「あの本は読まれているか」。 | 机の上のちいさな箱

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読書と本たち、珈琲、手帳。
素朴な日々の暮らし。

こんにちは*


ここ数日 晴れてよいお天気です。*

もうしばらくこんな日和が
続いてくれるといいなあ…  と思います。



最近読んだ本の中から
ひとつ書いてみます。


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「あの本は読まれているか」
ラーラ・プレスコット  東京創元社



【内容紹介 東京創元社より】

冷戦下のアメリカ。ロシアの移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われる。だが実際はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けて、ある特殊作戦に抜擢された。その作戦の目的とは、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。そう文学の力で人々の意識を変えるのだ。一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描いた傑作長編。

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舞台は冷戦下のアメリカとソ連。
アメリカのCIAとソ連のドクトル・ジバゴに関して
それらの周りの人々と出来事が
場所と年毎に描かれています。

場所は 西と東、
西はアメリカ、東はソ連です。


東と西、それぞれの物語が交互に進みます。

東は資本主義国家、特にアメリカのCIAについて。
CIAで働く人々、オフィスでの出来事、
裏で動く秘密作戦…

東側の主人公はCIAに勤務する
表向きはタイピストのイリーナです。


西はドクトル・ジバゴを執筆している作家 
ボリス・パステルナークと
愛人である編集者 オリガを中心に。
ドクトル・ジバゴを執筆する苦悩や
矯正収容所での過酷な暮らし、共産党からの圧力…

西側の主人公はオリガです。


*


「ドクトル・ジバゴ」は
ボリス・パステルナークの著書で
ノーベル文学賞を受賞しています。



” 戦争と革命の最中でも、人間は愛を失わない ”。
このことを描いた ドクトル・ジバゴを
共産圏 ソ連で暮らす人々に渡してゆく
ドクトル・ジバゴ作戦は
CIAにより 実際に行われた作戦です。

「あの本は読まれているか」は
ノンフィクションでもありますが、
事実・出来事の大きな流れの中で
名もなき人々がどんな風に
感じ、思い、悩み、苦しみ
生き抜いていったか を描いています。


*


読みたい本が読めない 
読みたい本が手に入らない
それはどれ程悲しいことか、
共産圏で生きる苦しさ、辛さが
胸に迫ってきました。

人は 時として
不要不急のものに支えられ
生きています。

一冊の本で世界が変わると信じ、
行動した人たちの
芯の強さと熱さを感じました。


ボリスとオリガ、イリーナとサリー、
それぞれの愛が伝わってきて
最後の28章とエピローグは
哀愁で胸が震えました。

読了後 一番に感じたのは
この物語は 愛の軌跡 だということでした。



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この本は 文庫の新刊台で見つけた本で
気になって 図書館に予約を入れて
順番が来てから 読みました。

読了後、今年中に 読み返したいと思い
手元に置きたくて 文庫を購入しました。

単行本の表と裏を合わせた絵になっています。
装丁は藤田知子さんです。とてもすてき…

この本は、まず タイトルに惹かれ
そして装丁にとても惹かれました。


こちらは文庫の帯です。




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きょうも 読んでくださり
ありがとうございました。**


いつも ありがとうございます*



如奈。