問題点を指摘しただけで、何も決められていない。
(NHKWEB 2018年3月21日 4時59分)
アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれていたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は、日本時間の21日未明、閉幕しました。「声明」ではアメリカが鉄鋼などに高い関税を課す輸入制限措置を近く発動するのを前に「保護主義と闘うこと」などを盛り込んだ去年7月のG20サミットでの合意を再確認し、今後、「さらなる対話と行動が必要だ」としました。
日本、アメリカ、中国など主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は21日未明、2日間の討議を終え「声明」を発表しました。
この中で世界経済は「引き続き改善している」としながらも先月起きたアメリカ発の世界同時株安など金融市場の変調はリスクで、注意が必要だとしました。
今回のG20では、アメリカが今月23日に鉄鋼などに高い関税を課す異例の輸入制限措置を発動することを踏まえ自由貿易をめぐる議論が焦点になっていました。
これについて声明では、「すべての不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘うこと」などを盛り込んだ去年7月のG20サミットでの合意を再確認し、保護主義の広がりを防ぐため今後、「さらなる対話と行動が必要だ」としました。
そして今回、G20として初めて議論した『仮想通貨』に対する規制の強化をめぐっては「消費者保護やマネーロンダリング、脱税、テロ資金の供給などの面で問題を起こしている。また、今後、金融の安定に影響を及ぼす可能性がある」として国際的な取り組みが必要だとしました。
G20の議長国、アルゼンチンのドゥホブネ財務相は、会合のあと記者会見を開き、「鉄鋼やアルミニウムに対する関税など個別のテーマは話しておらず、貿易についてはより幅広い議論をした。国家間の貿易は雇用や革新、生産性の向上のために欠かせないことを再確認した」と述べました。
また、アルゼンチンの中央銀行のストゥルゼネッゲル総裁は、仮想通貨についてサイバーセキュリティーやマネーロンダリングの面で懸念があるとしながらも「伝統的な資金決済を補完し、送金の機能を改善する新たなプレーヤーとなりえる」と述べ、G20で初めて議論した意義を強調しました。
要は今問題となっている、アメリカの関税引き上げ問題については、何も話し合い出来ず、一般論に終始するだけだったという事でしょう。
それでは格好がつかないので、議長声明で『さらなる対話が必要』と修辞をつけたのがやっとだったのではないでしょうか?
ちなみに国会審議で欠席を余儀なくされ、麻生財務大臣に代わって出席した、木原財務副大臣の記者会見。
(NHKWEB 2018年3月21日 6時48分)
G20の閉幕後、木原財務副大臣が現地で記者会見し、アメリカの異例の輸入制限措置を念頭に、保護主義がどの国にとっても得にならないという認識を各国が共有できたとしました。
今回のG20ではアメリカが今週23日に鉄鋼などに高い関税を課す異例の輸入制限措置を発動することを踏まえ、各国から保護主義の強まりを懸念する意見が相次ぎました。
これを受けて討議の成果をまとめた「声明」では、焦点の貿易について、「保護主義と闘うこと」などを盛り込んだ去年7月のG20サミットでの合意を再確認し、保護主義の広がりを防ぐため、今後、「さらなる対話と行動が必要だ」としました。
これについて木原財務副大臣は記者会見で「対話と行動が重要だと強調したので、G20サミットでの合意から強めの方向に向いている」と述べました。
そのうえで、「会議の場でアメリカについて直接的な言及はなかったが、それぞれの国の念頭にはアメリカの鉄鋼などの関税の件があった。保護主義はどの国にも得はないという共通の認識ができ、評価できる」と述べました。
一方、日銀の黒田総裁は、会見でアメリカが進める利上げが世界経済に与える影響について、「金融政策の正常化が進めば新興国から資金が引き上げられるといった懸念はある。ただ、アメリカ経済が順調に成長していけば金融政策の正常化が進むことは当たり前で、世界経済に直接的なマイナスが出てくる懸念があるとは思わない」と述べ、アメリカが進める利上げが新興国に及ぼす影響に注意は必要だが、現時点で問題はないという認識を示しました。
財務省の代理では強い発言も出来なかったでしょうから、各国とともに問題提起するのがやっとだったと見えますね。
まあ麻生財務大臣が出席して、アメリカを諫める事が出来たかどうかは、大いに疑問ですが。