「おねえちゃんすごーい」 | SUTTOKO-DOKKOI

「おねえちゃんすごーい」

「ゲロゲロゲロ ウッキッキー
 ゲロゲロゲロ ウッキッキー」

電車に乗っていたら妙な鳴き声を発する男の子が
隣の席に座っていました。
「そうねー。そうよねー。」
男の子の隣にいるお母さんは嬉しそう。

なんだ?この親子は。
妙な鳴き声を理解しているのか?
それともそんなような鳴き声をする
キャラクターでも流行ってるのか?

最近の流行は分からないよ。小春おばさんは。

「あれー?キリンさんもクマさんもいるよー。」

この男の子はどうしちゃったのかしら。
小春の方を見てそんなことを言って…

あ…

これか…。

「ゲロゲロゲロ ウッキッキー
 ゲロゲロゲロ ウッキッキー」

たしかに小春の身につけているものには
カエルさんとおさるさんと
キリンさんとクマさんがいました。

「そうねー。そうよねー。」
相づちをうつお母さん。

小春が新宿で降りるまでずっと
坊やは妙な鳴き声を車内に響かせながら

小春の身につけている物の
鳴き声を発していることが
周りにも よーく分かるような大声で

「おねえちゃんすごーい!
 沢山持ってるんだねー!!!」

と キラキラした目でコチラを眺める坊や。

「そうなんだよー。
 沢山持ってるんだよー」




ああ そろそろ新宿だ。
良かった良かった。



「おねえさんにさよならしてねー」
と お母さん。

「うん!おさるさんたち
さよーならー!」




小春には挨拶をしてくれませんでした。