚いテント、私には貴重なものだが、他人にとってはごみみたいなもんやし。
で、身軽になった私は潮岬灯台へ、でも写真は撮れず、だってスマホ充電中やし。今回だけは入場料払って中まで入った。行くときに道に迷ったり、帰りは違うルート通って時間ロスしたり、そんなしてると大島までまわって帰るとショップの閉店に間に合わなくなってしまうかもしれない。なので大島は諦める。
で、ショップに戻るとそのまんま荷物は同じ場所に。スマホも盗まれず。ああ日本は平和や。いやいや、高知もそうだったが南国の風に吹かれていると穏やかになるのかもしれない。
この日も岬から少し東に抜けた公園にテントを張った。きっとこの日くらいからこの度の終わりを意識したと思う。海南藤代神社、みなべのウミガメ、そして潮岬、ほとんどの目的地にはたどり着けた。あとはオプションの太地町、鯨漁で有名な港、そこでシーシェパードさんを監視。これが次のミッションかな。
何せ、旅は既に楽しいだけのものになってしまっていた。もともとは苦行のつもりだったのに、これじゃ意味なくね、みたいなのを考え出したのが潮岬到着の日だったと思う。
その時にはぼんやりと次の修行として社会に帰る、と言うのが浮かんでいたように思う。
次回へ続く、