職場での信頼を得るのは誰にだって難しい。発達障害の有無に関わらず。一所懸命やることは当たり前、できるだけミスせず、犯したミスは責任をもって対処する、こんなことも当たり前、誰もがしていることをしたって周りと同じ評価が関の山。

27才の私は既に転職を数度経験し、既に伴侶も得ていたので、稼ぎがなくなるわけにいかず、そんな時に目に飛び込んだのが音響の仕事。求人誌に出てたんです、アルバイトだったけど。

自分の好きな分野の仕事だったのでとにかく仕事を必死に覚えていたのですが、そんな時にあることが頭に浮かびました。それは、今までは言われたことばかりしてきただけで自分から学ぶ姿勢がなかったことへの反省。そしてもう2度と同じ失敗はしたくないと言う思い。

そこで一晩考えました。どうしたら同じ失敗を繰り返さないかを。そして出た答えが本を読むこと。一応は国立大出身で勉強は嫌いではない。学生期は語学は大嫌いだったが彼女の影響で20才頃から読書量は増えた。好きな分野の仕事のことなら尚更学ぶのは楽しい。

音響の仕事は仕込みとバラしのウェイトが大きい。本番中は先輩がオペレートしていてその間は自由にできる。その時間に徹底的に本を読み漁りました。初めは職場にある音響工学の本。わからないことは親しい先輩に聞きまくりました。そして業界雑誌。職場に毎月送られる雑誌のバックナンバーがぎっしりと、それを事細かに。その後はミキサーやマイクの取説。使ったことない機材でも知識だけでも頭に入れておこうと考えました。

そんな折、オフィスにパソコンがやって来ました。ウィンドウズ98のマシーン。職場にパソコンに詳しい人がいなかったのでここはチャンスと勉強しまくりました。ウィンドウズは使ったことなかったですが、DOSもマックもそしてUNIXも大学で経験していたのでここは一番カマしも入れてやりまくりました。

当時の私はやはり職場の空気に馴染めずにかなり浮いた存在でした。しかしありがたいことに親しかった先輩2人がある程度経験を積んだ人たちだったので、彼らが色々私にパソコンについて質問してくれたので、周りもだんだんと私に聞くようになり、やがては所長も私を認めてくれだしたのです。

そうなるとそれまでと一転、パソコンの知識だけでなく機材や音楽のことまで、所長が「わからないことはあいつに聞け‼」というような状態に…。

しかし、職場での私は相変わらず空気の読めないやつでした。でも居心地が悪くなかった。無理に媚びなくても必要な会話は向こうからしてくれるし、会話が無ければいつも通り本を読んでおけば良いのだから。

そのうちに私にも後輩ができ出した。すると先輩たちが後輩たちに「暇だったら本読んどけ‼」ていいだした。先輩ら全然読んでなかったのに。

でもその時に、ようやく自分が認められた気がした。既に職場にある本も雑誌も全て読み終えていた頃だった。

その後、音楽業界、映像業界、放送業界、教育業界、エンターテイメント業界…、様々歩きわたった私ですが、基本は本を読む、これが大原則。きっとこの頃から計算すると5000くらいは目に入れたと思う。

知識が勿論絶対ではありません。ただ目にしただけの知識など仇となることもよくある。しかし学ぶ姿勢は周りにきっと伝わるはず。まあ、最低50冊くらいは越えてからの話だけどね。

職場での信頼が欲しかったら仕事をやりきった上で本を読みまくれ‼月に最低の最低でも10冊、それくらいの覚悟がないと誰にも伝わらないよ。