長い間空きました。和歌山野宿旅シリーズ、先日12話が下書き状態になっていたのを見つけてアップしたところ、好評を得たみたい??だったので、再び筆をとることにしました。で、なんで14話やねん、という話ですが、もうだいぶ昔であまり覚えていないことと、それ以上にこの14話をお届けしたい気持ちが強かった。ので、13話のウミガメの産卵はまた今度、一応ウミガメさんには会えたよ、何匹だったかな?その辺りはComin' Soonという訳で、

 

南部を発った私は一路南へ、田辺は私の大学の後輩の故郷で、色々話しを聞いていたので立ち寄ってみた。この町は和歌山では人口の多い都会なのだとか。現在では42号バイパスが整備され、その周りには大手チェーンが立ち並ぶ姿が見られるが、当時は…。

古都の風情がある上品な町並み、私にはそう感じられる。南方熊楠、植芝盛平がここから出世したみたい。武蔵棒弁慶も田辺出身だとか。南紀の荒々しい雰囲気とは少し違った優しさのある町並みが私の心を暫し癒してくれた。町に貼られたポスターの情報では翌日から夏祭りが始まるとのこと。ここで一泊して楽しんで行こうかと悩んだが、修行の旅、ここで賑わいに心を動かされて寂しさに心が奪われてしまう怖さに怯え、風情ある町並みに後ろ髪を引かれる思いで田辺を後にする。

 

その後、人の多いところは避けていたので白浜には目もくれず南へ、その日はとうとう日没までにテントを張れず、とにかく海岸へ。白浜は半島になっていて、その半島をスキップしていったので仕方ない。ようやくたどり着いたのが椿温泉。

この頃になると、海岸でテントを張るのに何の躊躇もなくなってきた。海岸は何処も『キャンプ禁止!!バーベキュー禁止!!』と大々的に書かれている。しかし、私はお構いなし。海岸はそこを守っている漁民のもの。そこを勝手に使って汚すのはもってのほか。そんなことをする奴がいるからこんな風に遊ばせてもらえなくなる。私はごみは全て持ち帰るし、地面で直接火を使わない。大声で騒いだりしない。ひっそりテントを張っているだけなら誰も文句を言わないだろう。そんな風に思えた。

 

旅を始めた頃は他人の目が怖くて怖くて、なるべく人目を避ける場所にテントを張っていたのに。

 

翌朝は疲れもあり、ゆっくりめに海岸を後にした(それまでなら人に見つかる前に発っていたと思う)。

 

↑道の駅の無料の足湯、ここで1時間くらい休憩。たしかこの裏のシャワーも無料で借りれたような…

 

↑42号線のバイパスが整備されて今はほとんど使われていない旧道。この景色を独り占めで歩き続ける

 

 

椿を発ってからはきっと旅自体が楽しいオンリーになっていたと思う。自分の頭の中でのもやもやもほとんど晴れて、美しい自然とギラギラ照りつける太陽の下、裸の対象気分で歩いていたように思い出す。

 

そしてこの日のたどり着いたのははすさみ海水浴場。確かもう日は傾く時間帯、綺麗な公園が砂浜の直ぐ上にあり、市民の憩いの場所のようになっていた。屋根つきの小屋のような休憩場所がいくつかあった、日没を待ってその脇のほうにテントを張った。整備された芝生の上で寝るのは暫くぶりかも。気持ちよかった。海水浴場なのでトイレもあり、近くには自販機も、水も調達でき屋外に砂落としのシャワーも。シャワールームも無料で明日朝イチで入れそう。海岸は夜も明かりがあり、御坊までは多かった暴走族のような騒音もほとんどなく、気持ちよく眠れた。

 

朝になった。公園の雰囲気からして朝散歩する人が多い予想はしていた。漁師町は朝早いし。

 

案の定私が起きる前からテントの前を多くの人が通っていたように思う。私が目をうっすら明けながらあっちの世界とこっちの世界をうつらうつら行き来しているときも何組かの姿がメッシュ越しに見えた。ふとテントを空けて、散歩している人と顔を合わせて、自分でも不思議なくらいに自然な言葉が出てきた。

 

『おはようございます』

『あんたここで寝てたんか?』

 

優しそうな言葉をかけてくれた年配の女性。

 

私は今まで何を怯えていたのだろう。いつも自分は誰かから責められる、そんな風に思い込んでいたのは私だけで、世間は全然違うのかも。私の社会不安がかなり解けていた。ただ、この時はそこまで自覚できなかった。

 

現在、自助活動をする中で、社会不安、社会敵視が抜け切らない人が多く存在するが、過去の私もその一人だった。以上のような経験からいろいろとアドバイスはするが、やはり自分自身で経験しないと感じることはできないのかもしれない。現在振り返ると、こんな貴重な経験をできた自分を誇りにも思えるときがある。

 

この後は、スマホの電池の供給場所がなく、写真をほとんど撮っていない。なので文字ばかりの投稿になると思うが、お許しいただきたい。次回はきっと潮岬くらいまでいけるかな。

 

てか、思い出すの必死。