御坊市を流れる日高川を越えると、太平洋を望む荒波の磯が続きます。
印南あたりの海岸は『鬼の洗濯岩』でしられる宮崎県の青島をもっと豪快にしたような荒磯、
海岸線近くの森はジャングルのようで、時折見かける花も南国特有の豪快で色鮮やかなものでした。
そして、私はみなべ町千里海岸に到着。ここが2番目の目的地です。
過去の番組の電話取材で、ここが西日本最大級のウミガメの産卵地であることを知りました。
過去に何度か徳島県の日和佐に赴き一度だけアカウミガメの産卵を見たことがありましたが、
この海岸は砂浜の距離が日和佐の半分程度、しかし上陸するウミガメの数はほぼ同数であるそうです。
休憩も兼ねてこの海岸で3日ほど張り込めばウミガメの産卵に出会えるだろうと思い、
旅が始まって初めてお酒を飲みました。(あまりおいしいと感じなかったけど…)
この千里海岸ではいろいろと驚かされました。
海岸近くに数件の民家はあるものの、灯りが全く海岸に漏れてこないのです。
これはウミガメの産卵にとっても大事なことで、
何よりもウミガメは光を嫌うようです。
この夜は月明かりも無い絶好の条件、期待が膨らみます。
そしてもう一つ驚かされたことが、観光地化されていないこと。
街の中に『ウミガメの産卵~』といった看板を見ることもなく、
見かけた場合の注意書きをいくらか目にしたくらい。
夜釣りを楽しむ人もいて、平気でライトを使っています。
一人の釣り人に話してみると、ウミガメの産卵の有名な場所とは知らなかったようですが、
つい最近釣りに来たときすぐ近くで産卵を見たようです。
日和佐では一般客は全て立ち入り禁止、
係員がウミガメを見つけ産卵が確認された場合のみ公開するそうです。
アカウミガメは卵を生み出すと緊張が解け、光を当てても逃げ出さないそうです。
こう考えると、観光目的としてやっている日和佐よりも
近くの人にさえあまり知られていないみなべの方がカメにやさしいのかもしれません。
海岸では学生さんボランティアと思われるグループが何度も巡回していました。
砂浜の最上部にテントを構えた私も仮眠を取りながら何度か海岸を散策、
期待に胸を膨らませ、そのときを待ちました。
この後の話が長くなるので次回に続きます。