７９８ 人が何か或（あ）るものに依拠（いきょ、いぞん）して「その他のものはつまらぬものである」と見なすならば、それは実にこだわりである、と（真理に達した人々）は語る。それ故に修行者は、見たこと・学んだこと・思索したこと、または戒律や道徳にこだわってはならない。
人が何か或（あ）るものに依拠（いきょ、いぞん）して人間的思考の運動（優⇔劣）が立ち上がり「その他のものはつまらぬものである」と見なすならば、それは実に両極端による思考の運動によるこだわりである、と真理に達した人間的思考の運動を制した人々は語る。それ故に修行者は、見たこと・学んだこと・思索したこと、または戒律や道徳にこだわって人間的思考の運動（優⇔劣）を立ち上げてはならない。
人は、見たもの、学んだことにおいても人間的思考の運動（優⇔劣）を立ち上げ気に入ったものを取り、その他のものを排除する。そうしては、その考え方に依存するのである。この世は無常であるから、依存したものは変化によって失われ、苦を生じる。また、こうでないといけないという、形にこだわることも、執着である。その形もやはり変化によって崩れ去り、かれに苦しみとして襲い掛かる。この道理を見ても修行者は、依存、こだわりは苦であることを知って、自らの思考の運動によく気をつけて、世の中を遍歴し、苦を回避せよ。