「おかあさまは、おとうさまのことが
お好きなんですよ。



何度目かのカウンセリングの時に


カウンセラーが言った。


ああ、やっぱりね。

そうだよね。



なんとなくそうは思っていたけど、

人から言われると
妙に納得する。





どんなに男の悪口を言っても
どんなに、私に愚痴をだれ流しても


絶対に離れようとしない。



他の女を配達中と偽って
ラブホに連れ込んでいたことを知っても



怒りは、女ではなく
なぜか私へ向かってきた。


いつも私はサンドバックだ。




男に嫌われたくない、
いい女ぶりたい、
母のやることは説明がつかない。


 


親戚一同、友人一同が
そろって


『あの男は辞めろ』
と言った中で
無理矢理、結婚したのだ。


どれほど、悪名高い男だったのかが分かるだろう。


自分の間違いを認めたくなかったんだろうね。



女は離婚してから
半年経たなくては
婚姻届が提出できない。



しかし、この半年の間にすでに
男は私に
「性的虐待」を繰り返し
私は、性格が変わっていた。



同時期に
母との口論から
別の女のところへ転がり込んだ。



私は母に連れられてその女のところへ
言った。



「あら~~、奥さんきたわよ」
と、そのだらしない雰囲気の女が
部屋の中に声をかけたのを覚えている。



母はどんな気持ちで私を連れていったのだろう?


男に血のつながりもなく
すでに家の中で
もてあそばれている少女。



数え上げればキリがない愚行。



『好きだったんだ』


これが全てだった。



危ないことが分かっていて
それでも
「入籍」することで
勝ったと思ったんだろうな。



好きと言う感情は
時に、大きな暴力になるのだ。
当時、小学生の私は
母の女の感情に巻き込まれ
男の征服欲にさいなまれ
よくぞ発狂しなかった。



当時、何らかの精神症状が表出していれば
良かったのにと思うのは
知識がついた今だからだろう。




男とケンカすると、
『あんな男』
という母の言葉を信じた私がバカだった。



私の前では男の悪口を言い
私が同調すると
母は私の言葉を覚えていて



クズ男と仲良くなったときに
それを言いつける。


それを聞いて
義父が私を怒鳴りつけ八つ当たりをし
さらに、カラダに手を伸ばし
風呂場を覗き、
隙あらば、触ろうとチャンスをうかがう。



月末の支払いの時期には
いつも言い合いが起る。


そして必ず最後は

「アキコ!!!!」
と怒鳴られる。


勉強している部屋のドアを
壊れるような勢いで開ける。



「てめぇ、このやろ~!!」
が始まる。


怒鳴られる意味はまるで分からない。


その男を必死に止める母親。


くだらないドラマを観ているみたいだ。


あの人たちは
そういう世界を演じたいのだ。



本当は自分たちの問題。
私は、何の関係もない。


二人の間に愛がないことを直視しない。
というより、母は利用されているだけであることを
認めない。


バカ男は、経営に向いて居ないから借金ばかり。
その尻拭いのために
お金だけを目当てにされていることに
気づいているのに見ない振りをしている女。



それでも、母はその男が好きで仕方ないのだ。


実の娘をライバル視し
私の名義を勝手に利用して
有印種文書偽造も平気でやっていた。



何で、私を引き取ったんだろう?


こんなに憎いのなら
実父のところへ置いてくれば良かったのに。


実父のところなら
継母とその連れ子という
もう少し単純な苦労で済んだろうなと思う。


それでも信仰の問題が絡むから
決して幸せと言うことにはならないだろうけど。



なんで、私は生まれなくてはいけなかったんだろう?
何で、望まれていないのに生きているんだろう?



障碍児2人を抱え、先の見えない育児の続く中で
自分の中の絶望を直視してしまった。



このあたりから
本当に苦しい日々が始まる。