こういう発言が風評被害を生み出すと、分かっていない辺りが救いようがない。
公明党の山口那津男代表は2日、東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する時期に関し「直近に迫った海水浴シーズンは避けた方が良い」と述べた。岸田文雄首相は4日に国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と面会。放出是非を近く判断する。政府と東電は「夏ごろ」の放出開始を目指している。
山口氏は福島市で記者団の取材に応じ、漁業関係者による懸念に言及して「風評を招かないよう、慌てずに説明を尽くしてもらいたい」と政府に要望した。
グロッシ氏は4~7日に来日。放出計画の評価を盛り込んだIAEAの包括報告書を首相に直接説明する見通しだ。首相が放出の是非、時期を最終判断する前提がそろう。
東電は、放出用の海底トンネル工事が完了したと先月26日に発表した。海洋放出を巡っては、反対している地元漁業者の理解取り付けが課題となる。中国などは環境や人体への悪影響を主張し、放出を批判している。
公明党の山口代表は、自分の発言の重さ、悪影響を自覚して発言していると思えませんね。
仮にも与党の代表たる政治家が、科学的根拠もなしに原発処理水を海洋放出する時期に関して、「直近に迫った海水浴シーズンは避けた方が良い」などと発言することがいかにまずいか、分からないのでしょうか?
以前の記事で説明した通り、海水浴で排水された原発処理水に触れたところで、あるいは飲んでしまったところで、健康被害が生じる可能性はまず考えられません。
原発排水に、というか、地球上にあるすべての水の中に、トリチウムを含んだ水分子は普通に存在します。
しかし上の図で説明されている通り、トリチウムが発生させる放射線は極めて弱く、それこそ原発の炉心の中の冷却水でもなければ、危険と言えるレベルにならないのではないでしょうか?
そもそも放射線は、地球上のどこに行っても何らかの物質から出ています。
あるいは宇宙から絶えず降り注いでいます。
私たちが日常生活でどのくらい被ばくしているかと言えば、環境省がこのように公表しています。
早い話、病院でレントゲンやMRIを受けた方が、余程被ばくするという事です。
無論、レントゲンやMRIで受ける被ばく量は人体に影響を及ぼすほどの強度ではないので、(年間に数百回受けるとか非常識な回数でもない限り)検査を忌避しなくて大丈夫です。
日常の被ばく量と比較しても、海水浴で浴びる放射線量を最大に見積もったとしても、この100分の1以下でしょうね。
だから福島第一原発の浄化処理済排水を海洋に放出が始まった後に海水浴や海のレジャーをしたとしても、健康被害が生じる心配はしなくて良いでしょう。
(日本政府が公表している基準で海洋放出が行われれば)
それなのに仮にも与党の代表がこのような発言をすれば、風評被害が起きる可能性が高くなります。
海洋放出を『海水浴シーズンは避けた方が良い』と公明党の代表が発言すれば、こう思う人が出てくるでしょう。
やはり原発の排水が危険だから、『海水浴シーズンは避けた方が良い』と言うのだろう。
そしてメディアや、特にゲンダイあたりのタブロイド紙などが、危険を煽る記事を書くでしょうね。
ユーチューバーやブロガーの中でも、出てくるでしょう。
また韓国やシナ辺りが、鬼の首を取ったように騒ぎ立てるネタを提供したと言ってもいいでしょう。
ハッキリ言って、山口代表の発言は許されざる失言だと思います。
『風評を招かないよう、慌てずに説明を尽くしてもらいたい』と記者には言ったようですが、共同通信の引用記事を見ても、逆効果発言だったと見ざるを得ないです。
山口代表は直ちに発言を撤回の上、福島県民に謝罪し、責任を取って辞任すべきでしょう。
本当に最近の公明党の発言や主張には、首をかしげざるを得ないものが増えているように感じますね。
こんな発言が続くなら、公明党議員たちには発言を慎んでもらいたいものです。