日中韓首脳会談前に繰り広げられている、各国の思惑の交錯 | 朱雀ひのでのブログ

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注目記事252~交渉を始める前から要求ばかりする北朝鮮で北朝鮮の、日米への反発について触れました。

とりわけ日本に対しては、韓国と演出した『平和の風』によって、南北(朝鮮)首脳会談に引き続き、米朝首脳会談の機運が高まるのを利用して、『ピョンヤン行きにただ乗り』しようとする、『不届きな下心』を表していると非難し、それを捨てない限り(外交団の)北朝鮮入国を認めないとけん制しています。

(リンク切れの際は注目記事252参照)

 

要は日本に対して、経済制裁などの圧力を止めろと言っているのです。

ボクシングに例えるなら、日本の経済制裁が余程ボディーに効いて、立っているのがやっとの状態と言えるでしょう。

 

こういう北朝鮮の姿勢から、「日本が南北朝鮮の融和ムードから取り残された、蚊帳の外に置かれた」と主張するマスコミや(主に)野党政治家、コメンテーター他の方々が多数いらっしゃるようです。

 

本当にそうなのかどうかは、朝鮮半島情勢が平和裏に収まるのか、それとも破滅に向かうのかの鍵を握る、アメリカとシナの動向を見れば、米朝首脳会談開催前でも、ある程度先読みは可能です。

安倍総理と習近平間の電話首脳会談は、それを見るカギとなります。

 

首相官邸の発表によれば、会談のポイントは以下の通りとなります。

(リンク切れの際は注目記事255参照)

 

1.先般の板門店宣言において、完全な非核化が盛り込まれたことを評価するということについて、意見が一致した

2.安保理決議をしっかりと実行していくということについても、意見が一致した

3.今後とも日中で連携してこの問題に対応していく

 

つまり安倍総理は朝鮮半島情勢に関して、シナという外堀も埋めてしまったという事になります。

 

韓国政府は当然、この日中首脳電話会談の発表内容を把握しているはずです。

この通りに明日(9日)から開催予定の日中韓首脳会談が話し合われれば、北朝鮮は非核化に向けての逃げ場がほとんどなくなります。

南北ともにコリアンにとって、悪夢と感じている事でしょう。

 

恐らくはそれを受けて韓国の大統領府の高官が、聯合ニュースの取材に対し、日中韓首脳会談で3か国共同宣言とは別に採択が検討されている特別声明について、以下の様に述べたと報じています

(リンク切れの際は注目記事254参照)

 

1.特別声明について、「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)との表現は入らない

2.特別声明には(先の南北首脳会談の)『板門店宣言』を支持するという内容のみを盛り込むのがわれわれの立場だ

3.こうした内容の草案を、中国と日本に回している

4.特別声明に、CVIDや対北制裁などに関する内容が入る理由はない

 

 

韓国としては、日米が望む「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」という表現を、日中韓3か国共同での声明で出したくないのは、確かでしょう。

先にも言いましたが、そういう声明がシナを交えて出されれば、対北朝鮮国連制裁の外堀は完全に埋まり、北朝鮮の逃げ場はほとんどなくなります。

その上、韓国がその声明に名を連ねれば、北朝鮮からすれば韓国は『裏切り者』と見なされるでしょう。

その結果、南北融和ムードは消し飛び、一気に朝鮮半島情勢は不穏な状態に突き進むでしょう。

 

その時北朝鮮の取れる道は、ほぼ二者択一でしょう。

国連決議に基づき、核とミサイルを完全かつ不可逆的に放棄する道を選ぶか、あるいは戦争かでしょう。

 

第3の道は、探るのが大変難しいでしょう。

金正恩がこれまで弄してきた口先外交でトランプ大統領を騙し、核やミサイルを放棄する姿勢を示しつつ、言を左右して時間を稼ぎ、トランプ大統領が失脚あるいは任期満了まで雌伏する事で、その後隠していたICBMと核兵器を表に出して世界を威嚇し、アメリカですら手出しできない体制を敷くという策を弄する事は、考えられます。

 

ただこの方法は、父親の代から何度も繰り返され、使い古した詐術です。

隣国である日本は、これによって裏切られ、さんざん振り回された苦い経験を味わっています。

 

当然先月の日米首脳会談では、安倍総理からトランプ大統領に十分説明しているはずです。

本当にそれをトランプ大統領が理解したかどうかは、現段階では情報が十分でないので、判断がつきかねますが。

 

そういう情勢下で安倍総理の対シナ工作は、成功すれば見事です。

外堀を埋めてしまって北朝鮮の逃げ場をなくせば、米朝首脳会談開催前に朝鮮半島情勢の大勢は決します。

そうなれば米朝首脳会談で、トランプ大統領が金正恩に譲る要素などなくなりますので、金正恩が言を左右出来る要素もまたなくなりますから。

そうなると韓国が如何に日中韓首脳会談での特別声明をご破算にしようが、日本とシナが北朝鮮締め上げで結束してしまえば、観客のいない劇場で一人踊っているのと同じ事になります。

 

そこで無理に日中に反発して見せれば、韓国は日米だけでなく、シナにも見捨てられることになります。

その結果は、南北共に、行き場を失ったコウモリと化すことになるでしょう。

 

さて日本と韓国、どちらの工作が功を奏しているでしょうか?

その答えの一部は、日中韓首脳会談後の声明で見えてくると思います。