バルト三国から見れば、ロシア人の見苦しい逃げを、許せるような歴史を持っていませんからね。
徴兵逃れロシア人、近隣EU諸国は門戸開かずポーランドとバルト3国、亡命対象の拡大を拒否
(ウオールストリートジャーナル 2022 年 9 月 24 日 10:39 )
【ベルリン】ウラジーミル・プーチン露大統領の部分動員令を逃れようとするロシアの一般市民に対して、近隣の欧州連合(EU)加盟国が強硬姿勢を鮮明にしている。
ロシアと国境を接するポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの4カ国はそろって、兵役逃れを目指すロシア市民に対して亡命申請の対象を拡大することを拒否した。ポーランドとバルト3カ国の当局者はインタビューで、大量のロシア人受け入れで国内の安定を損ねることはしないと言明した。各国政府は、ジョージア(旧グルジア)やクリミア半島などへの過去のロシアの軍事侵攻に長年反対を唱えてこなかったロシア市民に対し、ほとんど同情を示していない。
隣国が受け入れを拒否する構えを見せていることで、ウクライナでの戦争に加わりたくないロシアの徴集兵が脱出できる手だてはほぼ消えた。ロシアでは徴集令に従わない場合、最大10年の禁錮刑が言い渡される可能性がある。ロシアはすでに徴集が決まった兵士の出国を禁じた。
(後略)
バルト三国プラスポーランドの歴史を考えれば、プーチンの政策にまともに反抗もしないで国外脱出を図るロシア人の姿勢がぬるいとしか見えないのでしょうね。
何しろ、帝政ロシア崩壊時に独立を果たしたものの、ヒトラーとスターリンの密約でソ連に売られた格好になったこれらの国々が、ようやく独立を果たしたのは、旧ソ連崩壊の中で、多くの同胞の血を流した末に勝ち取ったという歴史があります。
そういう努力もせずに、己の安全だけを図って逃亡するなど、許し難い事でしょう。
リトアニアの外相は、ツイッターで次のように発言したようです。
リトアニア外相、Gabrielius Landsbergis氏のツイート
Lithuania will not be granting asylum to those who are simply running from responsibility. Russians should stay and fight. Against Putin.
— Gabrielius Landsbergis🇱🇹 (@GLandsbergis) September 23, 2022
リトアニアは、単に責任から逃げている人たちに亡命を認めることはない。ロシア人はここに留まり、戦うべきだ。プーチンに対抗して。
そもそもこの事態を招来したのは、ロシアの有権者たちがプーチンの政策をきちんと吟味せず、他国への侵略政策を止めようとしてこなかったことが原因です。
その失敗をまともに止めようとしてこなかった上に逃げ出してくるなど、到底許せない、先ずは己の選択の失敗を、血でもってしても購え、と言いたいのでしょうね。
これはどの国でも言えることです。
民主国家において、権力者が国を滅ぼすような選択をしようとした時に、その兆候を早く読み取って、選挙を通じて政権から排除できていれば、ここまでの事態にはならなかったはずです。
ロシア国民は、そこを失敗した。
この失敗は、血を流してでも権力者を引き摺り下ろすか、あるいは行き着くところまで行き、ロシアが破滅し、国家分裂なり、あるいは他国の侵略を許し、阿鼻叫喚な状況に陥ろうとも、自分たちで購わなければならないのです。
バルト三国とポーランド国民は、その歴史を潜り抜けて、今日があるのです。
それもそれをされた相手がロシア(旧ソ連、帝政ロシア)なのですから、余計にそう思えるでしょうね。
ロシア人は、究極の二択を迫られたわけです。
多くの犠牲を覚悟して、プーチンを追い落とすか。
あるいはこのままプーチンとともに、地獄の底まで命運を共にし、ウクライナとの戦いで最前線に立つことを肯んずるのか。
本当に日ごろから自分たちの政権が間違った行動をした時に、いかに早く修正をかけられるかどうかで、自分たちの運命が不幸になるかどうかが変わることを、ロシア人は身をもって示していると言えるでしょう。
これを他山の石と出来るようにするには、常日頃情報をチェックし、政権や社会が間違った方向に進んでいないか、気に掛ける人がどれだけいるかが鍵だと思います。